スター・ウォーズ:世界を魅了し続けるブランドの秘密を解き明かす - 勝手にマーケティング分析
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スター・ウォーズ:世界を魅了し続けるブランドの秘密を解き明かす

なぜスターウォーズは 世界を魅了し続けるのか 商品を勝手に分析
この記事は約8分で読めます。

はじめに

マーケターの皆さん、一度は耳にしたことがあるスター・ウォーズ。単なる映画シリーズを超えた、驚くべきブランド戦略の成功モデルがここにあります。

本記事では、スター・ウォーズがいかにして世界中の人々に選ばれ、50年以上にわたって愛され続けているのかを、マーケティングの観点から徹底解剖します。あなたのビジネスにも応用できる、顧客を魅了し続けるブランド構築の秘密を紐解いていきます。

スター・ウォーズとは

https://starwars.disney.co.jp

ブランド概要

スター・ウォーズは、1977年にジョージ・ルーカスによって生み出されたアメリカの宇宙の戦争をテーマにした映画のシリーズです。現在では映画だけでなく、アニメーション、小説、コミック、ゲームなど、多岐にわたるメディアで展開されている包括的なエンターテインメントブランドです。

スター・ウォーズの驚異的な経済的影響力

スター・ウォーズシリーズは、映画史上最も成功した映画フランチャイズの一つとして、驚くべき経済的成果を示しています。

指標詳細
総世界興行収入約94億4,681万米ドル
平均映画興行収入約11億8,085万米ドル
対象映画数8本

歴代興行収入ランキング

スター・ウォーズ映画は世界興行収入ランキングで最上位に名を連ねています:

  1. 「フォースの覚醒」(2015年):約20.7億米ドル
  2. 「ファントム・メナス」(1999年):約10.4億米ドル
  3. 「最後のジェダイ」(2017年):約13.3億米ドル

歴史的な成功の背景

  • 初代作品「新たなる希望」(1977年)は、製作費1,100万米ドルに対し、約7億7,500万米ドルを達成
    • 物価調整後の興行収入ランキングでは、「新たなる希望」は31.4億ドルを記録
  • 2015年の「フォースの覚醒」は、米国の成人のほとんどが鑑賞
  • 40年以上経った今でもポップカルチャーの重要な要素
  • 映画、テレビ番組、ビデオゲーム、おもちゃ、書籍など多岐にわたる展開

スター・ウォーズは、単なる映画シリーズを超えた、グローバルな文化現象として、驚異的な経済的成功を収めています。

STAR WARSをSWOT分析してみた

スターウォーズが選ばれ続ける理由を解明するためにはスターウォーズの強み、弱み、さらに伸びる機会、競合や環境変化の脅威を知る必要があります。

SWOT分析

  • 強み(Strengths)
    • 世界的に認知された強力なブランド力(グローバルブランド認知度95%以上)
    • 多世代にわたるファンベース(コアファン数推定5000万人以上)
    • 豊富な知的財産(キャラクター、設定、ストーリー)
    • 高品質な映像技術と特殊効果(ILM社による革新的VFX)
    • 多様なメディア展開(映画、TV、書籍、ゲーム、テーマパーク)
    • ディズニーによる強力なバックアップ(年間マーケティング予算推定5億ドル以上)
    • 独自の世界観とミソロジー(フォースの概念など)
  • 弱み(Weaknesses)
    • 新三部作に対する一部ファンの批判(Rotten Tomatoesでの評価の分極化)
    • 過度の商業化への批判(年間マーチャンダイズ売上40億ドル以上)
    • 新規ファン獲得の難しさ(複雑な設定や長い歴史)
    • 制作費の高騰(1作品あたり平均2-3億ドル)
    • クリエイティブ方向性の一貫性維持の難しさ
    • 一部地域での文化的な受容の課題(中国市場でのシェア低下)
    • 長期的なストーリー展開の管理の複雑さ
  • 機会(Opportunities)
    • ストリーミングサービス(Disney+)での新シリーズ展開
    • VR/AR技術を活用した新しい体験の提供
    • 新興市場(インド、東南アジアなど)での展開強化
    • eスポーツ市場への本格参入(年間成長率15%以上)
    • AIを活用したパーソナライズドコンテンツの開発
    • 環境問題や社会問題を扱う新シリーズの展開
    • ファンによるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用拡大
  • 脅威(Threats)
    • 競合SFフランチャイズの台頭(MCUなど)
    • ファンの期待値の高まりによる批評の厳格化
    • 著作権侵害や海賊版の増加(年間損失推定10億ドル以上)
    • 政治的・文化的な理由による特定市場での受容性低下
    • 若年層の興味の分散(ソーシャルメディア、短尺動画など)
    • 制作コストの継続的な上昇
    • パンデミックなどによる映画館観客数の減少

とるべき戦略

  • SO戦略(強みを活かして機会を最大限に活用する戦略):
    • Disney+を活用した独占コンテンツの拡充
    • VR/ARを用いた没入型STAR WARS体験の開発
    • 新興市場向けのローカライズされたSTAR WARSコンテンツの制作
  • WO戦略(弱みを克服して機会を活かす戦略):
    • 新規ファン獲得のための入門シリーズの制作
    • ファンフィードバックを積極的に取り入れたストーリー開発プロセスの確立
    • 低予算でも高品質な派生作品の制作(アニメーションなど)
  • ST戦略(強みを活かして脅威に対抗する戦略):
    • ブロックチェーン技術を用いたデジタル著作権管理システムの導入
    • 若年層向けのショートフォームコンテンツの展開(TikTok、Instagram Reelsなど)
    • ファンコミュニティを活用した口コミマーケティングの強化
  • WT戦略(弱みと脅威の最小化を図る戦略):
    • 制作コスト最適化のためのAI・機械学習技術の導入
    • 多様性と包括性を重視した新キャラクターやストーリーラインの開発
    • クラウドファンディングを活用したファン参加型プロジェクトの実施

スター・ウォーズの市場におけるPOP/POD/POF

続いてスターウォーズが戦うSF映画市場やシリーズ系映画の市場の満たすべき要素について探っていきます。

Points of Parity (POP)

カテゴリ内容
SF映画の基本要素宇宙、未来、テクノロジー
エンターテインメント要素アクション、冒険、ヒーローストーリー

Points of Difference (POD)

カテゴリ独自性
ストーリー世界観独自の銀河系設定、フォースという概念
キャラクター深い背景を持つ多様なキャラクター
世界観の一貫性緻密に作り込まれた設定と物語

Points of Failure (POF)

カテゴリリスク
技術的制約初期の特殊効果の限界
ストーリー展開プリクエル三部作への批判
ファン期待への対応新作に対する厳しい評価

購入者の合理(オルタネイトモデル)

ではファンはどういう合理でスターウォーズのファンになっていくのでしょうか。

きっかけ

  • エンターテインメントへの欲求
  • 冒険や未知への探求心
  • ポップカルチャーへの興味

欲求

  • 日常から逃れる没入体験
  • ヒーローストーリーへの共感
  • 想像力の拡張
  • 伏線の回収

抑圧

  • 現実世界の制約
  • 日常のストレス
  • 限られた冒険の機会

報酬

  • 感動体験
  • 想像力の解放
  • コミュニティへの帰属感

Who/What/How分析

Who(誰に)

  • 年齢:8歳から80歳まで幅広い層
  • 性別:男女問わず
  • 特徴:冒険、SF、ファンタジーに興味がある人々
  • JOB:壮大な長編ストーリーを体験して非日常を味わいたい

What(何を)

  • 便益:没入感のある物語体験で非日常を味わえる
  • 独自性:緻密で伏線のある世界観と普遍的なヒーローストーリー
  • RTB(信頼の根拠):50年以上続く一貫したブランド価値、莫大な興行収入

How(どのように)

  • メディア展開:映画、アニメ、小説、ゲーム
  • コミュニケーション:公式イベント、ソーシャルメディア
  • ファン育成:緻密なファン対応戦略

ここがすごいよSTAR WARSのマーケティング

STAR WARSは、競合や代替手段が多数存在する中で、以下の独自性により顧客から選ばれ続けています:

  1. 普遍的なテーマと独自の世界観:善と悪の戦い、成長と贖罪といった普遍的なテーマを、独自の宇宙設定と「フォース」という概念で表現しています。これにより、文化や世代を超えた共感を得ています。
  2. トランスメディア・ストーリーテリング:映画だけでなく、TV、小説、コミック、ゲームなど多様なメディアを通じて一貫した世界観を展開。各メディアが相互に補完し合い、より深い没入感を提供しています。
  3. 革新的な視覚効果と音響:常に最先端の特殊効果技術を採用し、観客を魅了し続けています。また、独特の音響効果(ライトセーバーの音など)が作品の記憶に強く結びついています。
  4. 強力なキャラクター設定:ダース・ベイダーやヨーダなど、アイコニックなキャラクターが多数存在し、それぞれが深い背景ストーリーを持っています。
  5. コミュニティ形成:ファンの熱意を大切にし、コスプレイベントやファン制作コンテンツの公認など、コミュニティ形成を積極的に支援しています。

マーケターがSTAR WARSから学べる重要な洞察:

  1. 一貫性のある世界観構築:ブランドの核となる世界観やメッセージを明確にし、あらゆるタッチポイントで一貫性を保つことが重要です。
  2. 多層的なターゲティング:コアファンから新規顧客まで、異なるニーズを持つ顧客層それぞれに適したアプローチを用意することで、幅広い支持を獲得できます。
  3. テクノロジーとストーリーテリングの融合:最新技術を活用しつつ、人々の心に響く普遍的なストーリーを語ることで、革新性と親近感を両立させることができます。
  4. ファンエンゲージメントの重視:顧客をただの消費者ではなく、ブランドの一部として扱い、双方向のコミュニケーションを大切にすることで、長期的なロイヤルティを構築できます。
  5. 柔軟な進化と伝統の尊重:新しい要素を取り入れながらも、ブランドの核心を守り続けることで、既存ファンの支持を維持しつつ、新規顧客の獲得も可能になります。
  6. クロスプロモーションの活用:異なる業界やブランドとのコラボレーションにより、新たな顧客層へのリーチを拡大し、ブランドの多面的な魅力を引き出すことができます。

STAR WARSの成功は、単なる製品やサービスの提供を超えた、総合的なブランド体験の創造にあります。この手法は、他の業界のマーケターにも応用可能であり、顧客との深い絆を築く上で非常に効果的です。マーケターの皆さん、スター・ウォーズのブランド戦略から、顧客を魅了し続ける秘訣を学びましょう。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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