なぜショート動画を見続けてしまうのか?心理メカニズムと根底の本能を徹底解説 - 勝手にマーケティング分析
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なぜショート動画を見続けてしまうのか?心理メカニズムと根底の本能を徹底解説

なぜショート動画を見続けてしまうのか? 応用を学ぶ
この記事は約9分で読めます。

はじめに

TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsといったショート動画プラットフォームは、日常のスキマ時間を埋めるだけでなく、多くのユーザーにとって「止められない」コンテンツになっています。「気づいたら何時間も見てしまっていた…」という経験を持つ人も多いでしょう。

本記事では、ショート動画の視聴継続を促す 脳科学・心理学・行動経済学的メカニズム を分析し、マーケティングへの応用可能性についても解説していきます。

この心理を理解することは消費者や企業を振り向かせたいマーケターにとって非常に有効な手段と言えます。ぜひ学んでいきましょう。


ショート動画にハマる心理メカニズム

まずは人間がショート動画にハマるメカニズムについて考察していきましょう。

1. ドーパミン報酬系の影響

脳内の報酬系が活性化することで、ショート動画視聴が習慣化される

🔹 ドーパミンとは?
ドーパミンは、脳内で快感を感じる際に放出される神経伝達物質 であり、報酬学習と深く関わっています。

🔹 ショート動画とドーパミンの関係

  • 短時間で報酬(面白い動画)を得られる
  • 「もっと面白い動画があるかも?」と期待が生まれ、スクロールを続ける
  • 予測できない報酬が次々に現れる(ギャンブルと同じ可変報酬)

ショート動画は スワイプするたびにドーパミンが分泌される 仕組みになっており、ユーザーは快感を求めてスクロールを止められなくなるのです。


2. 可変報酬の仕組み(ギャンブル依存と同様)

次の動画が面白いかどうか分からない「不確実性」が視聴をやめられない理由

🔹 ギャンブルとの類似性

  • スロットマシンと同じ報酬システム
    → 「たまに大当たり(面白い動画)が出ると、次も期待してスワイプを続ける」
  • 予測不可能な報酬が行動を強化する → 「次に何が出るか分からない」状況が、脳をより興奮させる(心理学的に証明済み)

このように、「報酬がいつ得られるか分からない」状況は、強い習慣を形成しやすいのです。


3. フリクションレスな操作性

「スクロールするだけで無限に動画が見れる」=視聴をやめるきっかけがない

  • ワンタップ or スワイプするだけで次の動画
  • 途中で考えずに済むシームレスなUI
  • 待ち時間なしで次々と動画が流れる

「やめるきっかけがない」設計になっているため、無意識のうちにスクロールを続けてしまう のです。


4. 新奇性と好奇心を刺激

人間の脳は「新しいもの」に敏感に反応する

  • ショート動画は、常に 新しい情報・刺激 を提供する
  • その結果、「もっと新しい情報を得たい!」という 本能的な欲求 が生まれる

この新奇性への反応は、SNS依存やスマホ依存と同じメカニズム です。


5. 社会的承認の欲求(FOMO現象)

「流行についていかなければ」という不安が視聴継続を促す

  • 「バズってる動画は面白いはず」 → ついチェックしてしまう
  • 「みんなが見ているものは価値がある」 → 確認しないと損した気分になる
  • 「いいね」「シェア」が欲しい」 → 自分も反応を得たくなる(社会的承認)

この「見逃したくない!(FOMO = Fear of Missing Out)」という心理が、動画を見続けてしまう要因となります。

このように、ショート動画は人間が報酬を得るためにドーパミンが放出しやすい仕組みや仕掛けになっていて、さらにそれが好奇心や承認欲求を満たすために見続けてしまうという構造になっているため、人間は無思考で見続けてしまうと言えるのではないでしょうか。

人間の本能とショート動画の関係

さらに、上記で考察した欲求や行動の根源には人間のどのような本能が起因しているのかを深掘りしていきます。筆者は人間の生存・繁殖・社会性に関する本能 に基づいていると考えています。

🔹 生存本能(即時的な報酬を求める)

  • 人間は、生存のために即時的な報酬を得るよう進化 してきました。
  • 食料を見つける、危険を回避する、といった行動は、即時的な報酬(満腹感や安全)につながるため、脳が快感を感じやすい。
  • ショート動画も同様に、短時間で「面白さ」「驚き」「感動」といった報酬を得られるため、脳が強く反応します。

🔹 繁殖本能(魅力的なものを探し続ける)

  • 人間は、より魅力的な異性を探し、良い遺伝子を残そうとする本能を持っています。
  • ショート動画では、次々に「美男美女」「魅力的なライフスタイル」「新しい体験」が流れてくるため、本能的に見続けてしまう

🔹 社会性(集団から取り残されたくない)

  • 人間は、集団で生き残るために社会的なつながりを重視する 生き物。
  • SNSやショート動画で流行しているコンテンツをチェックしないと「周囲についていけない」「話題に入れない」という不安(FOMO:Fear of Missing Out)が生まれる。
  • 「みんなが見ているものは価値がある」と感じやすく、流行のショート動画をチェックし続けてしまう

🔹 好奇心(新しいものを探し続ける)

  • 人間は、新しい情報を得ることで生存確率を上げる よう進化してきました。
  • ショート動画では、「次の動画はもっと面白いかも?」という期待が生まれ、脳が新しい情報を探し続ける
  • これにより、無限スクロールが止められなくなる。

このように、ショート動画の中毒性は 人間の生存や繁殖の確率を少しでも上げたいという本能に起因しているため、無意識のうちにハマってしまうのです。人間の行動、心理は全てこの生存や繁殖の確率を上げたいという本能に基づいていると考えるとヒントが見えてきますのでぜひおすすめです。


ショート動画の心理メカニズムをマーケティング活用

ご紹介したショート動画の視聴を促す心理メカニズムを理解することで、マーケターはユーザーに取って欲しい行動を戦略的に引き出し、ブランドや商品に振り向いてもらうことに活用できないでしょうか。最後にマーケティングに応用するための具体的なアプローチをまとめます。


1. 生存本能を刺激するコンテンツ設計

🔹 即時的な報酬を提供する

  • すぐに役立つ情報(ライフハック、時短テクニック、簡単レシピなど)を短時間で伝える。
  • 「○○するだけで△△になる!」のように、視聴者がすぐに試せる実践的な情報を提供。

🔹 視覚的・感情的なインパクトを活用

  • サムネイルや冒頭3秒で「何が得られるか」を明確に示し、脳の報酬系を刺激。
  • 強烈なビジュアル、驚きの要素、緊張感のあるナレーションを加えることで、視聴者を引き込む。

2. 繁殖本能を活かしたコンテンツの魅力向上

🔹 「美しさ」や「ライフスタイル」の訴求

  • 美男美女を起用し、視聴者の「自分もこうなりたい」という願望を刺激。
  • 高級感のある映像や、憧れのライフスタイルを見せることで、視聴者に「この商品・サービスがあれば理想に近づける」と思わせる。

🔹 自己表現を促すコンテンツ

  • 視聴者が「自分もやってみたい」と感じるコンテンツ(ダンス、ファッション、トレンド)を作成。
  • 「このトレンドに乗れば魅力的に見える」ことを強調する。

3. 社会性を利用したバズを生み出す戦略

🔹 FOMO(取り残される不安)を活用

  • 「今話題の○○」「みんなやってる○○」といったフレーズを使用し、視聴者に「見逃したくない」と思わせる。
  • トレンドを意識したハッシュタグやチャレンジ企画を活用し、ユーザーの参加を促す。

🔹 シェアしやすいコンテンツを作る

  • 視聴者が「友達に見せたくなる」「SNSで共有したくなる」ような驚きやユーモアを取り入れる。
  • コメントやリアクションを促し、視聴者とのインタラクションを増やす。

4. 好奇心を刺激して視聴を継続させる

🔹 「続きが気になる」仕掛けを作る

  • ストーリー形式の動画を作成し、視聴者が次の投稿を待ちたくなるような構成にする。
  • 「次回、衝撃の結末!」などのフックを活用し、リピート視聴を促す。

🔹 意外性を持たせる

  • 予想を裏切る展開や「知らなかった!」と思わせる情報を入れることで、視聴者の興味を引き続ける。
  • 「○○だと思ったら、実は△△だった!」のような意外性のあるオチを作る。

5. 可変報酬のメカニズムを活用する

🔹 視聴者が次の動画を期待する設計

  • ランダム性を取り入れ、視聴者が「次の動画も面白いかも?」と思うようにする。
  • 視聴者が動画をスワイプし続ける心理を利用し、複数のシリーズ動画を連続で視聴したくなるように誘導。

🔹 ライブ配信や限定コンテンツを組み合わせる

  • 「この時間にしか見られない」コンテンツを提供し、視聴者に特別感を与える。
  • 限定オファーやプレゼントキャンペーンを用意し、リアルタイムでのエンゲージメントを促進。

6. フリクションレスな体験を提供する

🔹 購入・アクションへの導線をシンプルにする

  • 動画内で「今すぐ購入」「試してみる」といった明確なCTA(コールトゥアクション)を入れる。
  • ワンクリックで購入ページに遷移できるリンクを配置し、余計なステップを排除。

🔹 ユーザーが迷わない設計

  • 「スクロールするだけで次の動画に進む」ような操作感を活かし、視聴からアクションまでスムーズに誘導。
  • 余計な情報を排除し、視聴者がすぐに反応できるUI/UXを構築。

マーケターは、ショート動画にハマる人間の心理、本能を理解することで、視聴者の行動を効果的に引き出し、ブランドのエンゲージメントを最大化することが可能になるでしょう。

まとめ

🔹ショート動画がやめられない理由

  • ドーパミンの刺激(報酬系の活性化)
  • 可変報酬の仕組み(ギャンブル的要素)
  • フリクションレスな操作性(簡単に次の動画へ)
  • 新奇性・好奇心(次が気になる!)
  • 社会的承認の欲求(みんなが見てるなら面白いはず)

🔹マーケティング活用法

  • 最初の3秒で引きつける
  • 可変報酬を組み込む
  • スクロールし続けたくなる設計
  • 社会的承認の欲求を刺激

ショート動画の仕組みを理解し、マーケティング戦略に活かせば、より効果的なプロモーションが可能になります!マーケターのみなさんは今世間で流行っているものはなぜトレンドとなるのか、皆がハマるのかをぜひ考察し、その人間心理や本能に沿ったマーケティングを仕掛けていきましょう。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

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