サイバーエージェント2025年Z世代SNS利用率調査から学ぶ顧客獲得の鍵 - 勝手にマーケティング分析
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サイバーエージェント2025年Z世代SNS利用率調査から学ぶ顧客獲得の鍵

サイバーエージェント 2025年Z世代SNS利用率調査 を読み解く マーケの応用を学ぶ
この記事は約13分で読めます。

はじめに

「Z世代向けにSNS施策を打ちたいけれど、どのプラットフォームを選べば良いかわからない」 「TikTokやInstagramに予算を投じているが、本当にZ世代に届いているのか不安」 「世代間のギャップが大きすぎて、上の世代と同じアプローチでは通用しない」

マーケティング担当者の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?

2025年12月、サイバーエージェント次世代生活研究所が発表した「2025年Z世代のSNS利用率調査」は、2,884名を対象とした大規模調査です。この調査から、Z世代(17〜28歳)と上世代(29〜60歳)の間には最大22.0ポイントもの利用率の差があるSNSが存在することが明らかになりました。

本記事では、この最新データを徹底分析し、明日から使える実践的なマーケティング戦略をお届けします。単なる数字の羅列ではなく、「なぜそのSNSが選ばれるのか」「どう活用すべきか」まで、Who/What/Howの観点から深掘りしていきます。


調査データから見る2025年のSNS勢力図

Z世代が最も使うSNSトップ5

まず、全体像を把握するために、Z世代の利用率トップ5を見ていきましょう。

順位SNSZ世代利用率上世代利用率世代間差特徴
1位YouTube86.1%86.3%+0.2pt全世代型の国民的プラットフォーム
2位LINE85.8%85.6%+0.2ptコミュニケーションインフラ
3位Instagram71.6%54.6%+17.0ptビジュアル重視・Z世代優位
4位X(旧Twitter)66.8%53.4%+13.4ptリアルタイム情報収集
5位TikTok52.8%30.9%+21.9pt短尺動画・エンタメ特化

重要な発見: 上位2つ(YouTube・LINE)は世代間差がほぼゼロで、全世代に浸透しています。一方、3位以下は明確なジェネレーションギャップが存在します。

世代間ギャップが最も大きいSNSトップ5

Z世代マーケティングで真に重要なのは、この「差分」です。

順位SNSZ世代利用率上世代利用率世代間差
1位BeReal.22.8%0.8%22.0pt
2位TikTok52.8%30.9%21.9pt
3位Instagram71.6%54.6%17.0pt
4位Pinterest19.9%6.4%13.5pt
5位X66.8%53.4%13.4pt

注目すべきポイント: BeReal.はZ世代の約4人に1人が利用する一方、上世代ではわずか0.8%。この22.0ポイント差は、マーケターにとって「Z世代を狙うなら避けて通れないプラットフォーム」であることを示しています。

逆転現象: 上世代が優位なSNS

SNSZ世代利用率上世代利用率世代間差
Facebook9.0%19.6%-10.6pt

Facebookは唯一、上世代の利用率がZ世代を大きく上回るプラットフォームです。Z世代向けマーケティングでFacebook広告に多額の予算を投じている場合、再考の余地があります。


過去3年間の推移から読み解くトレンド

Z世代: BeReal.だけが成長中

SNS2023年2024年2025年増減トレンド
YouTube-86.3%86.1%→ 横ばい
TikTok51.9%54.8%52.8%→ 横ばい
BeReal.13.2%21.4%22.8%↗ 成長中

主要SNSが成熟期に入り横ばいとなる中、BeReal.のみが3年間で+9.6ポイントの成長を見せています。これは「リアルな瞬間を共有したい」というZ世代特有のニーズを捉えた結果です。

上世代: TikTokとThreadsが伸長

SNS2023年2024年2025年増減トレンド
TikTok20.4%28.2%30.9%↗ 成長中
Threads5.9%9.5%15.2%↗ 急成長
Instagram51.3%53.1%54.6%→ 緩やかな成長

上世代ではTikTokが3年で+10.5ポイント、Threadsが+9.3ポイントと大きく成長。「短尺動画」と「テキストベースのつながり」が、上世代にも浸透し始めています。


Who/What/How分析: SNS別顧客理解

ここからは、主要SNSごとにWho/What/How分析を行い、マーケティング施策に落とし込んでみます。

BeReal. の分析

Who(誰・どんなJOB)

要素内容
どんな人17-25歳のZ世代、大学生・若手社会人
きっかけ「加工された完璧なSNS」への疲れ、本当の友達とつながりたい欲求
欲求ありのままの自分を見せたい、友人のリアルな日常を知りたい
抑圧Instagram疲れ、「いいね」獲得競争からの解放願望
報酬心理的安全性、親密な友人関係の構築

What(便益・独自性)

要素内容
便益加工なしのリアルタイム共有、狭く深いつながり
独自性1日1回のランダム通知、2分以内に撮影・投稿必須の仕組み
RTB2020年フランス発、Z世代の「反インスタ」ニーズに応答

How(施策)

要素内容
プロダクト施策加工機能を排除、前後カメラ同時撮影でリアリティ担保
コミュニケーション「盛らない文化」の醸成、限定的な友人グループでの利用促進
価格完全無料(広告なし)、親密性重視のビジネスモデル

マーケティング示唆: BeReal.は広告プラットフォームとしては未成熟ですが、ブランドの「リアルさ」「透明性」を訴求する際のインスピレーション源として活用できます。例えば、Instagram Stories で「BeReal風」の加工なし投稿を行うことで、Z世代の共感を得られます。


TikTok の分析

Who(誰・どんなJOB)

要素内容
どんな人17-28歳のZ世代全般、エンタメ・トレンド好き
きっかけ暇つぶし、新しい音楽・ダンス・トレンドの発見
欲求楽しみたい、自己表現したい、バズりたい
抑圧制作スキルの不足、アルゴリズムへの理解不足
報酬承認欲求の充足、新しい発見、コミュニティ形成

What(便益・独自性)

要素内容
便益無限スクロールの中毒性、パーソナライズされたコンテンツ
独自性高精度レコメンドアルゴリズム、音楽と動画の融合
RTB世界10億ユーザー超、Z世代のトレンド発信源

How(施策)

マーケティング示唆: TikTokは「バズ」を生み出す最強のプラットフォーム。ただし、Z世代では52.8%→横ばいで成長鈍化。一方、上世代が20.4%→30.9%と拡大中なため、全世代向けプラットフォームへの移行期と捉えるべきか今後も注視が必要です。


Instagram の分析

Who(誰・どんなJOB)

要素内容
どんな人17-35歳の美容・ファッション・ライフスタイル関心層
きっかけ憧れのライフスタイル発見、商品リサーチ
欲求美しいものを見たい、自分の世界観を表現したい
抑圧コンテンツ制作の手間、フォロワー数へのプレッシャー
報酬美的満足感、ブランド構築、購買行動への影響

What(便益・独自性)

要素内容
便益ビジュアル重視のキュレーション、ショッピング機能統合
独自性Stories・Reels・投稿の3形式、高いエンゲージメント率
RTBZ世代利用率71.6%、ビジュアル商材との相性抜群

マーケティング示唆: Z世代71.6% vs 上世代54.6%の17.0pt差は、「ビジュアルコミュニケーションへの親和性の世代差」を示しています。Z世代向けには動画(Reels)、上世代向けには静止画投稿と、コンテンツ形式を使い分けましょう。


認知率データから読み解く「知られているが使われていないSNS」

認知率データも見ていきます。

先述した利用率と認知率のギャップは、ポテンシャルの高さを示します。

認知率トップ5(Z世代)

順位SNS認知率利用率ギャップ
1位YouTube97.5%86.1%11.4pt
2位LINE97.2%85.8%11.4pt
3位Instagram95.6%71.6%24.0pt
4位X92.8%66.8%26.0pt
5位TikTok94.9%52.8%42.1pt

戦略的示唆: TikTokは認知率94.9%に対し利用率52.8%。つまり、Z世代の約42%が「知っているけど使っていない」状態です。この層をアクティベートする施策(例: 初回投稿キャンペーン)が有効です。

認知率の世代間ギャップトップ5

順位SNSZ世代認知率上世代認知率
1位BeReal.79.4%30.6%48.8pt
2位Discord62.4%29.5%32.9pt
3位Whoo39.9%9.6%30.3pt
4位Pinterest58.5%35.1%23.4pt
5位Twitch58.4%36.0%22.4pt

発見: グローバルで先行流行したアプリ(BeReal.、Discord、Twitch)は、Z世代の情報感度の高さを反映して認知率が高い一方、上世代ではほぼ無名です。Z世代限定でリーチしたい場合、これらのプラットフォームが有効です。


実践的マーケティング戦略: 3つのパターン別アプローチ

上記データから、各世代向けのブランドはSNSを活かしてどうコミュニケーションをとっていけばいいのでしょうか。3パターンをまとめてみました。

パターン1: Z世代特化型ブランド

要素戦略
WHO17-25歳のアーリーアダプター
WHATトレンド最先端、リアルで親密なコミュニケーション
HOWBeReal. + TikTok + Instagram Reels の3本柱
予算配分例TikTok 50% / Instagram 30% / BeReal風UGC施策 20%
KPIUGC投稿数、ハッシュタグ到達率、エンゲージメント率

具体的施策例:

  • TikTokでハッシュタグチャレンジを実施
  • Instagram Reelsで「裏側」を見せる加工なしコンテンツ
  • BeReal.の思想を取り入れた「リアルキャンペーン」(例: 加工なし投稿で割引)

パターン2: 全世代向けブランド

要素戦略
WHO17-60歳の幅広い層
WHAT信頼性と親しみやすさの両立
HOWYouTube + LINE + Instagram のクロスメディア展開
予算配分例YouTube 40% / LINE 30% / Instagram 20% / X 10%
KPIリーチ数、ブランド認知率、CVR

具体的施策例:

  • YouTubeで商品説明動画(長尺・詳細)
  • LINE公式アカウントでクーポン配信
  • Instagramで世代別クリエイティブ(Z世代向けはReels、上世代向けは投稿)

パターン3: 上世代特化型ブランド

要素戦略
WHO40-60歳のミドル・シニア層
WHAT信頼性、わかりやすさ、安心感
HOWFacebook + YouTube + LINE
予算配分例Facebook 40% / YouTube 35% / LINE 25%
KPICPM、クリック率、問い合わせ数

注意点: Z世代狙いでFacebookに投資するのは非効率。ただし、上世代の19.6%は依然としてアクティブユーザーなため、ターゲットが明確なら有効です。


失敗パターンと対策: よくある3つの落とし穴

❌ 失敗パターン1: 「とりあえずTikTok」思考

症状: Z世代=TikTokと短絡的に考え、商材との相性を考えず参入
結果: エンゲージメント率が低く、炎上リスクだけ高まる

✅ 対策: まず自社商材のジョブを明確化しましょう。

商材タイプ相性の良いSNS理由
エンタメ・ファッションTikTok、Instagramビジュアル訴求力が高い
B2B・専門サービスX、LinkedIn情報収集目的の利用が多い
日用品・食品YouTube、Instagramレシピ・使い方動画との相性○
コミュニティ形成Discord、LINEクローズドな関係構築に適す

❌ 失敗パターン2: 世代間ギャップの無視

症状: Z世代向けクリエイティブを上世代にも流用
結果: 上世代からの反応が薄く、ブランド毀損リスク

✅ 対策: 同じ商品でも、世代別に訴求ポイントを変える

例: 健康食品の訴求

世代訴求ポイント使用SNSクリエイティブ
Z世代「SNS映え」「自己投資」Instagram Reels短尺・音楽付き・ダイナミック
上世代「科学的根拠」「安心感」YouTube、Facebook長尺・専門家インタビュー・静的

❌ 失敗パターン3: 認知率と利用率の混同

症状: 「認知率が高いから」という理由で広告出稿
結果: 認知はされているが使われていないプラットフォームに予算浪費

✅ 対策: 利用率×エンゲージメント率で優先順位を決める

優先度マトリクス:

高利用率 × 高エンゲージメント = 最優先(例: Instagram、YouTube)
高利用率 × 低エンゲージメント = 認知施策向き(例: LINE)
低利用率 × 高エンゲージメント = ニッチ攻略(例: BeReal.)
低利用率 × 低エンゲージメント = 撤退検討(例: Z世代向けFacebook)


セルフ診断: あなたのSNS戦略は正しいか?

以下のチェックリストで、自社のSNS戦略を診断してみましょう。

Noチェック項目Yes/No
1ターゲット世代(Z世代 or 上世代 or 全世代)を明確に定義している
2各SNSの利用率データを基に、プラットフォームを選定している
3世代別に異なるクリエイティブを用意している
4認知率と利用率のギャップを理解し、活用している
5BeReal.などの新興SNSの動向をウォッチしている
6TikTokが「Z世代専用」ではなくなりつつあることを認識している
7Instagram・X・TikTokでの世代間差(13〜22pt)を施策に反映している
8YouTube・LINEの「全世代リーチ力」を活用している
9四半期ごとにSNS利用トレンドをチェックしている
10各SNSのWho/What/Howを言語化できる

診断結果:

  • 8〜10個Yes: 素晴らしい! データドリブンな戦略を実行中です
  • 5〜7個Yes: 改善の余地あり。本記事の施策を1つ実行してみましょう
  • 0〜4個Yes: 要改善。まずはターゲット世代の明確化から始めましょう

まとめ: Key Takeaways

項目内容すぐできるアクション
データの読み方Z世代と上世代の利用率差が13pt以上あるSNS(Instagram、X、TikTok、BeReal.)が真の「Z世代向けSNS」自社の広告出稿先を見直し、世代間差の大きいSNSに予算をシフト
成長プラットフォームZ世代ではBeReal.のみ成長中(+9.6pt/3年)、上世代ではTikTok・Threadsが伸長BeReal.の思想(リアル・加工なし)を自社SNS施策に取り入れる
全世代リーチYouTube・LINEは世代間差0.2ptで全世代にリーチ可能な最強インフラ認知拡大施策はYouTube、CRM施策はLINEを軸に
失敗回避「Z世代=TikTok」は短絡的。商材のジョブ×SNS特性のマッチングが必須自社商材のジョブを8要素(定義→収集→準備→確認→実行→観察→修正→完了)で分解し、各フェーズに適したSNSを選定
認知率活用TikTokは認知率94.9% vs 利用率52.8%(ギャップ42.1pt)。この「知っているが使っていない層」が獲得チャンス初回投稿キャンペーンなど、アクティベーション施策を実施

Next Action: 明日から始める3ステップ

ステップ1: ターゲット世代の再定義(所要時間: 30分)

□ 自社商品の主要顧客が「Z世代」「上世代」「全世代」のどれかを決定
□ サブターゲット(例: Z世代内でも17-22歳の大学生層)まで具体化
□ 競合他社のターゲティングを調査し、差別化ポイントを見出す

ステップ2: SNS利用率データと自社の出稿先を照合(所要時間: 1時間)

現在の出稿先ターゲット世代の利用率継続 or 見直し
InstagramZ世代71.6% / 上世代54.6%
TikTokZ世代52.8% / 上世代30.9%
XZ世代66.8% / 上世代53.4%
FacebookZ世代9.0% / 上世代19.6%
YouTubeZ世代86.1% / 上世代86.3%

ステップ3: 1つのSNSでWho/What/How分析を実行(所要時間: 2時間)

本記事のBeReal.・TikTok・Instagramの分析を参考に、自社の最優先SNSについてWho/What/How分析を作成してください。特に「どんなJOB(欲求)に応えるのか」を明確化することが、刺さるコンテンツ制作の第一歩です。


最後に: データは武器、解釈は戦略

サイバーエージェントの2,884名調査が示したのは、「Z世代は一枚岩ではない」という事実です。BeReal.に熱狂する層もいれば、TikTokを使わない層も半数近く存在します。

重要なのは、平均値に惑わされず、自社商品のジョブを理解した上で、最適なSNS×クリエイティブの組み合わせを見つけることです。

明日から、まずは1つのSNSで「加工なし投稿」を試してみませんか? Z世代が求める「リアルさ」は、完璧なビジュアルではなく、ブランドの誠実さから生まれます。


出典資料:サイバーエージェント次世代生活研究所「2025年Z世代のSNS利用率調査」

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この記事を書いた人
tomihey

本ブログの著者のtomiheyです。失敗から学び続けてきたマーケターです。
BtoB、BtoC問わず、デジタルマーケティング×ブランド戦略の領域で14年間約200ブランド(分析数のみなら500ブランド以上)のマーケティングに関わり、「なぜあの商品は売れて、この商品は売れないのか」の再現性を見抜くスキルが身につきました。
本ブログでは「理論は知ってるけど、実際どうやるの?」というマーケターの悩みを解決するノウハウや、実際のブランド分析事例を紹介しています。
現在はマーケティング戦略/戦術の支援も実施していますので、詳しくは下記リンクからご確認ください。一緒に「売れる理由」を解明していきましょう!

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