群馬県の観光客数を増やすためのマーケティング戦略を勝手に考えてみた - 勝手にマーケティング分析
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群馬県の観光客数を増やすためのマーケティング戦略を勝手に考えてみた

群馬県の観光客を増やすための マーケティングコンセプト 企業を勝手に分析
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群馬県出身の私が、群馬県の国内観光客および訪日外国人観光客を増やすための戦略を勝手に考えてみました。ただし、実際の消費者調査などはしておらず、自身を消費者の1人としてとらえて妄想した戦略時なりますので、甘い目でみてもらえればと思います。ただマーケティング戦略を考える上での策定の方法などは参考になると思いますのでぜひマーケターの方はご一読ください。では始めていきましょう。

現状把握

まずは群馬県の観光客を増やすと言っても現状どれくらいの観光客がきているのかを把握しないことには何も始まりません。

現在の観光客数と商圏人口

  • 新型コロナウイルス感染拡大前、群馬県の年間観光入込客数は約6,000万人を超えていました。
  • 2020年には約4,021万人まで減少しましたが、その後回復基調で、2023年実績は52,070千人でした。
  • 半分は群馬県内での観光で、半分は他県から。訪日外国人観光客数は全体の0.1%。
  • 首都圏からの訪問者が大半。
  • 8割は日帰りを選択。2割は宿泊を選択。
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出典:群馬県 令和4年(2022年) 観光入込客統計調査報告書 概要

PLESTE分析(市場環境分析)

続いて群馬県の観光客に影響する外部環境を見ていきましょう。ここから群馬県にとって外部環境が機会となる傾向なのか、脅威となる傾向なのかを見ていきます。

(1) 群馬県にとっての機会(Opportunities)

  • 訪日外国人の地方観光志向の高まり。
  • ワーケーション需要の拡大。
  • 国内旅行者のアウトドア・温泉志向の高まり。
  • 円安による訪日外国人の増加。
  • サステナブルツーリズムやエコツーリズムのトレンド拡大。

(2) 群馬県にとっての脅威(Threats)

  • 競争地域(長野・新潟・栃木)のプロモーション強化。
  • 都市圏の宿泊・観光需要の回復による地方誘客の難化。
  • 旅館業法や環境保護ルールなどの規制強化。

基本的には群馬県にとってチャンスとなる傾向ですが、周辺の他県や有名観光地との競争激化などが脅威と言えますが、後者は日本全体にとって非常に良いことなので基本はプラスしかないと言えるでしょう。

SWOT分析と戦略オプション

次に、市場の機械と脅威をもとに群馬県の強み/弱みを整理し、どういう戦略が考えられるかを見ていきましょう。

強み(Strengths)

  • 全国的に有名な温泉(草津、伊香保、水上)。
  • 豊かな自然資源(尾瀬、赤城山、谷川岳)。
  • スキー・ラフティングなどのアウトドアアクティビティ。

弱み(Weaknesses)

  • 文化・歴史の観光資源の数、訴求力不足。
  • 名物料理のレパートリー不足、満足度の低さ(こんにゃく、水沢うどん)。
  • 首都圏からのアクセスの利便性が十分に伝わっていない。

戦略オプション

群馬県の観光客にとってプラスになる機会と強みを活かしていく戦略をとっていくべきでしょう。

  • 温泉×アウトドア:興奮と癒しの両輪を体験できる旅行パッケージを作成。
  • メインとなる食の数とブランディング強化:ご当地食材を開拓し、新たなグルメイベントの開催。
  • アクセス訴求強化:東京からの直行交通を活用し、「日帰り・宿泊どちらも可能」な観光モデルを発信。

群馬県を観光先として選ぶ人の本能的動機

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「癒しとリフレッシュ」

  • 温泉や豊かな自然環境の中で、おいしい食事で日常のストレスを解消したいというニーズが強い。
  • 特に首都圏からの観光客にとっては、短期間で非日常を味わえる点が魅力。

「アクティブな体験と挑戦」

  • ハイキングやスキー、ラフティングなど、身体を動かしながら自然を満喫したいという層が存在。
  • 国内・訪日外国人のアドベンチャートラベル志向が高まっている。

「新しい発見と学び」

  • 世界遺産の富岡製糸場や、群馬ならではの食文化に触れることで、新たな知識や経験を得たいと考える観光客もいる。
  • ただし、歴史・文化観光の訴求力はまだ弱いため、さらなる開発が必要。

このデータからも群馬に訪れる人は癒しやリフレッシュを求めつつも、同時にアクティブな体験や伝統文化などの新しい発見を求めていると想像できます。こういった消費者の調査は最新かつ定量定性的に調べることをお勧めしますが、上記データは出身者としても納得できるものです。

群馬県のWho/What/How

続いて、上記で把握した内容をもとに群馬県の観光客ごとにWho/What/Howを整理してみましょう。

WhoWhat(本質的価値 + RTB)How
首都圏のファミリー・カップル癒しとリフレッシュ
・自然豊かな温泉地で数時間後には日常から解放されるリラックス体験
・家族や恋人と過ごす非日常空間
RTB:関東近郊からのアクセスの良さ、豊富な温泉・自然資源がもたらすリラクゼーション効果
・JRやバスとの連携強化
・SNS広告での認知拡大
・パッケージツアーの提供
・子供向けアクティビティを充実                               
シニア層安心と快適な滞在
・静かで落ち着いた温泉旅館でゆったり過ごす
・文化や歴史に触れることで得られる学びと充実感
RTB:歴史ある温泉地・伝統施設の存在、シニア層に配慮したおもてなしノウハウ
・温泉宿泊プランの訴求
・ガイドツアーの実施
・伝統工芸体験を組み込む
・旅行博などでの認知向上
訪日外国人(欧米)アクティブな挑戦と発見
・大自然の中でのハイキングやスキー、ラフティングなどアクティブ体験
・日本文化との出会いと学び
RTB:標高の高い山々や豊富なアウトドア資源、外国人向けインフルエンサーが評価するアクティビティの多様性
・インフルエンサー招待によるSNSプロモーション
・多言語対応の拡充
・ハイキング&温泉プランの造成
訪日外国人(東アジア)日本らしさを満喫
・温泉での癒しと郷土料理を中心とした食文化
・伝統文化体験(祭り、工芸等)の楽しみ
RTB:東アジア圏での温泉・和食人気、周遊ルートのしやすさ、旅行会社やSNSを介した口コミ評価
・WeChat・Facebook広告での集客
・ツアー造成と旅行会社との連携
・ローカルフードフェスの開催
日帰り観光客短時間でのリフレッシュ
・都心からのアクセスしやすさで日常にプチ非日常感を
・温泉とアクティビティを効率よく楽しめる
RTB:首都圏からの直行バスや鉄道の利便性、豊富な日帰り温泉施設が多数存在
・直行バスの強化
・日帰りプランの提供
・観光スポットの周遊モデル構築

筆者が思う改善が必要な点

  1. 文化・歴史の価値向上
    • 富岡製糸場だけでは正直弱いので、体験型観光を増やし、外国人観光客にも興味を持ってもらう施策を強化する。
    • 地元文化や歴史のストーリーテリングを通じたブランド力向上。
  2. 食文化の数とブランディング強化
    • ご当地グルメの知名度向上を図り、新たな食体験を提供する。
    • 特に好む人の数が多い肉や魚を狙う。
    • メディアやSNSでのPR強化、レストランや物産展での魅力発信。
  3. 宿泊率の向上
    • ナイトアクティビティや温泉リトリートプランを開発し、宿泊を伴う滞在を促進する。
    • 長期滞在向けのプランやワーケーション(Workation)施設の整備も検討。

マーケティングコンセプト

群馬県の観光活性化に向けた一つのマーケティングコンセプト例を示してみました。ターゲットごとに伝えるメッセージや体験価値を整理しながら、群馬県全体の魅力を包括的に訴求するイメージです。

コンセプトテーマ

「Feel & Discover GUNMA」— 癒しと発見が同時に叶う大自然と温泉の宝庫

コンセプト概要

  • 群馬県が持つ「豊かな自然資源」「歴史ある温泉文化」「四季折々のアクティビティ」「伝統工芸や食文化」を組み合わせ、“癒し”と“アクティブな発見”を同時に味わえる地域としてブランディング。
  • 都心からのアクセスも良好で、幅広い年代・国籍の旅行者が気軽に訪れやすい「非日常体験のゲートウェイ」として訴求する。

全体メッセージの候補

  1. 「都心からすぐに体感できる特別な時間」
    • 東京をはじめとする首都圏からアクセスが良く、自然・温泉・文化体験をすぐに満喫できる。
  2. 「リラックスとアクティブのどちらも楽しめる」
    • ゆっくり温泉で癒されるだけでなく、ハイキングやスポーツなどアクティブに楽しめる要素も充実。
  3. 「日本の原風景や伝統文化に触れる学びの場」
    • 歴史や伝統工芸、郷土料理など、“日本らしさ”を体感するプログラムが豊富。

ターゲット別の主要訴求ポイントとメッセージ

1. 首都圏のファミリー・カップル

  • メインメッセージ
    「週末でも行ける“ちょっと特別な休日”を家族や恋人と楽しもう」
  • 体験価値
    • 自然の中でのんびり温泉に浸かり、日常から解放された癒しの時間を共有。
    • 子供も楽しめるアクティビティや体験教室で思い出づくり。
  • RTB
    • 首都圏から1〜2時間程度で行けるアクセスの良さ。
    • 家族向けプログラムの充実(果物狩り、工作教室など)。
    • 広大な自然と豊富な温泉地がもたらす“心と体のリセット効果”。

2. シニア層

  • メインメッセージ
    「歴史と伝統の中で、ゆったりと贅沢な温泉時間を」
  • 体験価値
    • ゆったりしたおもてなしが受けられる老舗温泉旅館での滞在。
    • 郷土史や伝統工芸を学べるガイド付きツアーで、知的好奇心を満たす。
  • RTB
    • 歴史が育んだ温泉文化・老舗宿による“安心感”と“充実感”。
    • シニア向け施設のバリアフリーや、安心安全な受け入れ体制。

3. 訪日外国人(欧米)

  • メインメッセージ
    「大自然を舞台に、冒険と和の文化を同時に楽しむ」
  • 体験価値
    • ハイキング・スキー・ラフティングなど四季を通じたアウトドア・アクティビティ。
    • 初めての温泉体験や和食・郷土料理のワークショップ。
  • RTB
    • 豊かな山々や川が生み出す多様なアウトドア環境。
    • インフルエンサーのポジティブな評価やSNSでの拡散実績。
    • 多言語対応施設や地図アプリによる利便性。

4. 訪日外国人(東アジア)

  • メインメッセージ
    「温泉で癒され、食と文化で日本の魅力を味わい尽くす」
  • 体験価値
    • 日本らしい和風旅館や温泉街での滞在。
    • 地元で親しまれる郷土料理・食フェスなどでの食体験。
    • 祭りや伝統芸能、工芸体験で“旅先ならでは”のエンタメ要素。
  • RTB
    • 温泉・和食が人気の東アジア圏でのニーズにマッチ。
    • 日帰り圏内のほかの都市とセットで周遊しやすい地理的メリット。
    • WeChatやFacebookを使った口コミ評価や訪問者体験談が豊富。

5. 日帰り観光客

  • メインメッセージ
    「数時間後に味わえる非日常」
  • 体験価値
    • 日帰り温泉や食事、自然散策など気軽に非日常を味わえる。
    • 1日の中で完結する多彩な観光スポットの周遊プラン。
  • RTB
    • 直行バスや高速道路の充実、首都圏からのアクセスのしやすさ。
    • 日帰り温泉が複数あり、“温泉天国”としての魅力が高い。

コンセプトを実現するためのキーメッセージ & タグライン

  • タグライン例
    「Feel & Discover GUNMA — 癒しと発見が同時に叶う場所」
  • 統一キーメッセージ
    1. Healing: 「温泉 × 自然」でストレスフリーに
    2. Activity: 「山・川 × 四季」で一年中楽しめるアクティブ体験
    3. Culture: 「歴史 × 食 × 伝統工芸」で“日本らしさ”に触れられる
    4. Accessibility: 「首都圏から近い」からこそ、気軽に訪問できる

実施プラン(4P)

  1. ブランディング・プロモーション
    • 統一タグラインとビジュアルを用いて、国内外のSNS・観光ポータル・旅行会社カタログなどで発信。
    • インフルエンサーや著名ブロガーの招致。特にアウトドアや温泉好き、食通などテーマごとに招く。
    • 基本、全体のコンセプトの訴求と各Who/What/Howごとにプロモーションを実施
  2. 受け入れ環境整備
    • 多言語対応ガイドブック・案内表記の強化。
    • 外国人向けの伝統文化体験プログラムや、シニア層向けのバリアフリー施策。
  3. 商品開発
    • テーマ別パッケージツアーの造成(例:ファミリー向けアクティビティ+宿泊プラン、シニア向け歴史ガイド+温泉ツアー、欧米向けアウトドア+温泉プラン、など)。
    • ナイトアクティビティ(ライトアップや星空観察、伝統芸能の夜公演)や、温泉リトリートプランの開発で宿泊率を向上。
  4. 食文化のブランディング
    • 地産地消のイベントやローカルフードフェスを定期開催し、ご当地グルメの魅力を発信。
    • 郷土料理体験・地域の食材を使ったクッキングワークショップの充実。
  5. 文化・歴史体験の拡充
    • 伝統工芸や地元の祭りに簡単に参加・体験できるプログラムを増やし、外国人・若年層に訴求。
    • 文化的ストーリーテリングを重視し、ガイドや音声解説アプリなどを提供。

まとめ

群馬県のマーケティングコンセプトは、「自然 × 温泉」を核にしながら、「歴史・文化体験」「食・伝統工芸」「アクセスのしやすさ」といった群馬県独自の魅力を組み合わせて訴求していくのが良いと考えました。ターゲットごとに異なるニーズ(家族旅行での思い出作り、シニア層のゆったり滞在、海外旅行者のアクティブ&文化体験など)に応じた訴求メッセージを明確にすることで、「何を体験できるのか」「なぜここで体験すると良いのか」を分かりやすく伝えることが重要です。

こうした明確なコンセプトを軸に、宿泊プランや日帰りプラン、体験プログラム、食のイベントなどを多角的に展開することで、群馬県を「国内外から選ばれる観光地」へとブランディングし、集客と宿泊率の向上を狙います。

改めて、群馬県が選ばれる理由の要素を全面に押し出し、国内・訪日外国人の観光客増加を目指していく形をご提案します。今回は出身者としての妄想で構築しましたが、機会があればより詳細に調査の上で出身地である群馬を盛り上げる活動に繋げていきたいと考えています。参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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