マーケターは日々課題に対して限られたリソースやコストを使い、最大限の成果を出さなければいけません。そんなマーケターはクリティカルに効く説明変数を見つけていくことが重要と考えます。目的変数、説明変数とは何か、なぜ重要なのか、どう見つけていくいのかを説明していきます。
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問題解決の王道のステップ
日々みなさんがビジネスを前に進める際にこんなことを考えると思います。
1:現状と理想のGAP=問題を把握する(問題把握)
2:GAP=問題が発生している原因を探るために変数を見つける(原因分析)
3:因数分解した要素を改善するために必要なことを考える(課題設定)
4:課題に対しての具体的な施策を考案(施策考案)
例)理想、現状とのGAPが問題であり、その問題を解決することが課題(解決すべき問い、ISSUE)であるという図
これらの過程で、4つめ施策考案に重きを置く人は非常に多いと思いますが、最も重要なのは1と2の現状把握の過程です。なぜならばここの粒度が細かければ細かいほどその後設定する課題も、それを解決する具体的な施策も変わってくるからです。1はGAPを見える化するだけなので、難しいことではないでしょう。難しい、かつ重要なのは、2の原因分析の箇所です。なぜならば現状と理想の間に生じているGAPの原因が何かによって適切な施策も打てないからです。
よくある事例
例えば、どの企業も売上をあげたいと思います。しかし、ただ漠然と売上をあげようと思ってもクリティカルに効く施策はそうそう出てこないでしょう。
売上をあげようと思ったら、まずは現状と理想とのGAPを明らかにし、原因を因数分解することが必要です。
目標売上:100万円
現状売上:60万円
GAP:40万円
この40万円のGAPを埋めることが課題に設定してしまうとそこから思い付く施策は相当荒いものになってしまいます。
ここではGAP=問題が40万円という金額だが、この40万円のGAPがなぜ発生しているのかを深ぼる必要があります。その原因を深掘りするために売上という数字を分解する必要があります。
例)
売上=顧客数✖️単価✖️リピート率
売上=顧客数×顧客単価
目標:100万円=50人×2万円
実績:60万円=30人×2万円
顧客数が想定よりも足りないのか、顧客単価が想定よりも足りないのかをまずは明確にしていきます。
もし実績値が顧客数が足りない場合、売上が足りない原因は顧客数ということになります。さらにこれを深ぼると以下の切り口でさらに分解する必要があります。
・各部門ごと
A部門、B部門、C部門ごと
・各月ごと(期間)
1月、2月、3月、4月、5月など
・各地域ごと
東京、大阪、福岡、愛知など
・各商品ごと
商品A、商品B、商品Bなど
・販路ごと
オーガニック、紹介、WEB広告、ナーチャリングなど
・コンバージョンポイントごと
資料請求、お問い合わせ、ホワイトペーパー、イベントなど
・人ごと
A君、B君、C君など
・各項目ごと(顧客数、単価)
顧客数=新規顧客数+既存顧客数−解約顧客数
単価=商品単価✖️購入個数
・各項目ごと(顧客数、単価)
顧客数=商談数×受注率
商談数=見込み顧客数×商談率
これらの切り口で分解していくことで、どこに問題があるのかを見つけ出すことができます。
ちなみにここでいう売上などの変化させたい大元の数字のことを目的変数、売上を構成する変数を説明変数と言います。目的変数は結果、説明変数は原因とも言えます。
この結果を生む原因は何かを見つけられるかどうかが問題解決の鍵を握っています。
また、原因は1層だけでは解像度が足りません。図のように原因を深掘ることで本当に改善すべき変数が見えていきます。
この目的変数、説明変数のは様々なことに応用できます。
自身の仕事においても、目的変数は何で、それを構成する説明変数は何かを明らかにして、仮説を立てて改善をしているかどうかで目的変数の向上ができるかどうかは大きく変わってきます。
では、なぜマーケターが特にこの考えを意識するべきかについて触れておきます。
マーケターが変数を見つけた方がいい理由
他職種と比較してもよりマーケターが変数を明確にしていく必要があると考えています。
- 現代のマーケティングは数字の見える化がしやすい分野であること
- 実際のその数字を改善できる実行部隊の機能もあること
1点目の理由は、現代のマーケティングの領域は技術の発達により、ブラックボックスなことが少なくなり、数字の見える化がしやすくなっています。具体的には広告のインプレッション、クリック率、CVR、商談率、受注率など売上という目的変数を改善するために必要な説明変数が効果測定でき、データとして相関関係が確認できます。
広告だけではなく、マス広告においても、地域ごとの認知率、GRP(延べ視聴率)などの数字を見える化できるため、何が原因で目的変数が達成できなかったのかが明確にわかります。よってマーケターは真っ先に目的変数の説明変数を見つけることが問題解決の第一歩なのです。
2点目の理由は、マーケターやマーケティング組織は見える化できた数字を自分たちのチームだけで改善ができるということです。逆から言うと、日々数字を見ている経理や経営企画の部門は確かに説明変数を見つけることはできるかもしれませんが、現場の解像度が低いことと、実際に自分たちで実行して改善ができないことから分析だけで終わってしまう可能性があります。
一方、マーケティングチームは説明変数を明確にして、仮説をたてて改善施策を実行し、自らのチームだけでPDCAを回すことができます。よってマーケティング組織は真っ先に変数の理解とその改善をしていくべきと言えます。
以上が、ビジネスにおける変数の存在とその重要性、マーケターは特にそこを明確にするべき理由をお話ししてきました。最後に参考までにビジネスにおいて、各職種や立場におけるよく使う目的変数、説明変数を記載しておきます。ぜひ参考にいただければと思います。
ビジネスの現場でよく使う目的変数と説明変数
経営
売上=顧客数✖️単価✖️リピート率
=売上総利益+売上原価
営業利益=売上総利益−販売管理費
営業
売上=商談数✖️受注率
商談数=アプローチ数✖️アポ率
マーケティング
リード数=アクセス数✖️資料請求率
=広告インプレッション数✖️クリック率✖️クリック単価
購入数=アクセス数✖️購入率
顧客獲得単価=費用÷CV数