市場調査とは?やり方から手法・費用まで実務で使える完全ガイド - 勝手にマーケティング分析
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市場調査とは?やり方から手法・費用まで実務で使える完全ガイド

市場調査の全体像 マーケの基礎
この記事は約21分で読めます。

はじめに

「新商品を出したいけど、本当に売れるのかわからない」「競合の動きが気になるけど、どう調べればいいかわからない」「市場調査って言葉は聞くけど、何から始めればいいの?」

こんな悩みを抱えている若手マーケターや事業担当者の方は多いのではないでしょうか。

市場調査は、ビジネスの意思決定を「勘」から「データ」に変える強力な武器です。しかし、その全体像を正しく理解し、実務で使いこなせている人は意外と少ないのが現実です。

本記事では、市場調査の基本的な定義から、具体的な13の調査手法、実践的な5ステップの進め方、費用相場、そして成功のためのポイントまでを徹底解説します。この記事を読み終える頃には、あなたも自信を持って市場調査を企画・実行できるようになっているはずです。


市場調査とは

市場調査の定義

市場調査とは、ビジネスの意思決定に必要な情報を、特定の市場について体系的に収集・分析・解釈するプロセスのことです。

もう少し噛み砕いて言うと、「売れる商品を作るため」「効果的なマーケティング施策を打つため」に、顧客のニーズや競合の動向、市場のトレンドなどを調べて、データに基づいた判断材料を得る活動です。

市場調査で調べる主な項目は以下の通りです。

調査対象調べる内容活用シーン
顧客ニーズ、購買行動、満足度、属性新商品開発、サービス改善
市場規模、成長率、トレンド、将来予測事業計画、投資判断
競合シェア、戦略、強み・弱み、価格差別化戦略、ポジショニング
自社ブランド認知度、イメージ、評判マーケティング効果測定

市場調査とマーケティングリサーチの違い

「市場調査」と「マーケティングリサーチ」は混同されがちですが、厳密には異なる概念です。

比較項目市場調査(Market Research)マーケティングリサーチ(Marketing Research)
対象範囲市場の現状把握が中心マーケティング活動全般
時間軸過去〜現在のデータ分析過去〜現在〜未来の予測も含む
目的市場の状況を知るマーケティング課題の解決
調査内容市場規模、競合動向、顧客属性上記に加え、広告効果、価格戦略、新製品テストなど

実務上は、両者を明確に区別する必要はありません。本記事では、広義の「市場調査」として、マーケティングリサーチの要素も含めて解説していきます。


市場調査が重要な理由と5つのメリット

「なぜ市場調査にコストと時間をかける必要があるのか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。市場調査の重要性を、具体的な5つのメリットから解説します。

メリット1:データに基づく意思決定ができる

市場調査を行うことで、「なんとなく売れそう」という勘や経験則ではなく、客観的なデータに基づいた意思決定が可能になります。

例えば、新商品の価格設定を考える場合、市場調査なしでは「競合より少し安くしよう」という曖昧な判断になりがちです。しかし、PSM分析(価格感度測定)を行えば、「最適価格は980円、上限は1,200円」といった具体的な根拠を持って価格を決められます。

メリット2:失敗のリスクを軽減できる

新規事業や新製品の失敗率は非常に高いと言われています。市場調査を行うことで、市場投入前に潜在的なリスクを発見し、対策を講じることができます。

調査タイミング発見できるリスク対策例
企画段階ニーズの不在、市場規模の小ささ企画の見直し、ターゲット変更
開発段階機能の過不足、価格とのミスマッチ仕様変更、価格調整
発売前認知度不足、流通の問題プロモーション強化、販路開拓

メリット3:競争優位性を獲得できる

競合他社よりも深く市場と顧客を理解することで、独自の価値提案(POD:Point of Difference)を明確にできます。

当サイトで解説しているPOP・POD・POF分析を活用すれば、市場調査のデータをもとに、競合との差別化ポイントを戦略的に設計できます。

メリット4:マーケティング投資の効率化

市場調査によって顧客セグメントを明確にすることで、限られた予算を最も効果的な施策に集中投下できます。

確率思考の戦略論で知られる森岡毅氏の「売上の方程式」によれば、売上は「認知率」「配荷率」「プレファレンス(好意度)」などの要素に分解できます。市場調査でこれらの数値を把握することで、どの要素を改善すべきかが明確になります。

参考:売上を構成する9つの要素:森岡毅の方程式で学ぶマーケティング戦略

メリット5:顧客理解の深化

表面的なニーズだけでなく、顧客が言葉にできない潜在的な欲求(ジョブ)を発見することで、革新的な製品やサービスの開発につながります。

当サイトでも紹介しているオルタネイトモデルを活用すれば、市場調査で得たデータから「きっかけ・欲求・抑圧・行動・報酬」の構造を可視化し、より深い顧客理解を得ることができます。


市場調査の種類:定量調査と定性調査

市場調査は大きく「定量調査」と「定性調査」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

定量調査とは

定量調査は、数値データを収集し、統計的に分析する手法です。「何人が」「どのくらい」といった量的な把握に適しています。

特徴内容
サンプルサイズ大規模(数百〜数千人)
データ形式数値、選択肢による回答
分析手法統計分析、クロス集計
メリット客観性が高い、結果の一般化が可能
デメリット深い洞察が得にくい
適した場面市場規模の把握、認知度測定、満足度調査

定性調査とは

定性調査は、言葉や行動から深い洞察を得る手法です。「なぜ」「どのように」といった質的な理解に適しています。

特徴内容
サンプルサイズ小規模(数人〜数十人)
データ形式発言内容、行動観察
分析手法テキストマイニング、内容分析
メリット深い洞察が得られる、仮説発見に有効
デメリット主観が入りやすい、一般化が難しい
適した場面ニーズ探索、コンセプト評価、UX改善

定量調査と定性調査の使い分け

両者は対立するものではなく、組み合わせて使うことで効果を最大化できます。

調査フェーズ適した手法目的
探索フェーズ定性調査課題や仮説の発見
検証フェーズ定量調査仮説の検証、数値把握
深掘りフェーズ定性調査原因の深掘り、改善点の特定

市場調査の13の手法

実務で使われる主要な市場調査手法を13種類紹介します。それぞれの特徴、メリット・デメリット、適した場面を理解し、目的に合った手法を選びましょう。

定量調査の手法

1. インターネット調査(ネットリサーチ)

最も一般的な調査手法で、Webアンケートを通じてデータを収集します。

項目内容
特徴調査パネルを活用し、短期間で大量のデータを収集
メリット低コスト、スピーディー、地理的制約なし
デメリットインターネット非利用者の意見を取得できない
費用目安10万円〜50万円(1,000サンプル程度)
適した場面認知度調査、満足度調査、価格調査

2. 郵送調査

質問票を郵送で送付し、回答を郵送で回収する方法です。

項目内容
特徴回答者が自分のペースで回答可能
メリットインターネット非利用者にもアプローチ可能
デメリット回収率が低い(10〜30%程度)、時間がかかる
費用目安30万円〜100万円
適した場面シニア層調査、特定地域の調査

3. 電話調査

電話でインタビューを行い、回答を収集する方法です。

項目内容
特徴調査員が直接質問し、その場で回答を得る
メリット回答の補足説明が可能、比較的高い回収率
デメリット固定電話離れで対象者が限定される
費用目安50万円〜150万円
適した場面緊急の世論調査、BtoB調査

4. 会場調査(CLT:Central Location Test)

特定の会場に対象者を集め、製品やサービスを評価してもらう方法です。

項目内容
特徴実際に製品を試用してもらい、その場で評価を取得
メリット実体験に基づく評価、条件を統一できる
デメリット会場手配が必要、対象者の地域が限定
費用目安100万円〜300万円
適した場面新製品のテスト、パッケージ評価、試食調査

5. ホームユーステスト(HUT)

製品を対象者の自宅に送付し、実際の生活環境で使用・評価してもらう方法です。

項目内容
特徴実際の使用環境での評価を取得
メリットリアルな使用感を把握、長期間の評価も可能
デメリット製品配送のコスト、使用条件の統一が難しい
費用目安80万円〜200万円
適した場面日用品のテスト、食品の味覚調査

6. 街頭調査

街頭や商業施設で通行人にアンケートを実施する方法です。

項目内容
特徴特定の場所で対象者をリクルートして調査
メリット特定エリアの来訪者に直接アプローチ
デメリット天候に左右される、サンプルに偏りが出やすい
費用目安50万円〜150万円
適した場面店舗来店者調査、イベント来場者調査

定性調査の手法

7. グループインタビュー(FGI:Focus Group Interview)

6〜8名程度の対象者を集め、モデレーターの進行のもとディスカッションを行う方法です。

項目内容
特徴参加者同士の相互作用から多様な意見を引き出す
メリット短時間で多くの意見を収集、アイデア創発に有効
デメリット声の大きい人に引っ張られやすい
費用目安30万円〜80万円(1グループあたり)
適した場面新商品のコンセプト評価、広告の印象調査

8. デプスインタビュー(深層面接)

一対一で60〜90分程度の深い対話を行う方法です。

項目内容
特徴個人の深層心理や行動の背景を詳細に探る
メリット本音を引き出しやすい、センシティブな話題にも対応
デメリット時間とコストがかかる、分析に専門性が必要
費用目安3万円〜8万円(1人あたり)
適した場面購買行動の深掘り、ユーザー体験の理解

参考:深層インタビュー法完全ガイド:顧客の真のニーズを引き出す7ステップと事例

9. 行動観察調査(エスノグラフィー)

対象者の生活環境や購買現場に入り込み、行動を直接観察する方法です。

項目内容
特徴言葉にならない無意識の行動を捉える
メリット本人も気づいていないニーズを発見できる
デメリット時間がかかる、観察者のバイアスに注意
費用目安50万円〜200万円
適した場面新規事業の探索、グローバル展開時の文化理解

10. 覆面調査(ミステリーショッパー)

調査員が一般客を装って店舗やサービスを利用し、サービス品質を評価する方法です。

項目内容
特徴顧客視点でサービスの実態を把握
メリット実際の顧客体験を客観的に評価
デメリット調査員の主観に依存する部分がある
費用目安1万円〜5万円(1店舗あたり)
適した場面店舗サービスの品質管理、接客改善

その他の手法

11. デスクリサーチ(二次調査)

既存の統計データ、業界レポート、公開情報などを収集・分析する方法です。

項目内容
特徴既存データを活用するため、低コストで実施可能
メリット短期間で実施可能、客観的なデータを取得
デメリット自社の固有の課題に対応する情報がない場合も
費用目安数万円〜(社内実施の場合)
適した場面市場規模の把握、業界動向の分析

主なデータソースには以下があります。

データソース内容URL
e-Stat政府統計の総合窓口https://www.e-stat.go.jp/
RESAS地域経済分析システムhttps://resas.go.jp/
業界団体の統計各業界の市場データ業界ごとに異なる
矢野経済研究所市場調査レポートhttps://www.yano.co.jp/

12. ソーシャルリスニング

SNSや口コミサイトの投稿を収集・分析し、消費者の声を把握する方法です。

項目内容
特徴消費者のリアルタイムな本音を大量に収集
メリット自然発生的な意見、トレンドの早期発見
デメリットノイズが多い、発言者の属性が不明確
費用目安ツール利用料(月額5万円〜)
適した場面ブランドモニタリング、炎上リスク管理

13. 訪問調査(訪問面接)

調査員が対象者の自宅や職場を訪問し、対面でインタビューを行う方法です。

項目内容
特徴対象者の生活環境を直接観察しながら調査
メリット高い回答品質、詳細な情報取得が可能
デメリットコストが高い、対象者の許諾が必要
費用目安100万円〜300万円
適した場面高齢者調査、複雑な製品の使用実態調査

市場調査の5ステップ:実践的なやり方

市場調査を成功させるための5つのステップを、具体的な進め方とともに解説します。

ステップ1:調査目的の明確化

市場調査で最も重要なのは、「何を知りたいのか」「その情報をどう活用するのか」を明確にすることです。

目的が曖昧なまま調査を始めると、「データは取れたけど、結局何もわからなかった」という事態に陥りがちです。

曖昧な目的(NG)明確な目的(OK)
顧客のことを知りたい30代女性の化粧品購入時の重視点と不満点を把握し、新商品のコンセプト開発に活用したい
市場の状況を調べたい健康食品市場の規模と今後5年間の成長率を把握し、新規参入の判断材料にしたい
競合の動向を知りたい競合A社とB社の価格戦略と顧客評価を比較し、自社の差別化ポイントを明確にしたい

目的設定のポイント

調査目的を設定する際は、以下の3点を意識してください。

第一に、ビジネス課題との紐付けです。「なぜこの調査が必要なのか」「調査結果をどの意思決定に使うのか」を明確にします。

第二に、仮説の設定です。「おそらくこうではないか」という仮説を持った上で調査を設計することで、検証すべきポイントが明確になります。

第三に、アクションの想定です。「この結果が出たらこうする」という次のアクションをあらかじめ想定しておくことで、必要な情報の過不足を防げます。

ステップ2:調査設計

目的に応じて、適切な調査手法、対象者、サンプルサイズ、質問内容を決定します。

調査手法の選定

調査の目的推奨手法
市場規模を数値で把握したいデスクリサーチ、インターネット調査
顧客の深層心理を理解したいデプスインタビュー、行動観察
新商品のコンセプトを評価したいグループインタビュー、会場調査
広告の効果を測定したいインターネット調査(事前・事後)
競合との差別化ポイントを見つけたいインターネット調査、ソーシャルリスニング

対象者の設定

調査対象者は、調査目的に合致した人を、適切な条件で絞り込む必要があります。

当サイトで最も活用・解説しているWho/What/How思考を活用すると、ターゲット顧客の定義が明確になります。

条件項目設定例
性別・年齢25〜39歳の女性
居住地首都圏在住
行動条件過去3ヶ月以内にスキンケア商品を購入
除外条件美容業界関係者を除く

サンプルサイズの目安

調査種類サンプルサイズ目安理由
定量調査(全体傾向把握)400〜1,000統計的に有意な結果を得るため
定量調査(セグメント比較)各セグメント100以上クロス集計で差を見るため
グループインタビュー2〜4グループ意見の飽和点を確認するため
デプスインタビュー10〜20人深い洞察を得るため

ステップ3:データ収集

設計した調査を計画通りに実行し、データを収集します。

自社実施の場合のポイント

自社でインターネット調査を実施する場合、以下のツールが活用できます。

ツール名特徴費用目安
Googleフォーム無料で使える、シンプル無料
SurveyMonkey多機能、分析機能充実月額3,000円〜
Fastaskセルフ型ネットリサーチ1問×1サンプル=10円〜
Freeasy24時間対応、低価格1問×1サンプル=10円〜

外部委託の場合のポイント

調査会社に依頼する場合は、以下の点を明確にして依頼しましょう。

伝えるべき項目内容
調査目的何のための調査か
対象者条件どんな人に聞きたいか
必須質問項目必ず聞きたい内容
予算使える予算の上限
スケジュールいつまでに結果が必要か
成果物の形式ローデータ、集計表、報告書など

ステップ4:データ分析

収集したデータを整理・分析し、意味のある洞察を導き出します

定量データの分析手法

分析手法内容活用シーン
単純集計各質問の回答分布を把握全体傾向の把握
クロス集計属性別の回答傾向を比較セグメント間の差異発見
相関分析変数間の関連性を把握要因分析
回帰分析結果に影響する要因を特定購買意向の予測
クラスター分析回答パターンでグループ化セグメント発見

定性データの分析手法

分析手法内容活用シーン
発言録の作成インタビュー内容を文字起こし基礎データの整備
KJ法発言をカード化してグルーピング構造の可視化
テキストマイニング頻出語や共起語を分析大量テキストの傾向把握
アフィニティダイアグラム類似する意見をまとめるインサイトの抽出

分析時の注意点

第一に、サンプルバイアスに注意すること。調査対象者が母集団を正確に代表しているか確認しましょう。

第二に、確証バイアスを避けること。自分の仮説に合致するデータだけを見てしまわないよう、客観的な姿勢を保ちましょう。

第三に、相関と因果を混同しないこと。「AとBに相関がある」ことと「AがBの原因である」ことは別の話です。

ステップ5:結果の活用とアクションプラン策定

分析結果を具体的なビジネスアクションにつなげます

報告書の構成例

セクション内容
エグゼクティブサマリー調査の背景、主要な発見、推奨アクションを1〜2ページで
調査概要目的、手法、対象者、実施期間
主要な発見データを根拠に、重要な気づきを記載
詳細分析セグメント別分析、相関分析など
推奨アクション調査結果に基づく具体的な施策提案
付録質問票、ローデータなど

アクションにつなげるポイント

調査結果を「面白かった」で終わらせないためには、「So What?(だから何?)」を問い続けることが重要です。

調査結果So What?アクション
30代女性の60%が「時短」を重視時短訴求が有効広告クリエイティブを時短切り口に変更
競合Aの満足度が低下傾向競合からの乗り換え需要あり乗り換えキャンペーンを企画
認知率が30%と低い認知拡大が優先課題マス広告への投資を検討

市場調査の費用相場

市場調査の費用は、調査手法、サンプルサイズ、実施主体によって大きく異なります。予算計画の参考にしてください。

調査手法別の費用目安

調査手法費用目安備考
インターネット調査10万円〜50万円1,000サンプル程度
郵送調査30万円〜100万円回収率によって変動
電話調査50万円〜150万円調査員の人件費が主
会場調査(CLT)100万円〜300万円会場費、謝礼、試作品費など
ホームユーステスト80万円〜200万円製品配送費を含む
グループインタビュー30万円〜80万円/グループモデレーター費、会場費、謝礼
デプスインタビュー3万円〜8万円/人1人あたりの費用
覆面調査1万円〜5万円/店舗店舗数による
デスクリサーチ数万円〜社内実施の場合は人件費のみ

調査会社への委託費用の内訳

調査会社に依頼する場合、費用は以下のような内訳で構成されます。

費用項目内容割合目安
企画設計費調査設計、質問票作成10〜20%
実査費データ収集、謝礼40〜60%
集計分析費データ処理、分析10〜20%
報告書作成費レポート作成10〜20%

費用を抑えるポイント

第一に、目的を絞ること。「あれもこれも知りたい」ではなく、本当に必要な情報に絞ることでコストを抑えられます。

第二に、セルフ型ツールの活用。FreeasyやFastaskなどのセルフ型ネットリサーチツールを使えば、低コストで調査を実施できます。

第三に、デスクリサーチの活用。既存の統計データや業界レポートを活用することで、一次調査のコストを削減できます。


自社実施と外部委託の判断基準

市場調査を自社で実施するか、調査会社に委託するかは、コスト、時間、専門性などを考慮して判断します。

自社実施のメリット・デメリット

項目内容
メリットコストを抑えられる、柔軟に対応できる、ノウハウが蓄積される
デメリット専門性が不足しがち、時間がかかる、バイアスが入りやすい
適した場面簡易なアンケート、継続的なモニタリング調査、探索的なリサーチ

外部委託のメリット・デメリット

項目内容
メリット高い専門性、迅速な実施、客観性の担保
デメリットコストがかかる、細かい修正がしにくい、意図が伝わりにくいことも
適した場面大規模調査、専門的な分析が必要な調査、重要な意思決定に使う調査

判断基準チェックリスト

以下のチェックリストで、自社実施と外部委託のどちらが適しているか判断できます。

チェック項目該当する場合
予算が限られている自社実施を検討
調査経験のある社員がいる自社実施が可能
調査結果を重要な意思決定に使う外部委託を推奨
統計的な分析が必要外部委託を推奨
短期間で結果が必要外部委託を推奨
継続的に同じ調査を行う自社実施でノウハウ蓄積

市場調査を成功させる7つのポイント

市場調査で失敗しないために、押さえておくべき7つのポイントを解説します。

ポイント1:調査前に仮説を立てる

「何でもわかる調査」は存在しません。事前に仮説を立て、その仮説を検証する設計にすることで、有意義な結果が得られます。

仮説なしの調査仮説ありの調査
「顧客のことを調べる」「30代女性は価格より品質を重視するのではないか」
何が重要かわからない検証すべきポイントが明確
データの解釈が難しい結果の解釈がスムーズ

ポイント2:調査対象者を適切に設定する

調査結果の信頼性は、対象者の設定に大きく依存します。

NG例OK例
「20代〜60代の男女」(広すぎる)「25〜39歳の働く女性で、過去1ヶ月以内にコスメを購入した人」
「製品に興味がある人」(曖昧)「競合製品Aの購入経験者」

ポイント3:質問は中立的に設計する

回答を誘導する質問は、調査結果を歪めます。中立的で明確な質問文を心がけましょう。

誘導的な質問(NG)中立的な質問(OK)
「便利な新機能についてどう思いますか?」「新機能についてどう思いますか?」
「多くの方に好評の商品Aをどう評価しますか?」「商品Aをどう評価しますか?」

ポイント4:適切なサンプルサイズを確保する

サンプルサイズが小さすぎると、統計的に有意な結論を導けません。一方、大きすぎるとコストの無駄になります。

調査目的推奨サンプルサイズ
全体傾向の把握400以上
セグメント比較(2〜3セグメント)各100以上
セグメント比較(4〜5セグメント)各50以上

ポイント5:複数の調査手法を組み合わせる

定量調査と定性調査を組み合わせることで、数字の裏にある「なぜ」を理解できます。

フェーズ手法目的
第1フェーズデプスインタビュー仮説の発見
第2フェーズインターネット調査仮説の検証
第3フェーズグループインタビュー深掘りと施策アイデア出し

ポイント6:結果を過信しない

市場調査はあくまで意思決定の一助であり、調査結果が必ずしも正解を示すわけではありません。

「調査では好評だったのに、発売したら売れなかった」というケースは珍しくありません。調査には限界があることを理解し、経験や直感も含めた総合的な判断を心がけましょう。

ポイント7:調査結果をアクションにつなげる

調査自体が目的化してしまうケースは非常に多いです。調査結果を具体的なビジネスアクションにつなげることを常に意識しましょう。

調査完了後には、必ず「この結果から、何をするか」を決めるアクションプランニングの時間を設けることをお勧めします。


市場調査でよく使うフレームワーク

市場調査のデータを分析・活用する際に役立つフレームワークを紹介します。

PEST分析

マクロ環境を分析するフレームワークです。

要素分析内容
Political(政治)法規制、政策の変化
Economic(経済)景気、為替、金利
Social(社会)人口動態、ライフスタイル変化
Technological(技術)技術革新、デジタル化

詳細はPESTEL分析完全ガイドをご覧ください。

3C分析

市場・競合・自社を分析するフレームワークです。

要素分析内容
Customer(顧客)ニーズ、購買行動、セグメント
Competitor(競合)強み・弱み、戦略、シェア
Company(自社)リソース、強み・弱み、ポジション

SWOT分析

内部環境と外部環境を整理するフレームワークです。

要素内容
Strengths(強み)自社の競争優位点
Weaknesses(弱み)自社の課題
Opportunities(機会)外部環境のチャンス
Threats(脅威)外部環境のリスク

詳細はSWOT分析の基本と実践ガイドをご覧ください。

STP分析

ターゲット市場を選定するフレームワークです。

ステップ内容
Segmentation市場を細分化する
Targeting狙うセグメントを選ぶ
Positioningセグメント内での立ち位置を決める

市場調査の最新トレンド

市場調査の分野も、テクノロジーの進化とともに変化しています。押さえておくべき最新トレンドを紹介します。

AIと機械学習の活用

大量のテキストデータを自然言語処理で分析したり、機械学習で購買行動を予測したりする手法が普及しています。これにより、従来は人手で行っていた分析作業が効率化され、より深い洞察を得られるようになっています。

セルフ型調査ツールの普及

専門知識がなくても、低コストで調査を実施できるセルフ型ツールが増えています。FreeasyやFastaskなどを活用すれば、数万円からネットリサーチを実施可能です。

リアルタイムデータ分析

IoTデバイスやアプリのログデータを活用し、消費者行動をリアルタイムで追跡・分析する手法が広がっています。これにより、市場の変化により迅速に対応できるようになっています。

行動経済学の応用

従来の合理的な消費者行動を前提とした調査設計から、ナッジ理論など行動経済学の知見を取り入れた設計へとシフトが進んでいます。

プライバシー保護への対応

GDPR(EU一般データ保護規則)や個人情報保護法の強化により、データ収集・利用における倫理的配慮とコンプライアンスの重要性が高まっています。


まとめ

本記事では、市場調査の基本から実践的なやり方まで、網羅的に解説してきました。

Key Takeaways

ポイント内容
市場調査の定義ビジネスの意思決定に必要な情報を体系的に収集・分析するプロセス
2種類の調査定量調査(数値で把握)と定性調査(深く理解)を目的に応じて使い分け
13の手法インターネット調査からエスノグラフィーまで、目的に合った手法を選択
5ステップ目的設定→調査設計→データ収集→分析→活用の流れを押さえる
成功の鍵事前の仮説設定、適切な対象者設定、中立的な質問、アクションへの落とし込み

Next Action

市場調査を始めるために、明日から取り組める3つのアクションを提案します。

アクション1:調査目的を1文で言語化する 「何のために、何を知りたいのか」を1文で表現してみましょう。目的が明確になれば、適切な調査手法が見えてきます。

アクション2:デスクリサーチから始める まずはコストのかからないデスクリサーチで、既存の情報を収集しましょう。e-StatやRESASなどの無料データベースを活用してください。

アクション3:セルフ型ツールで小規模調査を実施 いきなり大規模な調査を行う必要はありません。FreeasyやFastaskを使って、100サンプル程度の小規模調査から始めてみましょう。

市場調査は、正しく実施すればビジネスを大きく前進させる武器になります。本記事で紹介した知識とフレームワークを活用し、データに基づいた意思決定で成果を出していきましょう。


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この記事を書いた人
tomihey

マーケターのtomiheyです。
15年間で200以上のブランドに携わってきました。

本ブログでは、Who/What/Howのフレームを使い、
実際のブランドの成長・失敗をわかりやすく解説しています。

現在、Who/What/How構築の支援も行っています。
ご興味のある方は下記HPよりご連絡ください。

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