まとめ
WEBサイトの改善は、データ分析ツール(GA4、サーチコンソール、ヒートマップなど)を活用しながら、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回していくことが重要です。本記事では、SEO改善とユーザー体験向上のための具体的なPDCAステップを解説し、実際の事例を交えて説明します。
これを見れば初めての方も改善のイメージがつくようになるでしょう。
1. Plan(計画):現状分析と課題設定
① 目的、目標の設定と現状のギャップを把握
まずは目的、目標の確認、必要に応じて明確化をしていきましょう。
目的の明確化
WEBサイトの大元の目的はサイトによって異なってきます。例えば採用サイトであれば「適切な人材の応募数を増やす」、ECサイトであれば「購入数を増やす」などさまざまです。
- ECサイト:購入数の増加、平均注文単価の向上、リピート購入率向上
- コーポレートサイト:ブランド認知の向上、問い合わせ数増加、採用応募数増加
- メディアサイト(ブログ・ニュース):ページビュー(PV)増加、セッション時間向上、広告収益最大化
- SaaS・サービスサイト:リード獲得(無料トライアル申込、資料請求)、デモ予約増加
- BtoBサイト:問い合わせ件数増加、ホワイトペーパー・事例ダウンロード増加
- コミュニティサイト:会員登録数増加、投稿数・エンゲージメント向上
今回は便宜上、BtoBサイトを例にステップを紹介していきますが、他のサイトでも使える思考、ステップだと思いますのでご安心ください。
目標設定
続いて、BtoBサイトの目的である問い合わせ件数増加(CV増加)に対して、具体的な目標を立てていくのですが、目標自体も細分化することがポイントです。目標を細分化することで現状数字が目標のどの部分と差分が出ているのかが明確になります。
CVの分解
- CV数 = 流入数 × CVR(コンバージョン率)
- CVR = フォーム到達率 × フォーム内CVR × 100%
- フォーム到達率=フォーム到達数 ÷ セッション数 × 100%
- フォーム内CVR = フォーム送信数 ÷ フォーム到達数 × 100%
- CVR = フォーム到達率 × フォーム内CVR × 100%
- 流入数 = オーガニック流入+広告流入+SNS流入+リファラル流入+ダイレクト流入
目標CV数の分解(例:CV100件を達成する場合)
- CV数100件/月=流入数2000件×CVR5%
- CVR5%=フォーム到達率10% × フォーム内CVR50%
- フォーム到達率10%=フォーム到達数200件 ÷ セッション数2000件
- フォーム内CVR50% = CV数100件 × フォーム到達数200件
- CVR5%=フォーム到達率10% × フォーム内CVR50%
現状数字の把握
- CV数50件/月=流入数2000件×CVR2.5%
- CVR2.5%=フォーム到達率10% × フォーム内CVR25%
- フォーム到達率10%=フォーム到達数200件 ÷ セッション数2000件
- フォーム内CVR25% = CV数50件 × フォーム到達数200件
- CVR2.5%=フォーム到達率10% × フォーム内CVR25%
のように目標と現状のGAPを明らかにしていきます。
どこで歩留が起きているか、その箇所の歩留の原因は何か、改善策は何か、改善の余地があるかをまとめていきます。
- 流入状況を分析(GA4):
- セッション数・ユーザー数の推移
- チャネル別流入割合(オーガニック検索、SNS、リファラルなど)
- 直帰率・離脱率の高いページ
- コンバージョン率(CVR)
- 検索クエリ分析(サーチコンソール):
- 表示回数・クリック率(CTR)の低いキーワード
- 検索順位の推移
- インデックス状況(カバレッジエラーなど)
- ヒートマップでユーザー行動を分析:
- どこで離脱しているか?
- クリックされている箇所・されていない箇所
- スクロールの深さ(どこまで読まれているか)
② 改善すべき課題を特定
仮説構築
- 考えるべきこと
- GAP箇所:目標と現状のどこに差があるのか
- GAPの原因:なぜ差があるのか
- GAPを埋めるための策:その差を埋めるためにやった方が良いことは何か
- 改善余地:改善の余地はあるか
分析データから以下の課題を抽出し、優先度をつける。
- 例1:直帰率が高いページがある → ページ内容の見直し(UX改善、CTA強化)
- 例2:特定キーワードの検索順位が低い → コンテンツ最適化
- 例3:サイトの表示速度が遅い → 技術的SEOの改善(画像圧縮・キャッシュ設定)
2. Do(実行):改善施策を実施
① コンテンツ改善
- 低CTRのページ → タイトル・メタディスクリプションの改善
- 低滞在時間のページ → 記事のリライト、構成改善
- 内部リンクの最適化(重要記事へリンクを貼る)
② SEO対策
- E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性)の強化
- 専門家の意見を入れる、実績データを示す
- 被リンク獲得施策
- 関連性のある他サイトへ寄稿記事を投稿
- 自社SNSで拡散し、自然なシェアを促進
- 構造化データの実装
- FAQ・レビュー・記事情報のマークアップで検索結果をリッチに
③ UX改善
- ユーザーの離脱ポイントを改善(CTAボタンの配置変更、フォーム短縮)
- サイトの表示速度向上(画像のWebP化、Lazy Load導入)
- スマホユーザー向けの最適化(モバイルファースト対応)
3. Check(評価):施策の効果検証
① 主要KPIのチェック
- 変更したページのCTRやCVRが向上したか(GA4)
- SEO対策したキーワードの順位変動(サーチコンソール)
- ヒートマップでのクリック率・スクロール率の変化
- A/Bテスト結果(Ptenginなどを活用)
② 具体的な効果測定
指標 | Before(改善前) | After(改善後) | 評価 |
---|---|---|---|
直帰率 | 75% | 60% | ✅ 改善 |
平均滞在時間 | 40秒 | 90秒 | ✅ 改善 |
CTAクリック率 | 1.2% | 3.5% | ✅ 大幅改善 |
検索順位(特定KW) | 12位 | 5位 | ✅ SEO成功 |
4. Act(改善):次のアクションを決定
使用ツール:GA4、SEOツール(Ahrefs、SEMRush)、ヒートマップ
① 改善点を次のPDCAに活かす
- 施策の成功・失敗要因を振り返る
- 追加施策を決定(例:リライト頻度を増やす、新規コンテンツ制作)
② 長期的な改善プランを策定
- SEO施策のロードマップを作成
- 例:「3ヶ月以内に検索順位10位以内のキーワードを30個に増やす」
- 定期的な分析・改善
- GA4のダッシュボードを活用し、月次でトレンドを把握
- サーチコンソールのカバレッジレポートをチェックし、エラー修正
- ヒートマップで継続的にUI/UXの課題を発見
PDCAを回す上での注意点
- データに基づいた意思決定を行う
- 感覚ではなく、GA4やヒートマップの分析結果を元に施策を決定する。
- 一度に多くの施策を実施しない
- 何が効果をもたらしたのかを判断できるように、1回のPDCAサイクルで実行する施策を絞る。
- 施策の効果を短期・中期・長期で評価する
- SEO施策は数ヶ月単位で成果が出るため、短期的な数値変動だけで判断しない。
- 競合分析を継続的に行う
- 自社サイトだけでなく、競合サイトの流入トレンドや施策も把握し、自社の戦略に活かす。
- ユーザーの行動変化に注意する
- トレンドや市場環境の変化により、ユーザーの検索意図や行動が変化するため、常に最新の情報を元に改善を行う。
まとめ
WEBサイトのPDCAサイクルを適切に回すことで、SEO・UXの両面から改善を図り、CV数の向上が可能になります。特に、以下のポイントを意識することが重要です。
- 目標を明確に設定し、ギャップを数値化する
- CV数を細かく分解し、改善すべき指標を明確にすることで、施策の効果がより具体的に把握できる。
- データドリブンなアプローチを採用する
- 感覚ではなく、GA4やサーチコンソールのデータを活用し、改善の優先順位を決定する。
- 施策ごとの成果を継続的にモニタリングする
- A/Bテストを活用し、施策の効果を検証しながらPDCAを回すことで、より効果的な改善が可能。
- 市場や競合の動向を把握し、戦略を柔軟に変更する
- 競合サイトの施策や市場のトレンドを分析し、常に最新の手法を取り入れる。
- ユーザー目線の改善を意識する
- SEOや広告流入の強化だけでなく、フォームの最適化やUI改善を行い、ユーザーがスムーズにCVできる環境を整える。
このように、継続的なデータ分析と施策の最適化を繰り返すことで、効果的なWEBサイト運営が実現できるでしょう。