SBI証券が選ばれる理由:オンライン証券業界トップの秘訣とマーケティング戦略 - 勝手にマーケティング分析
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SBI証券が選ばれる理由:オンライン証券業界トップの秘訣とマーケティング戦略

SBI証券はなぜ選ばれるのか 商品を勝手に分析
この記事は約13分で読めます。

はじめに

多くのマーケターやビジネスパーソンが直面する課題の1つに、自社製品やサービスが市場でなぜ選ばれるのか、その理由を明確に言語化できないという問題があります。この記事では、オンライン証券業界のリーディングカンパニーであるSBI証券を例に、ブランドが選ばれる理由を多角的に分析します。SBI証券の成功要因を紐解くことで、あなたの企業やブランドの成長戦略に活かせるヒントを提供します。

SBI証券とは

Screenshot

SBI証券は、SBIホールディングス株式会社の完全子会社で、日本最大級のオンライン証券会社です。1999年に設立され、個人投資家向けに株式、投資信託、債券、FX、先物・オプションなど幅広い金融商品を提供しています。

公式サイト:https://www.sbisec.co.jp/

SBI証券を数字で理解しよう

SBI証券の最新の業績および注目すべき数字をまとめました。以下の表をご参照ください。

指標数値備考
通期売上(営業収益)203,398百万円前期比16.2%増
通期営業利益68,686百万円前期比10.6%増
総合口座数約1,293.6万口座2024年6月末時点、グループ全体
NISA口座数約500万口座2024年6月に達成
IPO引受関与率93.7%2023年4月〜12月期
預り資産残高約43.3兆円2024年6月末時点、前年同期比42.9%増
信用取引口座数約148.1万口座2024年6月末時点

これらの数字は、SBI証券が業界をリードする証券会社であることを示しています。特に口座数、IPO取扱、預り資産残高などで業界トップクラスの実績を誇っています。


出典:2024年3月期SBIホールディングス株式会社決算説明会

SBI証券が戦う市場のPOP/POD/POF

続いて、SBI証券が競争を繰り広げるオンライン証券市場におけるPOP(Point of Parity)、POD(Point of Difference)、POF(Point of Failure)を分析してみましょう。

POP(業界標準の要素)

  1. 取扱商品の多様性:国内株式、外国株式、投資信託、債券、FX、先物・オプションなど
  2. オンラインでの口座開設と取引
  3. リアルタイムの株価情報提供
  4. モバイルアプリの提供
  5. セキュリティ対策(二段階認証など)

POD(SBI証券の差別化要素)

  1. 業界最低水準の手数料体系
  2. 豊富な投資情報と分析ツールの提供
  3. NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の積極的な推進
  4. SBIグループの総合金融サービスとの連携
  5. 海外9カ国の株式取引が可能(特にベトナム株の取り扱い)

POF(失敗要因)

  1. 対面サービスの不足(リモートツールで補助)
  2. システム障害によるサービス停止
  3. 顧客サポートの質や対応速度の低下
  4. プライバシーやセキュリティの問題
  5. 複雑な商品やサービスに対する説明不足

SBI証券は、POPを確実に押さえつつ、独自のPODを強化することで市場での競争優位性を確立しています。同時に、POFを最小限に抑えるための継続的な改善努力が求められます。

SBI証券が戦う市場のPESTEL分析

次に、オンライン証券市場におけるPESTEL分析を行い、SBI証券が直面する機会と脅威を明らかにします。

Political(政治的要因)

  • 機会:
    • NISA制度の拡充による個人投資の促進
    • 政府による資産形成支援策の強化
  • 脅威:
    • 金融規制の強化による業務制限
    • 国際的な金融政策の変更による市場の不安定化

Economic(経済的要因)

  • 機会:
    • 低金利環境下での投資需要の増加
    • 経済成長に伴う個人資産の増加
  • 脅威:
    • 経済不況による投資意欲の減退
    • 為替変動リスクの増大

Social(社会的要因)

  • 機会:
    • 若年層の投資への関心の高まり
    • 長寿化に伴う資産形成ニーズの増加
  • 脅威:
    • 人口減少による国内市場の縮小
    • 金融リテラシーの低さによる投資離れ

Technological(技術的要因)

  • 機会:
    • AIやビッグデータを活用した投資サービスの開発
    • ブロックチェーン技術による新たな金融商品の創出
  • 脅威:
    • サイバーセキュリティリスクの増大
    • 新技術導入に伴うコスト増加

Environmental(環境的要因)

  • 機会:
    • ESG投資への関心の高まり
    • 環境配慮型企業への投資需要の増加
  • 脅威:
    • 気候変動リスクによる特定セクターの投資価値の低下
    • 環境規制強化による企業業績への影響

Legal(法的要因)

  • 機会:
    • 金融商品取引法の改正による新サービスの展開
    • クロスボーダー取引の規制緩和
  • 脅威:
    • 個人情報保護法の厳格化によるコスト増
    • 国際的な税制改正による投資環境の変化

SBI証券は、これらの機会と脅威を適切に分析し、戦略に反映させることで、市場環境の変化に柔軟に対応しています。

SBI証券のSWOT分析と取るべき戦略

次に、SBI証券の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析し、それに基づいた戦略を考えてみましょう。

強み(Strengths)

  1. 業界最低水準の手数料体系
  2. 豊富な投資商品ラインナップ
  3. 充実した投資情報と分析ツール
  4. SBIグループの総合金融サービスとの連携
  5. 高いブランド認知度と顧客基盤

弱み(Weaknesses)

  1. 対面サービスの不足
  2. システム障害のリスク
  3. 顧客サポートの質や対応速度の改善余地
  4. 複雑な商品説明の難しさ
  5. 高齢者向けサービスの不足

機会(Opportunities)

  1. NISA制度の拡充による個人投資の促進
  2. 若年層の投資への関心の高まり
  3. AIやビッグデータを活用した新サービスの可能性
  4. ESG投資への需要増加
  5. クロスボーダー取引の規制緩和

脅威(Threats)

  1. 競合他社との価格競争の激化
  2. サイバーセキュリティリスクの増大
  3. 金融規制の強化
  4. 経済不況による投資意欲の減退
  5. 新技術導入に伴うコスト増加

取るべき戦略

  1. SO戦略(強みを活かして機会を捉える)
    • 低コスト戦略を維持しつつ、NISA制度を活用した若年層向けの投資教育プログラムを展開
    • SBIグループの総合力を活かしたAI投資アドバイザーサービスの開発
  2. WO戦略(弱みを克服して機会を捉える)
    • オンラインでの対話型サポートシステムを導入し、複雑な商品説明を改善
    • 高齢者向けのユーザーインターフェースを開発し、シニア層の投資需要を取り込む
  3. ST戦略(強みを活かして脅威に対抗する)
    • 豊富な投資商品ラインナップを活かし、経済状況に左右されにくいポートフォリオ提案サービスを強化
    • グループの技術力を結集し、最先端のセキュリティシステムを構築
  4. WT戦略(弱みを最小化し、脅威を回避する)
    • システム投資を継続し、安定性と処理速度を向上させることで、競合との差別化を図る
    • 顧客サポートの品質向上と効率化を同時に実現するAIチャットボットの導入

これらの戦略を適切に組み合わせることで、SBI証券は市場環境の変化に柔軟に対応し、競争優位性を維持・強化することができます。

SBI証券の購入者の合理(オルタネイトモデル)

続いて、SBI証券の顧客が同社を選択する理由を、オルタネイトモデルを用いて複数のパターンで分析します。

パターン1:コスト重視型投資家

  • 行動:SBI証券で口座を開設し、低コストで株式取引を行う
  • きっかけ:他社との手数料比較で、SBI証券の低コストを知る
  • 欲求:少ない費用で効率的に資産を増やしたい
  • 抑圧:高額な手数料が資産形成の障害になるという不安
  • 報酬:取引コストの削減による投資収益の最大化

パターン2:情報探求型投資家

  • 行動:SBI証券の投資情報や分析ツールを活用して投資判断を行う
  • きっかけ:投資セミナーでSBI証券の情報サービスの充実さを知る
  • 欲求:質の高い投資情報を基に、自信を持って投資したい
  • 抑圧:情報不足による投資の失敗への恐れ
  • 報酬:豊富な情報に基づく的確な投資判断と成果

パターン3:多様性追求型投資家

  • 行動:SBI証券で国内外の様々な金融商品に投資する
  • きっかけ:ポートフォリオの分散化の必要性を認識する
  • 欲求:リスクを分散しつつ、高いリターンを得たい
  • 抑圧:単一市場への投資による損失リスクへの不安
  • 報酬:多様な商品への投資によるリスク分散と収益機会の拡大

パターン4:テクノロジー活用型投資家

  • 行動:SBI証券のモバイルアプリを使用して、いつでもどこでも取引を行う
  • きっかけ:スマートフォンの普及と生活のデジタル化
  • 欲求:時間や場所の制約なく、柔軟に投資活動を行いたい
  • 抑圧:従来の取引方法による機会損失への懸念
  • 報酬:リアルタイムの市場動向への対応と取引の利便性向上

パターン5:総合金融サービス活用型顧客

  • 行動:SBI証券を含むSBIグループの複数のサービスを利用する
  • きっかけ:SBIグループの総合的な金融サービスの存在を知る
  • 欲求:資産運用から日常の金融取引まで、一元的に管理したい
  • 抑圧:複数の金融機関を利用することによる煩雑さへの不満
  • 報酬:シームレスな金融サービスの利用

SBI証券のWho/What/How

最後に、SBI証券の顧客セグメントごとに、Who(誰の、どんなJOB)、What(便益、独自性、RTB)、How(プロダクトの機能、顧客とのコミュニケーション、価格、場所など)を分析します。

パターン1:初心者投資家

一言で言うと:「投資初心者の不安を解消し、安心して始められる証券会社」

Who

  • 顧客像:20〜30代の会社員、投資経験がほとんどない
  • JOB:少額から始めて、将来の資産形成の第一歩を踏み出したい

What

  • 便益:低コストで簡単に投資を始められる、初心者向けの情報提供が充実
  • 独自性:業界最低水準の手数料、豊富な投資教育コンテンツ
  • RTB(Reason To Believe):口座開設数No.1、NISA口座数No.1の実績

How

  • プロダクトの機能:スマートフォンアプリでの簡単取引、少額から始められる投資信託
  • 顧客とのコミュニケーション:SNSを活用した投資情報の発信、オンラインセミナーの開催
  • 価格:業界最低水準の手数料、キャンペーンによる実質無料取引
  • 場所:オンライン中心、一部店舗でのサポート

パターン2:積極的な個人投資家

一言で言うと:「多様な投資機会と高度な分析ツールを提供する、本格派投資家の味方」

Who

  • 顧客像:30〜50代の会社員または自営業者、投資経験が豊富
  • JOB:積極的な投資戦略を実行し、高いリターンを追求したい

What

  • 便益:豊富な投資商品ラインナップ、高度な分析ツールの利用
  • 独自性:海外株式(特にアジア株)の充実、リアルタイムの市場分析情報
  • RTB:取引量No.1、顧客満足度の高さ

How

  • プロダクトの機能:高機能な取引ツール、API連携によるアルゴリズム取引
  • 顧客とのコミュニケーション:専門家によるマーケット分析レポート、投資戦略セミナー
  • 価格:取引量に応じた手数料割引、デリバティブ取引の低コスト
  • 場所:オンライン中心、専門的な相談は電話サポート

パターン3:長期的な資産形成を目指す投資家

一言で言うと:「長期的な資産形成をサポートする、総合的な金融パートナー」

Who

  • 顧客像:30〜60代の会社員や主婦、退職後の資産運用を考える人
  • JOB:安定的な資産形成を行い、将来の経済的自由を確保したい

What

  • 便益:長期投資に適した商品ラインナップ、総合的な資産管理サービス
  • 独自性:SBIグループの総合金融サービスとの連携、iDeCoやNISAの充実したサポート
  • RTB:運用資産残高の成長率、長期投資の成功事例

How

  • プロダクトの機能:ロボアドバイザー、定期積立サービス、ポートフォリオ分析ツール
  • 顧客とのコミュニケーション:資産形成セミナー、ライフプランニングサポート
  • 価格:長期保有者向けの手数料優遇、積立投資の手数料無料キャンペーン
  • 場所:オンラインでの情報提供、定期的な資産運用相談会の開催

SBI証券と楽天証券の比較

双方のユーザー層や選ばれる理由を比較してみました。

項目SBI証券楽天証券
主なユーザー層幅広い年齢層、特に20代〜60代幅広い年齢層、特に楽天経済圏ユーザー
手数料業界最低水準低コスト、一部取引無料
取扱商品豊富(国内外株式、投資信託など)豊富(国内外株式、投資信託など)
ポイントプログラムSBIポイント楽天ポイント
使いやすさやや複雑との評価あり直感的で使いやすいとの評価
投資情報・教育充実充実(セミナー、コラムなど)
特徴的なサービスIPO取扱数が多い楽天経済圏との連携
顧客満足度高評価(オリコン顧客満足度ランキング1位)高評価(複数の顧客満足度調査でNo.1)
選ばれる主な理由コスト競争力、豊富な商品ラインナップ、充実した投資情報楽天経済圏との連携、ポイント還元、使いやすさ

両社とも幅広いユーザー層に支持されていますが、SBI証券はコスト競争力と豊富な商品ラインナップで選ばれる傾向にあり、楽天証券は楽天経済圏との連携やポイント還元、使いやすさで選ばれる傾向にあります。どちらも顧客満足度が高く、投資初心者から上級者まで幅広い投資家のニーズに応えられる証券会社として評価されています。

結論:SBI証券は誰になぜ選ばれるのか

SBI証券は、以下の理由から幅広い投資家層に選ばれています:

  1. コスト競争力:業界最低水準の手数料体系により、コスト意識の高い投資家から支持を得ています。
  2. 豊富な商品ラインナップ:国内外の株式、投資信託、債券、FX、先物・オプションなど、多様な投資ニーズに応える商品を提供しています。
  3. 充実した投資情報と分析ツール:初心者から上級者まで、各レベルに合わせた情報と分析ツールを提供し、投資判断をサポートしています。
  4. テクノロジーの活用:使いやすいスマートフォンアプリや高機能な取引ツールにより、利便性の高い投資環境を実現しています。
  5. 総合金融サービスとの連携:SBIグループの他のサービスと連携することで、総合的な資産管理を可能にしています。
  6. 長期的な資産形成支援:iDeCoやNISAなどの制度を積極的に活用し、長期的な資産形成をサポートしています。
  7. 信頼性とブランド力:業界トップクラスの顧客基盤と取引量を誇り、安定性と信頼性を提供しています。

これらの要因により、SBI証券は初心者から上級者まで、幅広い投資家層のニーズに応え、選ばれ続けています。

まとめ

SBI証券の成功事例から、マーケターが自社ビジネスに活かせるポイントを以下にまとめます:

  1. 明確な差別化戦略:SBI証券の低コスト戦略のように、市場で明確な差別化ポイントを持つことが重要です。ただし低コスト戦略は業界のリーダーしかできない手法のため注意が必要。
  2. 顧客セグメンテーションとニーズ対応:初心者から上級者まで、顧客層ごとに適切なサービスと情報を提供することで、幅広い顧客基盤を構築できます。
  3. テクノロジーの積極活用:顧客の利便性を高め、競争力を維持するために、最新のテクノロジーを積極的に導入することが重要です。
  4. エコシステムの構築:SBIグループの総合金融サービスのように、関連サービスとの連携によって顧客の囲い込みと付加価値の創出が可能です。
  5. 長期的な顧客関係の構築:資産形成支援のように、顧客の長期的なニーズに応えることで、持続的な関係性を築くことができます。
  6. 情報提供とエデュケーション:商品やサービスの提供だけでなく、顧客教育や情報提供に力を入れることで、信頼関係を構築し、ロイヤルティを高めることができます。
  7. 市場環境の変化への適応:PESTEL分析やSWOT分析を定期的に行い、変化する市場環境に柔軟に対応する戦略を立てることが重要です。
  8. ブランド力の構築:一貫したマーケティングメッセージと高品質なサービス提供により、業界でのリーダーシップポジションを確立することができます。

これらの要素を自社のビジネスモデルに適用することで、SBI証券のような成功を収めることができる可能性が高まります。常に顧客視点を持ち、市場の変化に敏感に反応しながら、独自の価値提案を磨き続けることが、長期的な成功への鍵となります。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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