ROBLOXはなぜ1.5億人を虜にするのか?マーケターが知るべきメタバース経済圏の全貌 - 勝手にマーケティング分析
商品を勝手に分析

ROBLOXはなぜ1.5億人を虜にするのか?マーケターが知るべきメタバース経済圏の全貌

ROBLOXは なぜ1.5億人に人気なのか 商品を勝手に分析
この記事は約24分で読めます。

はじめに

「ゲーム業界の話でしょ?うちのビジネスには関係ないかも」――そう思ったあなたこそ、この記事を読むべきです。

2025年Q3時点で、ROBLOXのデイリーアクティブユーザー数は約1億5,150万人。これは、Steam・PlayStation・Nintendo Switchのユニークユーザーの数倍に相当する規模です。しかも、前年比で20%以上の成長を続けています。

特に注目すべきは、日本市場の急成長です。2023年にランキング圏外だったROBLOXは、2024年には小学生のゲームシェアで3.05%を獲得し、今まさに日本でも急速に浸透しつつあります。Nike、Gucci、TBS、Honda、住友商事など、グローバル企業から日本企業まで、続々とこのプラットフォームに参入しています。

この記事では、マーケターの視点から「ROBLOXとは何か」「なぜこれほど流行しているのか」「今後どうなるのか」を徹底解説します。消費者心理の根源的な欲望に基づく分析を通じて、あなたのビジネスにも応用できる本質的な示唆を得られるはずです。


ROBLOXとは?基本情報を押さえる

Screenshot

「ゲーム版YouTube」と呼ばれる理由

ROBLOXは2006年にリリースされたユーザー生成コンテンツ(UGC)プラットフォームです。「ゲーム版YouTube」と評される最大の理由は、YouTubeで誰もが動画を投稿できるように、ROBLOXでは誰もがゲームを制作・公開できる点にあります。

現在、プラットフォーム上には約5,000万以上のゲームが存在し、毎日何千もの新作が追加されています。ユーザーは好きなゲームを無料でプレイでき、クリエイターは自作ゲームから収益を得ることができます。

項目内容
リリース年2006年
DAU(デイリーアクティブユーザー)約1.5億人(2025年Q3)
ゲーム数約5,000万本以上
対応プラットフォームPC、スマホ、タブレット、PlayStation、Xbox、Meta Quest
主要ユーザー層10〜20代(13歳以上が全体の60%超)
四半期エンゲージメント時間390億時間(2025年Q3)

出典:ROBLOX 公式サイト

メタバース×ゲーム×SNSの融合

ROBLOXの本質は、単なるゲームプラットフォームではありません。ユーザーはアバターを通じて仮想空間内で友人と交流し、一緒にゲームをプレイし、ボイスチャットで会話し、アイテムを取引します。つまり、ゲーム+SNS+経済圏が融合したメタバースとして機能しているのです。

現実世界で公園やカフェに集まっていた若者たちが、今ではROBLOX上で集まり、一緒に過ごす時間を楽しんでいます。46%のZ世代ユーザーが毎日利用しているというデータは、この「デジタルたまり場」としての役割を物語っています。


どれくらい流行しているのか?圧倒的な数字で見る成長

驚異的な成長率

ROBLOXの成長スピードは、他のプラットフォームと比較しても圧倒的です。

指標2021年2023年2024年2025年成長率
DAU約4,210万人約6,600万人約8,900万人約1億5,150万人4年で3倍以上
13歳以上のユーザー-約4,500万人約5,360万人約8,250万人前年比54%増
エンゲージメント時間/四半期-約160億時間約207億時間約369億時間78%増

特筆すべきは、13歳以上のユーザーが54%も増加している点です。当初は子供向けというイメージが強かったROBLOXですが、今やティーンエイジャーや若年成人層まで広がっています。

日本市場での急成長

日本国内でも状況は同様です。株式会社ゲムトレの調査によると、小学生がプレイするゲームシェアは以下の通り推移しています。

年度MinecraftROBLOXFortnite
2023年26.4%0.9%(初ランクイン)10.6%
2024年29.35%3.05%6.42%

2023年に初めてランキング入りしたROBLOXは、わずか1年で3倍以上に成長しています。一方、Fortniteやあつ森がコロナ禍終焉とともにシェアを落としている中、ROBLOXは逆行して成長を続けています。

他のプラットフォームとの比較

ROBLOXの規模感を理解するため、主要ゲームプラットフォームと比較してみましょう。

プラットフォームMAUDAU/MAU比率備考
ROBLOX約3.8億人約25.7%ユーザー生成コンテンツ
Steam約1.9億人-PC専用
Minecraft約7,600万人-サンドボックスゲーム単体
Fortnite約1.7億人-バトルロイヤル中心

DAU/MAU比率が25.7%という数字は、4人に1人以上が毎日利用していることを意味します。これは驚異的なエンゲージメント率です。


どんなゲームが人気なのか?トップタイトルから見る成功パターン

訪問数トップ5のゲーム

ROBLOXで最も人気のあるゲームを見ると、成功パターンが見えてきます。

ランクゲーム名総訪問数ジャンル特徴
1Brookhaven RP500億回超ロールプレイング自由度の高い生活シミュレーション
2Adopt Me!400億回超ペット育成動物育成と交換システム
3Tower of Hell-アクションタワー登頂のタイムアタック
4Murder Mystery 2157億回ミステリー殺人鬼vs探偵vsチルドレン
5MeepCity160億回ソーシャルカスタマイズとロールプレイ

Brookhaven RP:訪問数No.1の秘密

2020年4月にリリースされたBrookhaven RPは、現在ROBLOXで最も訪問数の多いゲームです。2025年2月には、開発者のWolfpaqがVoldex社に売却したことでも話題になりました。

成功要因:

  • 圧倒的な自由度:家を建てる、車を運転する、職業を選ぶなど、プレイヤーが自由に生活を設計できる
  • リアルな街並み:豪邸から一軒家まで、細部まで作り込まれた建物とインテリア
  • ソーシャル要素:友達と一緒に警察ごっこ、カフェ店員ごっこ、学校ごっこなど、ロールプレイの幅が広い
  • 低い操作障壁:シンプルな操作で誰でもすぐに遊べる

平均して50万人のプレイヤーが同時接続しており、ピーク時には110万人を超えることもあります。

Adopt Me!:ペット育成の王者

2017年にリリースされたAdopt Me!は、ペット育成とトレーディングが中核のゲームです。2021年4月には192万人の同時接続を記録し、3年以上この記録は破られませんでした(2024年12月にBlox Fruitsが240万人で更新)。

成功要因:

  • コレクション欲求:レアペットを集める楽しさ
  • トレーディングシステム:プレイヤー間でペットを交換できる経済圏
  • 継続的なアップデート:定期的に新しいペットやイベントを追加
  • 初心者フレンドリー:チュートリアルが充実し、誰でも始めやすい

人気ゲームに共通する4つのパターン

ROBLOXで成功しているゲームには、以下の共通点があります。

成功パターン内容該当ゲーム例
社会的交流友達と一緒に楽しめる要素Brookhaven RP、MeepCity
自己表現アバターやアイテムのカスタマイズAdopt Me!、Brookhaven RP
コレクションアイテムやペットを集める楽しさAdopt Me!、Pet Simulator
リプレイ性何度も遊びたくなる仕掛けTower of Hell、Murder Mystery 2

なぜここまで流行しているのか?成功要因を徹底分析

ROBLOXがここまで爆発的に成長した理由を理解するためには、プラットフォームの設計思想とビジネスモデルの本質を見る必要があります。一見すると単なるゲームプラットフォームに見えますが、実は巧妙に設計された成長エンジンが組み込まれているのです。

理由1:完全無料で遊べる圧倒的な参入障壁の低さ

ROBLOXの最大の特徴は、基本プレイが完全無料という点です。アカウント作成も無料、ほとんどのゲームも無料でプレイできます。これは特に若年層にとって極めて重要な要素です。

従来のゲームでは、PlayStation 5本体を買い(約6万円)、さらにソフトを購入(1本5,000円〜8,000円)する必要がありました。しかしROBLOXは、スマートフォンやタブレット、古いパソコンでも動作するため、新しいハードウェアを買う必要がありません。親の財布を気にする小中学生でも、気軽に始められるのです。

実際、日本の小学生のゲームシェアでROBLOXが急成長している背景には、「無料で友達と遊べる」という経済的アクセシビリティがあります。Fortniteも無料ですが、ROBLOXはさらに「自分でゲームを作れる」という付加価値があり、差別化に成功しています。

理由2:無限に広がるコンテンツ―「飽き」との戦いに勝つ仕組み

一般的なゲームの最大の課題は「飽き」です。どんなに面白いゲームでも、やり込めばいずれクリアしてしまい、飽きてしまいます。しかしROBLOXは、この問題を構造的に解決しています。

プラットフォーム上には約5,000万本のゲームが存在し、毎日何千もの新作が追加されています。つまり、一つのゲームに飽きても、すぐに次のゲームが見つかるのです。しかも、ジャンルは多岐にわたります。今日はホラーゲーム、明日はレースゲーム、週末は友達とロールプレイング――このように、気分に合わせてゲームを選べます。

これは、YouTubeで動画を見る体験に似ています。一つの動画に飽きても、関連動画が無限に続くため、プラットフォームから離脱しません。ROBLOXも同じ構造を持っており、「プラットフォームそのものに飽きる」ということが起こりにくい設計になっています。

理由3:友達と遊べる社交性―デジタル時代の「公園」

現代の若者にとって、ROBLOXは単なるゲームではなく、友達と過ごす場所です。実際、多くのユーザーは「ゲームをするため」ではなく「友達と一緒にいるため」にROBLOXにログインしています。

従来のオンラインゲームとの違いは、ROBLOXが**「ゲーム」よりも「場所」に近い**という点です。例えば、Brookhaven RPでは、ゲームをクリアする目標はありません。友達と街を探索し、警察ごっこをしたり、カフェで雑談したり、家を装飾したりするだけです。これは、現実世界で公園やショッピングモールで友達と過ごすのと同じ感覚です。

コロナ禍で物理的な集まりが制限された時期、ROBLOXのユーザー数は急増しました。これは、若者たちが「友達と過ごす場所」をデジタル空間に求めた結果です。パンデミックが終わった後も、この習慣は定着し、「今日どこで遊ぶ?」という会話が「今日ROBLOXで何する?」に変わったのです。

理由4:クロスプラットフォーム対応―デバイスの制約からの解放

ROBLOXは、PC、スマートフォン、タブレット、PlayStation、Xbox、Meta Questなど、ほぼ全てのデバイスに対応しています。しかも、異なるデバイス間でも一緒に遊べます。

これがどれほど画期的かを理解するために、従来のゲームと比較してみましょう。例えば、任天堂Switchで遊んでいる友達とPlayStation 5で遊んでいる友達は、一緒にプレイできないことがほとんどです。しかしROBLOXでは、スマホで遊んでいる友達、PCで遊んでいる友達、ゲーム機で遊んでいる友達が、同じゲーム内で一緒に遊べます。

この「デバイスを選ばない」設計は、特に家庭の経済状況が異なる友達同士で遊ぶ際に重要です。高価なゲーム機を持っていない子供でも、古いスマートフォンがあれば参加できます。これは、友達のネットワークを維持するための重要な要素となっています。

理由5:クリエイターエコノミー―「遊ぶ側」から「作る側」への転換

ROBLOXの革新的な点は、プレイヤーが簡単にクリエイターになれるという点です。Roblox Studioという開発ツールは無料で提供されており、プログラミング初心者でも使いやすい設計になっています。

これは、若者にとって「将来の可能性」を示しています。最初はゲームで遊ぶだけだった子供が、やがて「自分もゲームを作ってみたい」と思い、実際に作ってみる。そして、そのゲームが人気になれば、実際にお金を稼げるのです。2024年時点で、年収100万ドル以上を稼ぐクリエイターが1,000人以上いるという事実は、「夢物語」ではなく「現実的なキャリアパス」として認識されています。

この構造は、YouTubeの成功モデルと同じです。視聴者だった人が、やがて動画投稿者になり、人気YouTuberになっていく。ROBLOXも同様に、「消費者から生産者への転換」を促す仕組みを持っており、これがプラットフォームの活性化に大きく貢献しています。

理由6:収益モデルの巧妙さ―課金圧力を感じさせない設計

ROBLOXのビジネスモデルは、基本プレイ無料のフリーミアムですが、課金の仕方が非常に巧妙です。直接的に「このゲームをプレイするには課金が必要」という形ではなく、アバターのカスタマイズやゲーム内アイテムの購入という形で課金を促します。

重要なのは、課金しなくても十分に楽しめるという点です。無料でもほとんどのゲームをプレイできますし、アバターも基本的なものは無料です。しかし、「友達がかっこいいアバターを持っている」「限定アイテムが欲しい」という社会的圧力や自己表現欲求が、自然な形で課金を促します。

この「押し付けがましくない課金設計」は、長期的なユーザー維持に極めて有効です。課金を強制されると感じた瞬間、多くのユーザーは離脱しますが、ROBLOXでは自発的に「課金したい」と思わせる仕掛けが随所に組み込まれています。

理由7:継続的なアップデートと技術革新

ROBLOXは、プラットフォームの改善を止めません。2025年には生成AI機能を大規模に導入し、クリエイターがより簡単に高品質なゲームを作れるようにしました。また、PlayStation対応、ボイスチャット機能、VR対応など、定期的に新機能を追加しています。

この継続的な進化は、ユーザーとクリエイターの両方に「このプラットフォームは成長し続ける」という期待感を与えます。今日投資した時間やお金が、明日無駄にならないという安心感は、長期的なコミットメントを促す重要な要素です。

特に、AI技術の導入は画期的です。従来はプログラミング知識が必要だったゲーム制作が、AIのサポートにより、より多くの人にとってアクセス可能になりました。これは、クリエイターの裾野を広げ、さらなるコンテンツの多様化をもたらします。

理由8:ネットワーク効果による自己強化サイクル

ROBLOXの成長は、典型的なネットワーク効果によって加速されています。これは、使う人が増えれば増えるほど、プラットフォームの価値が高まるという現象です。

具体的には、以下のような好循環が生まれています。プレイヤーが増えると、クリエイターにとって潜在的な顧客が増えるため、ゲーム制作のモチベーションが高まります。クリエイターが増えると、ゲームの種類が増え、プレイヤーにとっての選択肢が広がります。選択肢が増えると、さらに多くのプレイヤーが参加します。そして、友達が使っていると、自分も使いたくなります。

この自己強化サイクルは、一度回り始めると止めることが難しく、プラットフォームの成長を加速させます。実際、日本でも「友達がやっているから」という理由でROBLOXを始める子供が多く、これが急成長の一因となっています。

理由9:メタバース的体験―次世代インターネットの先取り

ROBLOXは、いわゆる「メタバース」の概念を早い段階から実現していました。アバターを通じて仮想空間で社交し、ゲームをプレイし、創作活動を行い、経済活動をする――これらは全て、将来のインターネットの姿として語られている「メタバース」の要素です。

FacebookがMetaに社名変更してメタバースに注力すると発表したのは2021年ですが、ROBLOXはそれよりもはるかに前から、実質的にメタバースプラットフォームとして機能していました。この先行者利益は大きく、ROBLOXは「メタバースと言えばROBLOX」というブランドポジションを確立しています。

特に若年層にとって、ROBLOXでの体験は「これが普通のインターネット」として認識されています。つまり、将来インターネットがメタバース化していったとき、彼らはすでにその使い方を知っているのです。これは、スマートフォンネイティブ世代がPCよりもスマホを自然に使いこなすのと同じ現象です。

理由10:企業参入による信頼性の向上

Nike、Gucci、TBS、Hondaなど、大手ブランドが次々とROBLOXに参入していることも、プラットフォームの信頼性を高めています。親の立場からすると、「大企業が参入しているなら安全だろう」という安心感があります。

また、企業の参入は、プラットフォームの多様性も高めています。ゲームだけでなく、ブランド体験、教育コンテンツ、イベントなど、様々な体験がROBLOX上で提供されるようになりました。これは、「ROBLOXは単なるゲームプラットフォームではなく、総合的なデジタル体験の場」という認識を強めています。


これらの要因が複合的に作用し、ROBLOXは前例のない成長を遂げています。重要なのは、どれか一つの要因ではなく、これら全てが相互に作用しているという点です。無料で始められるから参加者が増え、参加者が増えるからコンテンツが増え、コンテンツが増えるから飽きずに遊べ、友達と遊べるから継続する――この好循環が、ROBLOXの成功の核心なのです。

了解しました!ROBLOXのWho/What/Howを簡潔に表形式でまとめます。


ROBLOXのWho/What/How分析

ROBLOXは3つの主要な顧客セグメントを持つエコシステム型のプラットフォームです。それぞれのセグメントの視点で整理をしてみます。

パターン1:Z世代・α世代プレイヤー向け

要素内容
Who(誰)8-18歳のZ世代・α世代、デジタルネイティブ、学校の友達とのつながりを重視
Who(JOB)友達と楽しい時間を過ごしたい、個性を表現したい、友達から取り残されたくない
What(便益)いつでもどこでも友達と繋がれる仮想空間、5000万以上のゲームから選べる選択肢、自己表現の場
What(独自性)プレイヤーが同時にクリエイターになれる、圧倒的なソーシャル性、完全クロスプラットフォーム対応
How(プロダクト)完全無料、全デバイス対応、Roblox Studio無料提供、生成AI機能
How(コミュニケーション)YouTube/TikTokのインフルエンサー実況、友達招待の仕組み、パーソナライズドレコメンデーション
How(場所)アプリストア(iOS/Android)、公式サイト、実店舗でのRobuxカード販売
How(価格)基本無料、Robux課金(400 Robux/550円〜)、Premium月額600円〜

パターン2:クリエイター(ゲーム開発者)向け

要素内容
Who(誰)13-30代のゲーム制作に興味がある個人、プレイヤーからの転身組も多い
Who(JOB)自分のアイデアを形にしたい、ゲーム開発で収入を得たい、将来のキャリアに繋げたい
What(便益)ゲーム開発インフラが完全無料、数億人の潜在プレイヤー、充実した学習リソース
What(独自性)30%の高い収益配分率、バイラル性の高い設計、段階的な学習曲線
How(プロダクト)Roblox Studio(無料IDE)、生成AI機能、リアルタイムアナリティクス
How(コミュニケーション)Developer Hub、年次カンファレンス(RDC)、YouTubeチュートリアル
How(場所)公式サイトからStudioダウンロード、DevExで収益化(PayPal等)
How(価格)無料で開発可能、売上の約30%がクリエイターに還元、トップ層は年間数百万ドル

パターン3:企業・ブランド向け

要素内容
Who(誰)Z世代・α世代をターゲットとするブランド(Nike、Gucci、TBS、Honda等)
Who(JOB)若年層に認知してもらいたい、ブランド体験を提供したい、メタバース時代の先駆者になりたい
What(便益)8000万人以上のDAUへの直接アクセス、体験型マーケティング、詳細なデータとインサイト
What(独自性)Z世代・α世代の高い集中度(1日2.5時間以上滞在)、UGCとの融合、グローバルリーチ(190カ国)
How(プロダクト)ブランデッドゲーム開発、バーチャルグッズ販売、期間限定イベント
How(コミュニケーション)Roblox for Brands専用チーム、成功事例の発信、カンファレンス・ウェビナー
How(場所)ROBLOXプラットフォーム内、自社サイト・SNSからの誘導
How(価格)開発コスト数百万〜数千万円、売上の一部をROBLOXに支払い、測定可能で高いROI

3つのセグメントの相互関係

セグメント役割プラットフォームへの貢献
プレイヤーコンテンツ消費者プレイ時間、課金、ネットワーク効果
クリエイターコンテンツ生産者ゲーム制作、プラットフォーム価値向上
企業ブランド提供者資金流入、信頼性向上、多様性拡大

この3者が相互に依存し合うエコシステムが、ROBLOXの持続的成長を支えていると言えるでしょう。これはYoutubeの視聴者、クリエイター、企業の3つがそれぞれの目的を叶えられるエコシステムと似ています。

ROBLOXの成功から学ぶマーケティングの教訓

ここまで解説してきたROBLOXから我々マーケターが学べることは何でしょうか。5つに絞ってまとめてみました。

教訓1:UGC(ユーザー生成コンテンツ)の威力

ROBLOXの最大の強みは、コンテンツをユーザーが作るという点です。これは従来のゲーム業界のビジネスモデルを根本から変えています。

従来のゲーム業界 vs ROBLOXモデル:

項目従来モデルROBLOXモデル
開発体制社内チームまたは提携会社数百万人のクリエイター
開発コスト数億円〜数十億円ほぼゼロ(プラットフォーム提供のみ)
リスク失敗すれば大損失成功報酬型でリスク分散
コンテンツ量数本〜数十本4,000万本(常に増加)
イノベーション限定的多様なアイデアが生まれる

あなたのビジネスへの応用:

  • 顧客を「消費者」ではなく「共創者」として位置づける
  • UGCを促進する仕組み(投稿機能、レビュー、ユーザー主導のイベントなど)を導入する
  • クリエイターに適切に報酬を還元し、エコシステムを健全に保つ

教訓2:マルチプラットフォーム戦略の重要性

ROBLOXはPC、スマホ、タブレット、ゲーム機、VRデバイスなど、あらゆるプラットフォームに対応しています。一度開発すれば、全てのデバイスで自動的にプレイ可能になります。

マルチプラットフォームの利点:

  • ユーザー獲得機会の最大化:デバイスの制約なく、誰でもアクセスできる
  • 開発者の負担軽減:個別のビルド作成が不要
  • クロスプレイ対応:デバイスが違っても一緒に遊べる

あなたのビジネスへの応用:

  • サービスをスマホ、PC、タブレットなど複数のデバイスで提供する
  • デバイス間でシームレスに体験を継続できる設計にする
  • 「いつでも、どこでも、どのデバイスでも」をモットーに顧客接点を増やす

教訓3:ネットワーク効果とコミュニティの力

ROBLOXの成長は、典型的なネットワーク効果によって加速されています。

ネットワーク効果の実例:

  • プレイヤーが増えると、クリエイターにとって収益機会が増える
  • クリエイターが増えると、ゲームの種類が増える
  • ゲームが増えると、プレイヤーにとって魅力が増す
  • 友達がいると、新規ユーザーを連れてくる

あなたのビジネスへの応用:

  • 「使う人が増えるほど価値が高まる」仕組みを設計する
  • コミュニティ形成を促進する機能を実装する
  • 既存ユーザーが新規ユーザーを連れてくるインセンティブを用意する

教訓4:クリエイターエコノミーへの投資

ROBLOXは2021年第1四半期だけで、売上の30%をクリエイターにレベニューシェアとして支払いました。2024年には、年収100万ドル以上を稼ぐクリエイターが1,000人以上誕生しています。

クリエイターエコノミーの設計:

要素ROBLOXの実装効果
収益化の容易さRobux→現金への換金システムクリエイターの参加意欲向上
透明性アナリティクスで詳細データ提供改善のための情報提供
サポートAI支援ツール、チュートリアル参入障壁の低下
コミュニティ開発者フォーラム、イベント知識共有と相互支援

あなたのビジネスへの応用:

  • プラットフォームを利用するクリエイター/パートナーが適切に報酬を得られる仕組みを作る
  • 透明性の高いデータ提供で、クリエイターの意思決定を支援する
  • 初心者でも参入しやすいツールやサポートを提供する

教訓5:Z世代・α世代の特性を理解する

ROBLOXの主要ユーザー層であるZ世代(1997〜2012年生まれ)α世代(2010年代以降生まれ)には、特有の消費行動があります。

Z世代・α世代の特徴:

特徴内容ROBLOXの対応
能動的体験志向受動的な情報消費ではなく、自ら参加したいゲーム制作、UGC
デジタルネイティブ生まれた時からスマホがある世代マルチデバイス対応
コミュニティ重視SNSでのつながりを大切にするソーシャル機能の充実
個性の表現自分らしさを大切にするアバターカスタマイズ
短時間コンテンツ短い時間で楽しめるものを好む多様なゲームジャンル

あなたのビジネスへの応用:

  • 「見る」だけでなく「参加する」体験を設計する
  • コミュニティ形成を促進する機能を優先する
  • 個性を表現できる余地を残す
  • スマホファーストで設計する

今後の展望:ROBLOXはどこへ向かうのか?

展望1:生成AI技術の本格活用

ROBLOXは2025年、4D生成AIをはじめとする革新的なAI機能を導入しました。

AIがもたらす変化:

AI機能内容インパクト
4Dオブジェクト生成オブジェクト間の相互作用まで自動生成制作時間を大幅短縮
コード自動補完プログラミングをAIがサポート初心者の参入障壁が下がる
3Dモデル生成テキストから3Dモデルを自動生成クリエイティブの民主化
リアルタイムGPT統合自然言語でゲーム要素を作成「誰でもクリエイター」が加速

これにより、プログラミング知識がなくても高品質なゲームを作れる時代が到来します。クリエイターの裾野が広がり、さらなるコンテンツ爆発が予想されます。

展望2:企業参入の本格化

2025年、ROBLOXはNetflix、セガ、講談社をはじめとした大手企業とライセンス供与の新システムを立ち上げました。日本企業の参入も加速しています。

企業活用の3つのパターン:

パターン目的事例
ブランディング若年層への認知拡大Nike、Gucci、ONE PIECE
コマース連動商品体験とクーポン配布Chipotle、Walmart
採用・教育若年層へのアプローチ文化服装学院、地方自治体

特に注目すべきは、Z世代・α世代への直接リーチが可能という点です。従来の広告では捕捉が難しかったこの層に、体験型のプロモーションを仕掛けられます。

展望3:VR/AR技術の統合

ROBLOXは既にMeta Questに対応していますが、今後さらにVR/AR体験が強化されると予想されます。

想定される進化:

  • より没入感の高いVR体験
  • ARグラスを通じた現実世界とのブレンド
  • Apple Vision Proなど次世代デバイスへの対応
  • ハプティクス(触覚フィードバック)の実装

これにより、「メタバース」という概念がより現実味を帯び、デジタルとリアルの境界がさらに曖昧になるでしょう。

展望4:教育分野への本格展開

ROBLOXは既に教育ツールとしての側面を持っていますが、今後さらに教育分野への進出が加速すると見られます。

教育活用の可能性:

分野活用方法効果
プログラミング教育Roblox Studioでの実践学習楽しみながらスキル習得
歴史・地理歴史的建造物の再現体験体験型学習
職業体験バーチャル職業体験キャリア教育
協働学習グループプロジェクトチームワーク育成

実際、不登校の生徒がROBLOXを通じて友達を作り、学習意欲を取り戻すケースも報告されています。

展望5:日本市場の本格開拓

ROBLOXは日本市場の成長率の高さを認識しており、「日本の市場開拓とクリエイターの参加が鍵」と明言しています。

日本市場攻略の戦略:

  • 日本語サポートの強化
  • 日本企業とのコラボレーション増加
  • 日本人クリエイターの育成プログラム
  • 日本の文化・コンテンツIPとの連携

2026年にはDAU 2億人突破が予想されており、日本でもさらに存在感を増すでしょう。

展望6:メタバース経済圏の拡大

ROBLOXはすでに独自の経済圏を形成していますが、今後さらに拡大が予想されます。

経済圏拡大の方向性:

  • NFT統合:デジタルアセットの真の所有権
  • 現実通貨との連動強化:Robuxと現実通貨の交換レート最適化
  • ブロックチェーン技術:取引の透明性向上
  • 広告枠販売:メタバース内広告の価値向上

人々がメタバースで過ごす時間が増えるにつれ、メタバース上のビジネス価値も高まるという循環が生まれます。


まとめ:ROBLOXから学ぶ次世代マーケティングの本質

Key Takeaways

要点詳細あなたのビジネスへの示唆
UGCの威力ユーザーがコンテンツを作る仕組みで、コストをかけずに多様性を実現顧客を共創者として位置づけ、参加型の体験を設計する
複数の流行る理由無料、アップデート、エコシステムなど流行る理由が多く存在単一の価値提案ではなく、多層的な価値を提供する
クリエイターエコノミー適切な報酬還元で、質の高いコンテンツが自然に生まれるパートナーやクリエイターが成功する仕組みを作る
ネットワーク効果使う人が増えるほど価値が高まる設計コミュニティ形成を促進し、既存ユーザーが新規を連れてくる仕組みを作る
マルチプラットフォームデバイスの制約なく、いつでもどこでもアクセス可能顧客接点を最大化し、シームレスな体験を提供する
Z世代・α世代の理解能動的体験、コミュニティ、個性表現を重視する世代特性への対応「見る」だけでなく「参加する」体験を設計する

Next Action:明日から実践できる3つのステップ

ステップ1:自社ビジネスの「選ばれる理由」を明確にする

  • 顧客へのインタビューから選ばれる理由を明確にする
  • Who/What/Howを明確にする。
  • 競合が対応していない差別化の機会を見つける

ステップ2:UGCや参加型要素の導入を検討する

  • 顧客が「消費者」から「共創者」になれる仕掛けを考える
  • レビュー、投稿、カスタマイズなど、小さな参加から始める
  • 貢献してくれる顧客に適切な報酬や承認を提供する仕組みを設計する

ステップ3:ROBLOXでの企業活用を実験的に検討する

  • 若年層(Z世代・α世代)がターゲットなら、ROBLOXでの体験型プロモーションを検討する
  • 小規模なイベントやゲームから試験的に始める
  • 効果測定を行い、次の施策に活かす

「うちの会社はゲームとは関係ない」と思ったあなたこそ、ROBLOXから学ぶべきことがあります。

ROBLOXの本質は、顧客を「消費者」から「共創者」に変えるプラットフォーム設計にあります。これはゲーム業界に限らず、あらゆるビジネスに応用可能な概念です。

ぜひ他業界からも学んで自社に活かしていきましょう。

出典:ROBLOX 公式サイト

WhoWhatHowテンプレバナー (800 x 300 px)
この記事を書いた人
tomihey

■運営者について
本ブログの運営者のtomiheyです。
マーケティング領域で14年間約200ブランド以上に関わってきました。

■本ブログの内容
主に、Who/What/Howフレームもとに実際のブランドを分析し、ブランドの成長、失敗に関する悩みや解決策を解説しています。

現在、企業向けにマーケティング戦略(Who/What)/戦術(How)の支援サービスをしています。1時間無料で壁打ちも可能ですので、ご興味がありましたら下記からご連絡ください。

tomiheyをフォローする
シェアする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました