はじめに
マーケティング担当者の皆さん、こんな悩みを抱えていませんか?
- 「応援広告やセンイル広告って何?なぜ最近よく聞くようになったの?」
- 「新しい広告手法を取り入れたいけど、どう活用すればいいの?」
- 「応援広告やセンイル広告を使って、どうやってビジネスを改善できるの?」
本記事では、これらの疑問にお答えします。応援広告・センイル広告の基本から、その特徴、歴史、成功例、取扱企業まで、わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、応援広告・センイル広告についての理解が深まり、自社のマーケティング戦略改善のヒントを得ることができるでしょう。
では、さっそく本題に入っていきましょう。
応援広告・センイル広告とは
応援広告・センイル広告とは、ファンが自らの意思で資金を出し合い、推しのアイドルやアーティスト、キャラクターなどを応援するために制作・掲出する広告のことです。
「センイル」とは韓国語で「誕生日」を意味し、もともとは推しの誕生日を祝うために制作される広告を指していました。現在では、誕生日に限らず、デビュー記念日やコンサート開催日など、様々な機会に制作されています。
例えば、以下のような形で応援広告・センイル広告が展開されています:
- 駅構内のデジタルサイネージでアイドルの誕生日を祝う広告
- 街頭ビジョンでアーティストの新曲発売を告知する広告
- バス停でアニメキャラクターの声優イベントを宣伝する広告
これらの広告は、企業が主体となって制作する一般的な広告とは異なり、ファンの純粋な思いから生まれる点が特徴的です。
応援広告・センイル広告の特徴
応援広告・センイル広告には、以下のような特徴があります:
- ファン主導: 広告の企画から資金調達、制作まで、ファンが中心となって行います。
- 感情的つながり: 推しへの愛情や応援の気持ちが広告に反映されます。
- コミュニティ形成: 広告制作を通じて、ファン同士のつながりが強化されます。
- SNS拡散: 広告が完成すると、SNSで共有され、さらなる注目を集めます。
- 多様な媒体: 駅構内、街頭ビジョン、バス停、新聞など、様々な媒体で展開されます。
- 期間限定: 多くの場合、誕生日や記念日など、特定の期間に限定して掲出されます。
これらの特徴により、応援広告・センイル広告は従来の広告とは異なる独特の魅力を持っています。
他広告との違い
応援広告・センイル広告と一般的な広告には、いくつかの重要な違いがあります。以下の表で比較してみましょう。
項目 | 応援広告・センイル広告 | 一般的な広告 |
---|---|---|
広告主 | ファン(個人や団体) | 企業や団体 |
目的 | 推しの応援や祝福 | 商品・サービスの宣伝や認知度向上 |
資金源 | ファンの自己負担 | 企業の広告予算 |
内容 | 感情的、個人的 | 商業的、戦略的 |
ターゲット | 同じファン、潜在的ファン | 一般消費者、特定顧客層 |
効果測定 | SNSでの反応、ファンの満足度 | 売上増加、認知度向上、ROI |
制作プロセス | ファンの協力、クラウドファンディング | 広告代理店との協働 |
法的責任 | ファンや代行業者 | 広告主(企業) |
この比較から、応援広告・センイル広告が従来の広告とは全く異なるアプローチを取っていることがわかります。感情的なつながりと自発的な参加が特徴的で、これがマーケティングに新しい可能性をもたらしています。
応援広告・センイル広告の歴史
応援広告・センイル広告の歴史は、韓国のK-POP文化と深く結びついています。その発展の過程を時系列で見ていきましょう。
2016年:韓国での誕生
応援広告・センイル広告の起源は、2016年頃に韓国で放映されたオーディション番組「PRODUCE 101」にさかのぼります。この番組を機に、ファンが自主的に資金を出し合い、推しのアイドルを応援する広告を出稿する文化が急速に広まりました。
2018年:日本での萌芽
日本では2018年頃から、一部の広告代理店が応援広告の事業を開始しました。しかし、当時は企業との取引が中心だった広告業界の慣習や、日本の芸能事務所の厳しい権利管理などにより、事例は限られていました。
2019年:日本での急成長
2019年、日本版「PRODUCE 101 JAPAN」の放送をきっかけに、応援広告・センイル広告が日本でも急増しました。番組運営事務局が条件付きでファンによる広告掲出を容認したことが、この成長を後押ししました。
2020年以降:コロナ禍での拡大
新型コロナウイルスの影響で企業の広告出稿が減少する中、広告代理店や鉄道会社が個人による応援広告の受け入れを開始。これにより、応援広告・センイル広告の市場が急速に拡大しました。
2023年:市場規模の拡大
ジェイアール東日本企画の推計によると、2023年度の応援広告市場規模は約377億円に達し、屋外・交通広告費の約1割を占めるまでに成長しました。
この歴史からわかるように、応援広告・センイル広告は比較的新しい広告形態でありながら、急速に市場を拡大しています。この成長は、ファンの熱意とデジタル技術の進歩、そして広告業界の柔軟な対応が組み合わさった結果といえるでしょう。
成功例
応援広告・センイル広告の成功例をいくつか紹介します。これらの事例から、この新しい広告形態の可能性と効果を理解することができるでしょう。
1. 渋谷駅での韓国アイドル誕生日広告
概要:
東京・渋谷駅で行われた韓国アイドルの誕生日を祝う広告キャンペーン。
成功ポイント:
- 人通りの多い渋谷駅という立地を活かし、多くの人々の目に触れた。
- SNSでの拡散により、駅に行けないファンにも大きな影響を与えた。
- アイドル本人がSNSで感謝の意を表明し、ファンの満足度が高まった。
効果:
広告を見た人々の間で話題となり、アイドルの知名度向上につながった。
2. 大阪・難波駅でのK-POPグループ応援広告
概要:
大阪・難波駅にて、韓国アイドルグループのデビューアルバムを応援する広告を展開。
成功ポイント:
- 関西地域のファンが中心となって企画・実施し、地域密着型の応援を実現。
- アルバム発売日に合わせたタイミングで広告を掲出し、販促効果を最大化。
- デジタルサイネージを活用し、動画コンテンツも含めた魅力的な広告を制作。
効果:
アルバムの売上向上に貢献し、グループの人気をさらに高めるきっかけとなった。
3. 川崎フロンターレの応援広告
概要:
ジェイアール東日本企画が運営するCheering AD(チアリングアド)を活用し、サッカーチーム・川崎フロンターレの応援広告を実施。
成功ポイント:
- スポーツチームとして初めての試みとなり、話題性を獲得。
- ファンと選手、チームとの絆を強化する機会となった。
- 従来のスポーツマーケティングに新しい視点を提供。
効果:
チームの認知度向上とファンの結束力強化に貢献。スポーツ界における応援広告の可能性を示した。
これらの成功例から、応援広告・センイル広告が単なる広告以上の効果を持つことがわかります。ファンの熱意がそのまま広告となることで、強い感情的つながりを生み出し、それが商業的な成功にもつながっているのです。
マーケティング担当者は、これらの事例を参考に、自社のブランドやプロダクトに対するファンの熱意をどのように活用できるか、検討してみるとよいでしょう。
取扱企業
応援広告・センイル広告を取り扱う主な企業をいくつか紹介します。これらの企業は、ファンの想いを形にする専門的なサービスを提供しています。
1. センイルJAPAN
特徴:
- 日本初の「推しのセンイル/応援広告特化型代理店」
- 年間500件以上、累計2,000件を超えるサポート実績
- 日本語、韓国語、中国語、英語対応可能
- クラウドファンディングサービスも提供
サービス内容:
- 街頭ビジョン、交通広告、SNS広告など多様な広告媒体の提案
- 海外(アメリカ、韓国など)での広告掲出も可能
- AR広告やアドトラック、カプホイベントなど独自のサービスも展開
公式サイトURL:https://birthdayadjp.shop/
2. 応援広告WORLD(株式会社グローアップ)
特徴:
- 交通広告に強い広告代理店
- 大阪メトロ、JR西日本、JR東海(新幹線)、ジェイアール東日本企画、阪急電鉄の指定広告代理店
サービス内容:
- 駅周辺のポスター
- ネットワークビジョン
- デジタルサイネージ
- 街頭ビジョン
- 関西地域の交通広告に強み
公式サイトURL:https://train-ad.net/
3. Cheering AD(ジェイアール東日本企画)
特徴:
- JR東日本グループの広告代理店
- 「Cheering AD(チアリングアド)」というサービスを展開
サービス内容:
- JR東日本の駅構内や車内での広告掲出
- デジタルサイネージやポスターなど多様な広告媒体を提供
- スポーツチームの応援広告にも対応
公式サイトURL:https://cheering-ad.jeki.co.jp/
応援広告・センイル広告の今後の展望
- 市場規模の拡大:
ジェイアール東日本企画の推計によると、2023年度の応援広告市場規模は約377億円に達しています。今後も成長が見込まれます。 - 多様化する媒体:
従来の交通広告やビジョンだけでなく、AR広告やデジタル技術を活用した新しい広告形態が登場する可能性があります。 - 企業マーケティングへの応用:
ファンの熱意を活かした広告手法は、一般企業のマーケティング戦略にも応用される可能性があります。 - 国際展開の加速:
K-POPの世界的人気に伴い、応援広告・センイル広告の国際的な展開がさらに加速すると予想されます。 - 法的整備の進展:
著作権や肖像権の問題に対応するため、より明確な法的ガイドラインが整備される可能性があります。
まとめ
応援広告・センイル広告は、ファンの熱意を形にする新しい広告形態として急速に成長しています。韓国発祥のこの文化は、日本でも定着し、アイドル業界だけでなくスポーツやアニメなど様々な分野に広がっています。
今後は、デジタル技術の進化や国際的な展開により、さらなる発展が期待されます。一方で、著作権や肖像権の問題、適切な規制の在り方など、課題も存在します。
マーケティング担当者は、この新しい広告形態の可能性と課題を理解し、適切に活用することで、ファンとの強い絆を築き、ブランド価値を高めることができるでしょう。