ポケトーク成功の秘密:Who/What/How分析で紐解く選ばれる理由 - 勝手にマーケティング分析
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ポケトーク成功の秘密:Who/What/How分析で紐解く選ばれる理由

ポケトークはなぜ売れるのか 企業を勝手に分析
この記事は約6分で読めます。

概要

2017年の発売以来、累計販売台数120万台を突破したAI通訳機「ポケトーク」の成功要因を分析していきます。SWOT分析やオルタネイトモデルを用いて、誰にどのような価値を提供し、なぜ選ばれているのかを明らかにします。この分析を通じて、新市場創造のヒントを皆様に提供できれば幸いです。

ポケトークとは?

Screenshot

ポケトークは、リアルタイムで外国語を通訳できる携帯型AI通訳機です。以下にその主な特徴と概要をまとめます。

基本情報

  • 2017年の発売以来、累計販売台数120万台を突破
  • 法人導入実績10,000社以上
  • 交通機関、Wi-Fiレンタル、化粧品・ドラッグストア、小売、飲食、サービス、旅行、
    宿泊施設、レンタル事業の会社にて導入/活用
  • 家電量販店での通訳機売上シェア98.6%(2022年)
  • 公式サイト:https://pocketalk.jp/

主な特徴

言語対応

  • 世界170以上の国と地域で使える

使いやすさ

  • ボタンを押して話すだけの簡単操作
  • 設定不要ですぐに使用可能

性能

  • クラウドとAIを活用した高精度翻訳
  • ノイズキャンセル機能搭載マイク
  • 大型スピーカー搭載

主な機能

基本機能

  • リアルタイム音声翻訳
  • カメラ翻訳機能
  • テキスト表示機能

便利機能

  • グループ翻訳機能
  • お気に入りフレーズ登録
  • ポケトークセンターでの履歴管理

活用シーン

  • インバウンド観光客対応
  • 外国人労働者とのコミュニケーション
  • 医療機関での外国人患者対応
  • 教育現場での多言語コミュニケーション
  • 小売店での接客

ポケトークは、「言葉の壁をなくす」というミッションのもと、多言語コミュニケーションを実現する実用的なツールとして、ビジネスから教育まで幅広い場面で活用されています。

売上規模

  • 累計販売台数:120万台
  • 単価:約20,000円
  • 推定累計売上:約240億円
  • 米国事業:2024年1-6月期に初の半期黒字化達成

POD/POP/POF分析

続いて、通訳機器市場で戦うための満たすべきことや差別化要素、これがあると脱落してしまう要素についてまとめてみます

カテゴリー:AI通訳機器

分類要素
POD(市場で戦うために必要な差別化要素)- 対応言語の音声・テキスト翻訳対応
- 2年間通信料不要
- 法人向けコンソール機能
POP(市場で戦うために最低限必要な要素)- リアルタイム翻訳機能
- モバイル通信機能
- 直感的な操作性
POF(市場で戦うためにおいて存在すると選ばれない要素)- 翻訳精度の低さ
- 高価格
- 通信環境依存

翻訳ツールとしてのメインの翻訳機能や操作性を満たしつつ、精度の低さや高価格ではない値段設定、通信環境の懸念を取り除きつつ、自社ならではの差別化要素を持っているポケトークは非常に強い存在だとわかります。

SWOT分析

続いてポケトークの強み、弱み、市場のチャンスと不安要素を見ていき、この市場でどう戦うべきかをみていきましょう。

内部要因外部要因
強み
- 170の地域で対応
- 2年間通信料込み
- 法人向けコンソール機能
- ソフトバンクとの提携
- 高い翻訳精度
機会
- インバウンド需要回復
- 教育市場での需要拡大
- 法人市場の成長
- グローバル展開の加速
- DX市場の拡大
弱み
- 高価格帯
- 通信環境依存
- 初期投資の大きさ
- 競合製品の増加
- 収益性の課題
脅威
- 翻訳アプリの進化
- 競合製品の台頭
- 為替変動リスク
- 技術革新の速さ
- 規制強化

クロスSWOT戦略

戦略内容
SO戦略- 多言語対応を強化し、新市場でのポジションを拡大
- 米国教育市場での成功を他の地域に展開
WO戦略- ソフトバンクとのコラボレーションを活かして低価格化
- 法人向け機能の強化
ST戦略- 独自技術を強化し、競争激化に備える
- 通信料金の低価格化戦略の強化
WT戦略- 製品の使いやすさを向上
- 競合増に対する価格競争力を確保

オルタネイトモデル分析

続いてポケトークを導入する企業や個人の合理性をオルタネイトモデルというフレームワークを使って見ていきましょう。

要素内容
きっかけアメリカは移民が多く、20%が英語を喋れない。行政や医療、学校などの業務で外国人と外国語での会話が定期的に発生
行動組織でポケトークを導入
欲求スムーズなコミュニケーションをして業務を完了させたい
抑圧言語の壁によるコミュニケーションの不安
通信環境への不安
デバイスの値段が高い
スムーズなやりとりへの不安
報酬=顧客が商品やサービスを使うことで達成したいことどんな環境でも誰でも簡単に意思疎通の実現

ポケトークの顧客となる方は行政や医療、学校の業務で外国人と円滑なコミュニケーションをしたいが、現状それができずに困っています。こういうデバイスを使うのも手だが、通信環境や値段、スムーズさが担保できるのかなどの不安を感じています。つまり顧客が達成したいことは「どんな環境でも誰でも簡単に意思疎通の実現」です。これが実現できる便益を持っていればポケトークが選ばれそうです。

Who/What/How分析

最後に、これまで使ったフレームワークをもとにポケトークのWho/What/Howをまとめてみましょう。

項目ビジネスパーソン観光客教育機関公共機関
Who(誰)ビジネスパーソン観光客教育機関公共機関
Who(JOB)迅速な多言語コミュニケーション旅行先での言語障害解消授業中の言語サポート多言語での円滑な行政サービスの提供
What(便益)リアルタイム翻訳簡単な操作高精度の音声識別多言語同時通訳
What(独自性)120言語対応コンパクト設計教育現場向けプログラム専用コンソールで管理
How(プロダクト)ポケトーク端末旅行用ポケトーク教育版ポケトーク行政向けポケトーク
How(コミュニケーション)ビジネスイベントでの紹介観光ガイドブックでの掲載教育展示会でのデモンストレーション公用展示会でのブース設置
How(場所)企業向け販売旅行代理店教育機関への直接販売政府機関への販売
How(価格)法人向け価格旅行者向け価格教育割引政府補助金対応

まとめ:マーケターへの示唆

  1. 新市場創造の成功例
    • 既存の翻訳アプリとは異なる独自のポジショニング確立
    • ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによる差別化
  2. 市場適応力の重要性
    • コロナ禍での米国教育市場への展開
    • 法人向けサービスの強化による収益基盤の確立
  3. 戦略的提携の活用
    • ソフトバンクとの提携による販路拡大
    • 通信インフラの効率的な活用
  4. 顧客セグメント別の価値提供
    • 各セグメントに最適化された製品・サービス展開
    • 使用シーンに応じた機能の提供

最近のポケトークの躍進には、市場で満たすべき要素を満たし、顧客のJOBを理解し、適切なアプローチができているからこその躍進と理解できるでしょう。ぜひ皆様が関わられているビジネスにおいても、市場の要素を言語化、顧客の合理の言語化、そして最終的にWho/What/Howを言語化することでやるべきことが見えてくるかと思いますのでぜひ試してみてください。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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