はじめに
「TVCMを作れ」と言われて悩んだこと、ありませんか?
実はTVCMには、視聴者の心をつかむための「定番の構成パターン」が存在します。
企業や商品の特徴によって、効果的な型は異なります。
TVCMの「構成」は、単に尺を埋めるだけの技術ではなく、ブランド戦略や商品の理解度、視聴者の心理反応に深く影響を与える重要な設計要素です。
本記事では、マーケターが押さえておくべき代表的なTVCM構成パターンを9種類に分類し、それぞれの特徴・活用ポイント・代表事例を徹底解説します。
パターン選定における戦略的視点や、各構成の長所・短所も網羅的に解説していきますので、これからCMを企画・制作する方は必見です。
TVCMの代表的構成パターン
構成パターン名 | 特徴 | 向いている商品・業界 | 代表例 |
---|---|---|---|
社名連呼型 | 社名を繰り返し印象づけ | BtoB、高認知狙い | SCSK、AGC、TOPPAN |
課題提示→自社独自価値提示型 | 問題提起からソリューション提示 | 医薬品、日用品、通信 | 花王「アタック」など |
自社独自価値提示のみ型 | 特徴の強調に特化 | ハイテク製品、性能訴求型 | Apple、Dysonなど |
感情訴求型 | 感動・笑い・驚きなど情緒訴求 | 飲料、公共サービス | 東京ガス、ソフトバンク |
ストーリーテリング型 | 小さなドラマで商品価値を表現 | ブランド・世界観重視型 | BOSS、au「三太郎」 |
ビフォーアフター型 | 劇的な変化を見せる | ダイエット、美容、住まい | RIZAP、大改造劇的ビフォーアフター |
キャラクター・タレント依存型 | 有名人やキャラ起用で親近感 | エンタメ性重視商品 | 白戸家、UHA味覚糖「コロロ」 |
無音・視覚訴求特化型 | 映像・色彩中心で異質感演出 | デザイン性高い商材 | Apple、化粧品、高級家具など |
15秒でインパクト型 | 一撃で印象を残す超短尺CM | SNS展開、話題性狙い | ライザップ、UNIQLO等 |
TVCMの代表的構成パターンの詳細
1. 社名連呼型
- 特徴:社名やブランド名を繰り返し言い続け、視聴者の記憶に刷り込むことを目的とする。シンプルで覚えやすい構成。
- メリット:認知度が極端に低い企業やBtoB企業にとっては、最初のフックとして非常に有効。
- デメリット:視聴者にとっては内容が希薄に感じられるため、商品理解や購入行動にはつながりにくいことも。
- 代表例:SCSK「ないぞ、知名度。あるぞ、ITの可能性」など。
2. 課題提示→自社独自価値提示型
- 特徴:視聴者が感じている課題や悩みを冒頭で明示し、その後に解決策として自社の価値を提示する。
- メリット:共感を呼びやすく、自社製品・サービスの必要性を納得させる力がある。
- デメリット:尺が短いと伝えきれないこともあるため、構成の設計力が問われる。
- 代表例:花王「アタック」シリーズなど、洗剤や医薬品広告に多く見られる。
3. 自社独自価値提示のみ型
- 特徴:課題提示を省略し、いきなり商品の強みや他社との違いを打ち出すスタイル。
- メリット:短時間で尖った強みを印象付けたい場合に有効。
- デメリット:視聴者にとっては関係性や文脈が乏しく、刺さらない可能性もある。
- 代表例:AppleのiPhone、Dysonの掃除機CMなど。
4. 感情訴求型
- 特徴:感動、笑い、驚きなどの情緒を訴えかけることで印象に残すスタイル。
- メリット:記憶定着率が高く、SNSなどでの拡散も起きやすい。
- デメリット:商品理解には繋がらないこともあり、感動先行で本質が伝わらない危険性も。
- 代表例:東京ガスの感動CMシリーズ、ソフトバンクのユーモアあるCMなど。
5. ストーリーテリング型
- 特徴:短編ドラマやショートストーリーを用い、商品やブランドの世界観を表現する。
- メリット:ブランディングやファンの獲得に強力。継続型シリーズに適している。
- デメリット:制作コストが高くなりがち。CMを継続的に見てもらえないと伝わりにくい。
- 代表例:BOSS「宇宙人ジョーンズ」、au「三太郎」シリーズなど。
6. ビフォーアフター型
- 特徴:使用前後の変化を対比することで、商品の効果や価値を視覚的に訴求。
- メリット:即効性・実証性があり、商品理解に直結しやすい。
- デメリット:ありきたりになりやすく、視聴者の飽きを誘うリスクも。
- 代表例:RIZAP、ダイエットサプリメント、美容器具のCMなど。
7. キャラクター・タレント依存型
- 特徴:有名人やキャラクターを前面に押し出し、話題性や親近感を高める。
- メリット:好感度や信頼感を短時間で得やすい。
- デメリット:タレント依存になると商品の印象が薄れるリスクがある。
- 代表例:白戸家(ソフトバンク)、UHA味覚糖「コロロ」など。
8. 無音・視覚訴求特化型
- 特徴:あまり説明をせず、映像・色彩・リズム・テキストだけで構成されるCM。
- メリット:異質性が際立ち、視覚的に強い印象を与えられる。
- デメリット:理解や共感が得られにくく、ハマる業界は限定される。
- 代表例:高級ブランド、化粧品CM、高級家具ブランドのCMなど。
9. 15秒でインパクト型
- 特徴:冒頭1〜2秒でフックを入れ、15秒の中で完結するインパクト重視型。
- メリット:短時間で話題をさらいやすく、SNSやWeb動画広告にも最適。
- デメリット:構成に無理が出ると情報過多や中途半端な訴求に終わるリスク。
- 代表例:UNIQLOの価格訴求CM、ライザップの瞬間ビフォーアフター演出など。
まとめ|Key Takeaways
TVCMには、視聴者の心に残すための「型」が存在します。商品やブランドの特性、訴求したい内容、尺の長さに応じて、適切な構成を選ぶことが成功のカギになります。 以下に、記事全体から得られる要点を整理しました:
- 各CM構成パターンには「得意な訴求領域」があるため、目的とメッセージに応じて使い分けることが重要。
- 商品理解を深めたいなら「課題提示型」や「ビフォーアフター型」が有効。
- 印象に残したいなら「感情訴求型」や「ストーリーテリング型」など、情緒的要素のある型が効果的。
- 認知度が低い企業には「社名連呼型」や「15秒型」が効果的。
- すべての型が万能ではないため、尺・媒体・ターゲットの特性を見極めた選定が必要。
マーケターは日々の生活の中で触れるTVCMがどのパターンで構成されているかを見極め、自社だったらどうプロモーションをするかを考える癖をつけましょう。