はじめに
マーケターやビジネスパーソンの皆さん、自社のプロダクトが顧客から選ばれない悩みはありませんか?本記事では、日本最大級の動画配信サービス「U-NEXT」を徹底分析し、顧客に選ばれる秘密を紐解きます。
U-NEXTの成功事例から、自社のマーケティング戦略に活かせるヒントを数多く学べるでしょう。プロダクトの再現性を高めたい方、必読の記事です。
U-NEXTとは
ブランド概要
U-NEXT(ユーネクスト)は、日本の動画配信サービスを運営する企業です。2007年6月にUSENによってGyaO NEXTとして開始し、2009年12月にU-NEXTに名称変更しました。
企業情報
項目 | 詳細 |
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商号 | 株式会社U-NEXT HOLDINGS |
創業 | 1961年6月1日(USEN) |
本社所在地 | 東京都品川区上大崎 |
事業地域 | 日本 |
従業員数 | 208名(2023年8月末時点) |
グループ従業員数 | 4,905名 |
U-NEXTの市場規模と成長
会員数と売上高
U-NEXTは2024年5月時点で約434万人の有料会員を抱え、国産のVODサービスとしては最大手です。2023年8月期の連結売上収益は2,763億円、連結営業利益は216億円に達しています。
市場シェア
GEM Partnersの調査によると、U-NEXTは2023年の定額制動画配信市場において15.0%のシェアを獲得し、Netflixに次ぐ第2位のポジションを確立しています。
出典元:https://www.gem-standard.com/columns/786
U-NEXTの市場におけるPOP/POD/POF
定額動画配信サービスの市場はどういう要素を満たし、どういう差別化要素があると戦っていけるのでしょうか。
Points of Parity (POP)
項目 | 内容 |
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動画配信の基本機能 | 多様なコンテンツ、安定した配信品質 |
デバイス対応 | スマホ、PC、テレビなど複数デバイスで視聴可能 |
価格帯 | 競合他社と同等の月額料金 |
Points of Difference (POD)
項目 | 内容 |
---|---|
コンテンツ数 | 300,000本以上の豊富な作品ラインナップ |
Paraviとの統合 | 国内最大級の動画配信サービスへ進化 |
多様なジャンル | 映画、アニメ、海外ドラマなど幅広いコンテンツ |
動画以外のコンテンツ | 雑誌、書籍、漫画なども用意 |
毎月ポイントを獲得 | ポイントを獲得することで有料コンテンツも実質タダで購入可能 |
Points of Failure (POF)
項目 | 内容 |
---|---|
技術的課題 | 一部ユーザーでの動画再生トラブル |
コンテンツの陳腐化 | 人気コンテンツの更新頻度 |
ユーザーサポート | 問い合わせ対応の改善余地 |
U-NEXTの購入者の合理
続いて顧客がU-NEXTを使う合理を考えてみましょう。
きっかけ
項目 | 内容 |
---|---|
What | 映画・ドラマ視聴、エンターテイメント探索 |
Where | 自宅、通勤中、隙間時間 |
Who | 一人、家族、友人と |
When | 夜間、週末、リラックスタイム |
欲求
欲求の種類 | 具体的内容 |
---|---|
快楽的欲求 | エンターテイメントを楽しみたい |
自己実現 | 新しいコンテンツで知識や教養を広げたい |
リラックス | 日常のストレスから解放されたい |
抑圧
抑圧の種類 | 具体的内容 |
---|---|
物理的抑圧 | 時間の制約、視聴デバイスの限定 |
心理的抑圧 | 選択肢の多さによる決定困難 |
社会的抑圧 | 家族との共有、プライバシーの配慮 |
報酬
報酬の種類 | 具体的内容 |
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ポジティブ報酬 | 多様なコンテンツを好きな時に視聴 |
ネガティブ報酬 | 退屈な時間の解消、ストレス発散 |
U-NEXTは満たすべき要素を満たし、他社とはばい広いコンテンツの種類と量を持ち合わせているため選ばれていると言えるでしょう。
U-NEXTのWho/What/How
Who(誰の)
ターゲット顧客
- 20-40代のデジタルネイティブ
- エンターテイメントに関心が高い層
- 多様なコンテンツを求める視聴者
What(何の)
提供価値
- 300,000本以上の豊富なコンテンツ
- シームレスな視聴体験
- 多様なジャンルの動画配信
- マルチコンテンツ戦略(動画、書籍、雑誌などもあり)
How(どのように)
提供方法
- マルチデバイス対応
- 月額定額制
- パーソナライズされたレコメンド機能
- TVCMによる安心感や認知獲得
U-NEXTが選ばれる5つの競争優位性
1. 圧倒的なコンテンツ数
U-NEXTは他の動画配信サービスを圧倒する約310,000本以上の作品数を誇ります。これは競合他社と比較して、以下のような特徴があります:
- Huluの約140,000本と比較して2倍以上の作品数
- マイナーな作品やニッチなコンテンツも豊富
- 劇場公開直後の最新作も多数配信
2. ユニークな付加価値モデル
ポイントシステム
- 毎月1,200円相当のポイントを付与
- レンタル動画、電子書籍、映画チケット割引に利用可能
- 実質的な月額料金の低減効果
マルチコンテンツ戦略
- 動画だけでなく、電子書籍も月額料金に含む
- 雑誌読み放題サービスをバンドル
3. 柔軟な配信モデル
ハイブリッド型配信モデルを採用:
- SVOD(定額制)
- TVOD(都度課金)の両方に対応
- 最新作や話題作への柔軟なアクセス
4. 市場での成長性
- 国内シェア15.0%で第2位を維持
- 2023年に会員数445万人に拡大(1年で50万人増)
- Paraviとの統合による競争力強化
5. 百貨店型コンテンツ戦略
オリジナル作品制作に拘らず、豊富な作品ラインナップで差別化:
- 映画、アニメ、韓流ドラマに特に注力
- 多様なジャンルの作品を網羅
- 特定のオリジナル作品に依存しない戦略
U-NEXTは、豊富な作品数、ポイント制、マルチコンテンツ戦略により、Netflix、Huluなどと差別化された独自の価値を提供しています。コンテンツの量と多様性、柔軟な視聴モデルが、ユーザーから選ばれる最大の理由となっているのです。
マーケターへの示唆
U-NEXTの成功から学べる重要な戦略的示唆:
- 顧客中心のアプローチ
- 顧客の潜在的な欲求を深く理解すること
- 単なる機能提供ではなく、体験価値の創造
- 柔軟な市場対応
- 市場の変化に応じた迅速な戦略修正
- Paraviとの統合による競争力強化の事例
- テクノロジーと顧客体験の最適化
- テクノロジーを顧客価値創造の手段として活用
- ユーザーインターフェースの継続的な改善
今後の展望
U-NEXTは、以下の領域でさらなる成長の可能性を秘めています:
- コンテンツのさらなる多様化
- AI技術を活用したレコメンデーションの高度化
- グローバル市場への展開可能性
結論的な戦略的示唆
U-NEXTの成功は、顧客理解、技術革新、柔軟な戦略の三位一体によるものです。マーケターは、自社のプロダクトにおいても、これらの要素を深く追求することで、市場における競争優位性を確立できるでしょう。