求人検索エンジンの王者Indeed:マーケターが学ぶ成功の秘密 - 勝手にマーケティング分析
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求人検索エンジンの王者Indeed:マーケターが学ぶ成功の秘密

なぜindeedは企業と求職者 双方に選ばれているのか 企業を勝手に分析
この記事は約9分で読めます。

はじめに

求人市場は常に変化し、企業と求職者の双方にとって最適な出会いの場が求められています。その中で、Indeed(インディード)は世界No.1の求人検索エンジンとして、驚異的な成長を遂げてきました。

本記事では、Indeed(インディード)がなぜ選ばれるのか、その成功の背景を徹底的に分析します。マーケターやビジネスパーソンの皆様に、自社のサービス開発や戦略立案に役立つヒントを提供します。

Indeedとは

ブランド概要

Screenshot

Indeed(インディード)は、2004年に米国で創業された世界最大の求人検索エンジンです。主な特徴は、様々な求人サイト・企業の採用ページ・ハローワークなどから求人情報を一括で検索できるプラットフォームにあります。

基本情報

項目詳細
創業年2004年
本社所在地米国
日本でのサービス開始2009年
リクルートによる買収2012年
月間利用者数2,390万
新規求人数/月180万件

Indeedと他の求人サイトの主な違い

1. 求人情報の収集方法

Indeed従来の求人サイト
Web上の求人情報を自動収集企業からの直接依頼のみ
月間620万件の求人情報限定的な求人情報

2. 利用者数と検索力

特徴的なポイント:

  • 月間利用者数:2,390万人(リクナビNEXTの約200万人と比較)
  • SEO最適化により検索結果上位に表示
  • キーワード×勤務地での高度な検索機能

3. コスト構造

Indeed従来の求人サイト
無料掲載可能有料掲載のみ
クリック課金制定額課金制
予算コントロール可能固定費用

4. 独自の強み

  • 複数の求人サイトの情報を一括検索
  • AI技術による求人最適化
  • 地方求人にも強い
  • 求職者の検索履歴に基づく最適マッチング

Indeedの最新の売上状況

売上収益の概要

リクルートホールディングスの最新の決算資料によると、Indeedを含むHRテクノロジー事業の売上状況は以下のように推移しています:

期間売上収益前年同期比
2024年1月前年同期から約14%減少-14%
第4四半期(米ドルベース)前年同期比12%前後の減少を見込む-12%

主な減収要因

  1. 米国市場における有料求人広告需要の減少
  2. 労働市場の平準化
  3. 経済環境の変化

今後の見通し

  • Indeed PLUSの導入により、若干の増収の可能性
  • 調整後EBITDAマージンは27%前後を見込む
  • 中長期的には新規企業クライアントの獲得により売上拡大を期待

特筆すべき点

  • 日本国内のIndeed売上収益は約680億円
  • リクルートホールディングス全体の売上収益は3兆4,000億円を予想
  • HRテクノロジー事業は減収傾向にあるものの、全社的には増益を達成

Indeed の求人サイト市場における POP/POD/POF 分析

Points of Parity (POP)

求人サイト市場における最低限必要な要素は以下の通りです:

カテゴリ具体的な要素
基本機能無料で求人検索が可能
情報提供職種、勤務地、給与情報の掲載
ユーザビリティスマートフォン対応
セキュリティ個人情報保護
マッチング基本的な求人-求職者マッチング機能

Points of Difference (POD)

Indeedの独自性は以下の点です:

  1. グローバル規模の求人検索エンジン
    • 世界最大の求人情報プラットフォーム
    • 月間3億人以上のユニークビジター
  2. AI技術による最適化
    • 高度な求人マッチングアルゴリズム
    • パーソナライズされた求人レコメンド
  3. 多様な求人情報の一括検索
    • 複数の求人サイト、企業サイトから情報を集約
    • 月間620万件の求人情報
  4. 採用市場レポート機能
    • 詳細な市場分析ツールの提供
    • リアルタイムの求人トレンド情報

Points of Failure (POF)

Indeedが抱えると顧客から選ばれない要素は:

  1. 情報の正確性
    • 求人情報の更新タイミングや正確性
    • 古い求人情報の存在
  2. 地域・業種の偏り
    • 特定地域や業種の求人情報の偏在
    • 中小企業の求人情報の少なさ
  3. 求職者と企業のミスマッチ
    • 完全な求人マッチングの難しさ
    • 応募後のミスマッチ可能性

Indeedは、POPを確実に満たしつつ、PODを強化し、POFを継続的に改善することで、求人サイト市場でのリーダーシップを維持しています。特にAI技術とグローバルな情報網が最大の競争優位性となっています。

Indeedにおける企業と求職者のオルタネイトモデル

企業側の合理(行動、きっかけ、欲求、抑圧、報酬)

行動

  • 求人情報の掲載
  • 求職者とのマッチング
  • 採用活動の効率化

きっかけ

  • 人材不足
  • 急な人員補充の必要性
  • 従来の採用方法の限界

欲求

  • 優秀な人材の確保
  • 採用コストの削減
  • 効率的な採用プロセス

抑圧

  • 高い採用コスト
  • 応募者の少なさ
  • 求人情報の可視性の低さ

報酬

  • 適切な人材の獲得
  • 採用コストの最適化
  • 迅速な人材補充

求職者側の合理(行動、きっかけ、欲求、抑圧、報酬)

行動

  • 求人情報の検索
  • 応募書類の作成
  • 企業とのコミュニケーション

きっかけ

  • キャリアチェンジ
  • 収入増加の希望
  • 現在の仕事への不満

欲求

  • 理想の仕事探し
  • キャリアアップ
  • ワークライフバランスの改善

抑圧

  • 求人情報探索の煩雑さ
  • 応募プロセスの複雑さ
  • 情報の信頼性への不安

報酬

  • 希望する仕事への転職
  • 収入増加
  • キャリアの可能性拡大

Indeedは、企業と求職者の双方のニーズを効果的に満たすプラットフォームとして機能しています。企業は効率的な採用活動を、求職者は理想の仕事探しを実現できる、Win-Winのエコシステムを提供しているのです。

Indeedにおける企業と求職者のWho/What/How分析

企業側のWho/What/How

Who(誰)

  • 業種:IT、製造業、サービス業、小売業など
  • 規模:中小企業から大企業まで
  • 特徴:人材確保に課題を抱える、成長志向の企業
  • 企業のJOB(解決したい課題・満たしたい欲求)
    • 人材採用の課題
      • 優秀な人材の効率的な確保
      • 採用コストの削減
      • 迅速な人員補充
      • 適切な人材マッチング
    • 組織的な欲求
      • 生産性の向上
      • 従業員のモチベーション維持
      • 人材流出の防止
      • 組織の持続的成長

What(何)

  • 便益:
    • 効率的な人材採用
    • 求人コストの最適化
    • 多様な人材へのリーチ
  • 独自性:
    • 広範囲な求職者へのアプローチ
    • AIによる最適な求人マッチング
    • コスト対効果の高い採用手法
  • RTB(信頼の根拠):
    • 月間620万件の求人情報
    • グローバルな求人プラットフォーム
    • リクルートホールディングスによる運営

How(どのように)

  • コミュニケーション:
    • TVCM
    • オンライン求人掲載
    • AIレコメンド機能
    • ターゲット求職者への最適化
  • プロダクト:
    • 求人掲載システム
    • 応募者管理ツール
    • 分析レポート機能
  • 価格:
    • クリック課金制
    • 従量制課金
    • 無料掲載オプションあり

求職者側のWho/What/How

Who(誰)

  • 年齢層:20-50代
  • 職業:
    • 正社員
    • フリーランス
    • 転職希望者
    • 新卒
  • 特徴:
    • キャリア志向
    • ワークライフバランス重視
    • デジタルリテラシーが高い
  • 求職者のJOB(解決したい課題・満たしたい欲求)
    • キャリア探索の課題
      • 現在の仕事への不満解消
      • キャリアアップの実現
      • 収入増加の希望
      • 働き方の柔軟性獲得
    • 心理的な欲求
      • 自己実現
      • 意味のある仕事への従事
      • 専門スキルの活用
      • 職業的成長

What(何)

  • 便益:
    • キャリアの可能性拡大
    • 効率的な求人探索
    • 多様な仕事選択肢
  • 独自性:
    • 一括検索機能
    • 詳細な求人情報
    • パーソナライズされた求人レコメンド
  • RTB(信頼の根拠):
    • 月間2,230万人の利用者
    • 多様な業種・職種の求人
    • 無料で利用可能

How(どのように)

  • コミュニケーション:
    • TVCM
    • スマートフォンアプリ
    • ウェブサイト検索
    • メール通知
  • プロダクト:
    • 求人検索エンジン
    • 応募機能
    • 求人フィルタリング
  • 場所:
    • オンライン
    • モバイルアプリ
    • ウェブブラウザ

Indeedは、企業と求職者の双方のニーズを効果的に満たすプラットフォームとして機能しています。AIとテクノロジーを活用し、効率的で透明性の高い求人マッチングを実現しているのが最大の特徴です。

Indeedが選ばれる理由:企業と求職者の視点から

企業側が選ぶ理由

コスト面での優位性

  • 無料掲載オプションの存在
  • クリック課金制による柔軟な予算管理
  • 従来の採用手法と比較して低コスト

機能面での強み

  • AIによる高度な求人マッチング
  • 620万件の豊富な求人情報
  • リアルタイムの採用市場分析ツール
  • 多様な業種・規模の企業に対応

効率性

  • 一括での求人情報掲載
  • 応募者管理の簡素化
  • 広範囲な求職者へのリーチ

求職者側が選ぶ理由

検索の利便性

  • 複数求人サイトの一括検索
  • 高度な検索フィルター機能
  • スマートフォン対応の使いやすいUI

情報の網羅性

  • 月間2,230万人の利用者
  • 多様な職種・業界の求人情報
  • パーソナライズされた求人レコメンド

追加価値

  • 無料で利用可能
  • リアルタイムの求人更新
  • キャリア関連情報の提供

Indeedは、企業と求職者の双方にとって最適な「出会いの場」を提供することに成功しています。

テクノロジーを活用し、従来の求人サービスの課題を根本的に解決する「ジョブシーカー・ファースト」のアプローチが、最大の差別化要因となっているのです。

まとめ

Indeedの成功は、顧客中心主義テクノロジーの戦略的活用にあると言えるでしょう。企業と求職者の双方の課題を、AIと大規模データによって解決するプラットフォームモデルを確立し、従来の求人市場の常識を覆してきています。競合との差別化を図ることで、求人市場における圧倒的な競争優位性を構築した点が、マーケターにとって最も学びの多いポイントではないでしょうか。ぜひindeedから学んでいきましょう。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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