2025年の世界はこう変わる!?ユーラシア・グループが示すトップリスク10を徹底解説 - 勝手にマーケティング分析
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2025年の世界はこう変わる!?ユーラシア・グループが示すトップリスク10を徹底解説

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はじめに

2025年はビジネス環境や国際情勢がさらなる転換点を迎える――そう指摘するのが、世界的に著名な調査機関「ユーラシア・グループ」の最新レポート『TOP RISKS 2025』です。社会や経済の先行きが一段と不透明になる中、若手マーケターやビジネスパーソンにとって大切なのは「具体的にどんなリスクが迫っているのか」をしっかりと理解し、柔軟なマーケティング戦略や事業計画に落とし込むことにあります。ここでは、ユーラシア・グループが指摘する10のリスクについて一つひとつ詳しく見ていき、それがビジネスにどう影響し得るか、また企業としてどんな備え方が考えられるかのヒントを探ります。

混迷を増す世界では、従来の常識が通じないこともしばしばです。政治や地政学リスクが高まることで、企業のサプライチェーンや市場参入のルールが突発的に変わる可能性があります。また、テクノロジーの急速な進化やAIの暴走など、人類が未経験の領域のリスクも無視できません。本記事を通じて、これらのリスクに対してどのような視点で準備を進めるべきかを考える一助としていただければ幸いです。

なお実際の資料はこちらからどなたでも閲覧可能です。


2025年に高まる10の世界的リスク

ユーラシア・グループのレポートによれば、2025年前後に特に顕在化しそうなリスクとして、以下の10項目が挙げられています。政治・経済・地政学・テクノロジーなど、多面的な要素が複雑に絡み合いながら世界のビジネス環境を揺さぶる可能性があるのです。ここでは、それぞれのリスクを概説しつつ、具体的なビジネス面への影響と備え方を考えていきましょう。


リスクNo.1:深まるGゼロ世界の混迷

概要
リーダー不在の世界秩序「Gゼロ」状態がさらに深刻化すると、国際的な協調や合意形成が難しくなります。これまでは米国など特定の大国がリーダーシップを発揮してきましたが、近年は米中対立や欧州の求心力低下、新興国の台頭が絡み合い、いずれの勢力も世界を主導しきれない状態に陥っています。2025年にはその傾向がさらに顕著化すると予測され、国際社会が単一の方向へまとまらない「無秩序な多極化」が進む恐れがあります。

  • ポイント
    • 国連やIMF、WTOなどの枠組みが時代の変化に適応できず、主要国が協力を敬遠する動き
    • 新興国は国際舞台で発言力を高める一方、互いの利害が一致せずまとまらない
    • 事故や誤算、突発的衝突リスクが高まるため、安定した世界秩序の維持が困難

ビジネスへの影響・備え

  • マルチローカル化の加速:各国が独自の規制を打ち出したり、地域間の経済圏が細分化されたりするため、グローバル企業は製品仕様やマーケティング戦略を複数パターン用意する必要がある。
  • 政治リスクマネジメント強化:世界中の政治情勢が予測しにくくなるため、取引先や進出先の政治リスクを常時モニタリングし、事業継続計画(BCP)を柔軟に更新する必要がある。
  • 信用獲得の難易度上昇:国際協調の後退とともに、「この企業は信頼できるのか」という視点がますます重視される。社会貢献やサステナビリティへの取り組みがブランド評価に直結。

リスクNo.2:トランプの支配

概要
2024年の大統領選でトランプ氏が再び勝利し、2025年からは従来以上に強固な政権を作り上げるというシナリオが示されています。前回の政権運営で得た経験を活かし、トランプ氏自身も官僚機構の抑え方を学習しているため、一層大胆な人事と政策を断行する懸念が強まるのです。

  • ポイント
    • “ディープ・ステート”排除:司法省やFBIなどの独立性を損ねる政治介入で、自分に反対する勢力を粛清
    • “アメリカ・ファースト”の加速:同盟国との関係よりも国内世論の支持を優先し、保護主義が激化
    • 政権への献金や支持が政策判断を左右するなど、公平な競争環境が損なわれるリスク

ビジネスへの影響・備え

  • 貿易・通商リスク:対中関税の再強化や、新たな貿易協定の破棄・再交渉などが突如発生し得る。輸出入コストや物流計画に影響を与えるため、複数のシナリオを見据えた供給網構築が重要。
  • 国内市場の分断:トランプ支持・反対の対立が国内社会を二極化する中で、企業の広告やキャンペーンが政治的に解釈されやすくなる。特定のセグメントを意識する際には政治的偏向リスクの評価が不可欠。
  • 企業ロビーとリスク管理:ロビー活動が政策決定を左右する場面が増えれば、政府との距離感が企業の生存を左右しうる。ステークホルダー管理と政治リスクヘッジ体制の整備がこれまで以上に必要となる。

リスクNo.3:米中決裂

概要
世界最大の2大経済大国である米国と中国が本格的に袂を分かち、それぞれ独自の技術・経済圏を構築するリスクです。サプライチェーンや国際協力の枠組みが大きく揺らぎ、ほとんどの多国籍企業がいずれかの陣営に加担せざるを得ない状況が想定されます。

  • ポイント
    • AIや量子コンピュータ、半導体など先端技術での競争が激化し、技術移転・人材交流が大幅に制限される
    • 貿易戦争が再燃し、関税・禁輸リスト・投資規制が多方面で強化
    • 中間に位置する国や企業はどちらかの技術標準を選ばざるを得ず、政治的圧力が高まる

ビジネスへの影響・備え

  • 製品設計やR&Dの分断:米国向けと中国向け、それ以外の地域向けにも異なる規格・認証が必要になり、開発コストが増大する。
  • 市場選択のジレンマ:世界最大の市場である中国を諦めるか、米国との関係を悪化させるか、といった二者択一を企業が迫られるケースも。
  • スピード重視の事業展開:規制が変われば一気に進出や撤退を加速させなければならないため、社内の意思決定プロセスを迅速化し柔軟に対応する仕組みづくりが重要。

リスクNo.4:トランプノミクス

概要
トランプ氏の経済政策(トランプノミクス)は、減税や規制緩和を通じて短期的には株価や消費マインドを押し上げる一方、財政赤字やインフレリスクの拡大を招く可能性があります。大規模な公共投資や特定産業への優遇策も見込まれますが、その反動で金融不安が生じるシナリオが描かれています。

  • ポイント
    • 減税による企業収益の改善と、家計消費の一時的ブースト
    • 巨額のインフラ投資計画が予想される一方、連邦政府債務が急拡大
    • FRBとの摩擦が高まり、金融政策の独立性が脅かされるリスク

ビジネスへの影響・備え

  • 内需市場の一時拡大:米国内で景気が盛り上がるシナリオでは、消費財やサービス市場が一時的に拡大する。
  • 米ドル相場の変動:金融市場の混乱によってドル高・ドル安が振れ幅大きく推移する可能性があり、輸出入コストや収益計算への影響が大きい。
  • 財政バブル崩壊リスク:好調な局面が長く続いた後にバブルが弾けると、世界的金融危機の再来もあり得るため、早期警戒と多角的な投資判断が欠かせない。

リスクNo.5:ならず者国家のままのロシア

概要
ウクライナ侵攻後、各国からの経済制裁を受け続けるロシアが国際社会で孤立を深めつつ、軍事的影響力やサイバー攻撃力を駆使して混乱をもたらすリスクです。経済的には衰退が進む一方で、新たな同盟国(北朝鮮やイランなど)との連携を強化することで、対抗勢力として居座り続ける可能性があります。

  • ポイント
    • 原油・天然ガスなどのエネルギーを外交カードとして活用し、欧州やその他地域を揺さぶる
    • サイバー攻撃やハッキング活動を通じ、金融機関やインフラ施設を狙った混乱を誘発
    • ウクライナとの停戦が見通せず、紛争の長期化が欧州全体の経済と安全保障を脅かす

ビジネスへの影響・備え

  • エネルギー価格高騰の継続:OPEC+との協調や市場操作によって、原油価格が乱高下しやすくなり、製造業や物流コスト増に直結。
  • 地政学リスクの長期化:欧州やロシア周辺国への進出が不安定要素を伴い、投資マインドが冷え込むリスク。
  • サイバー攻撃対応:ロシア発のハッカー集団が企業や政府機関を狙う事例が増えるほど、セキュリティ対策への投資と専門人材の確保が必須となる。

リスクNo.6:追い詰められたイラン

概要
イランが核開発を続行し、中東地域での対立が一層激化するリスク。アメリカや欧州が制裁を強化すれば、イラン国内の経済危機が深まり、政権がさらに強硬姿勢へと舵を切る恐れがあります。中東の火種が大きくなれば、原油供給にも影響が波及。世界経済全体が再び不安定化しかねません。

  • ポイント
    • イラン核合意(JCPOA)が形骸化し、イランが核保有国へ近づくシナリオ
    • サウジアラビアやイスラエルとの軍事衝突リスクの高まり
    • 地域全体で宗派対立や代理戦争が活発化

ビジネスへの影響・備え

  • 原油価格の乱高下:ホルムズ海峡の封鎖が現実味を帯びれば、原油供給が滞り、価格が急騰・急落を繰り返す可能性。
  • 中東ビジネスのリスク上昇:現地の政治的緊張により、進出計画の延期や既存案件の中止が相次ぐ懸念。
  • 地政学リスク保険の活用:保険やファイナンス面でのバックアップを厚くし、不測の事態による損失を最小化する工夫が求められる。

リスクNo.7:世界経済への負の押し付け

概要
グローバルな景気低迷やインフレ圧力のなかで、各国が自国の負担を最小化するために保護主義や為替操作に走り、結果的に世界全体の不況を長引かせる可能性が指摘されています。協調よりも競合が強まることで、国際貿易や金融市場が一段と混乱するリスクです。

  • ポイント
    • 為替レートを意図的に操作し、自国の輸出産業を優遇する“近隣窮乏化政策”の台頭
    • 多国間協定が停滞し、二国間の関税・補助金競争が激化
    • 政府債務の膨張と金融市場のボラティリティ増大で、世界的景気回復が遅れる

ビジネスへの影響・備え

  • 価格戦略の難しさ:為替が急変動すると輸出入コストが読みにくくなり、製品価格の見直しや契約更改が頻繁に必要となる。
  • サプライチェーン再編:特定の国からの輸入が急に厳しくなったり、逆に補助金を受けて生産を国内回帰する動きが活発化するかもしれない。
  • 内需と外需のバランス:世界市場の保護主義が進むなら、自国市場を重点的に攻略するシナリオも視野に。マーケティングの軸足をどこに置くかが問われる。

リスクNo.8:制御不能なAI

概要
AIの急速な発展に対して、法規制や倫理的ガイドライン、社会的合意形成が追いつかず、誤用や暴走が発生するリスクです。ディープフェイクやアルゴリズムの偏りなど、多様な形で社会を混乱に陥れる可能性があります。

  • ポイント
    • 政治選挙や世論形成への干渉:偽動画やAIボットを用いたフェイクキャンペーン
    • 金融市場やインフラの誤作動:高頻度取引や交通管制システムへの悪影響
    • 企業のデータが不正利用され、プライバシー侵害や情報漏洩が頻発

ビジネスへの影響・備え

  • ブランド毀損リスク:なりすまし広告や虚偽情報の拡散で企業イメージを損なう事例が増えるため、検証システムや危機管理広報が必須。
  • 規制とコンプライアンス:AIガバナンスが整備されるまでは、国や地域ごとに異なる規制が次々に出される可能性が高い。法務チームの連携強化が重要。
  • 人材とセキュリティ投資:AI関連技術者だけでなく、リスク評価や法務対応に明るい人材を確保し、セキュリティ強化に投資する必要性が高まる。

リスクNo.9:統治なき領域の拡大

概要
海洋や宇宙空間、あるいは紛争地帯など国際法が未整備な領域が拡大するリスクです。国や企業が実力行使で資源やインフラを奪い合い、既存の枠組みでは規制しきれない事例が増えるかもしれません。

  • ポイント
    • 南シナ海や北極海での領有権争いが激化し、航行の自由や海洋資源利用が脅かされる
    • 宇宙空間ではスペースデブリや軍事衛星の問題が深刻化。通信・測位システムが妨害される恐れ
    • 無政府状態の紛争地帯が拡大し、テロや海賊などの越境犯罪が増加

ビジネスへの影響・備え

  • サプライルートの安全保障:海路を使った輸送が多い企業は、海賊行為や領海紛争の影響で輸送コストや保険料が上昇する懸念あり。
  • 宇宙ビジネスのリスク:衛星打ち上げ・運用に関わる事業は、スペースデブリや軍事利用リスクを考慮して高額な保険と安全対策を講じる必要がある。
  • 新興国市場への不安:統治が行き届かない地域での事業進出は、契約の法的拘束力や安全性が確保できず、リスクプレミアムが高くなる。

リスクNo.10:米国とメキシコの対立

概要
トランプ政権の再来などを受け、米国とメキシコの間に再び高い緊張が走るリスクが示唆されています。国境管理や移民政策、USMCA(新NAFTA)の揺らぎなどによって、北米地域の経済一体化が大きく後退する可能性があります。

  • ポイント
    • 国境の壁建設や移民制限策のさらなる強化により、メキシコ側の反発が高まる
    • 自動車・製造業における米墨連携が崩れ、サプライチェーン全体の再編が必要に
    • メキシコ国内の治安が悪化し、外資企業の操業が不安定化するリスク

ビジネスへの影響・備え

  • 北米市場の一体化モデルが再び崩壊:米・メキシコ間の通商が混乱し、コスト増大や物流の滞りが発生する。
  • 人材流動・物流混乱:工場や倉庫拠点の移転、あるいは人材移動の制限によって生産性が低下する懸念。
  • 輸出入関連コストアップ:関税の再導入や通関手続きの煩雑化で、企業収益に直接打撃を受ける場合も。

マーケティング視点で押さえるポイント

ここまでさまざまなリスクを見てきましたが、それぞれが互いに連鎖し合う可能性も高く、単独では捉えきれない複雑性をはらんでいます。企業としては、混乱や変化をいかに早期に察知し、柔軟な姿勢で対応するかが問われるでしょう。

これら10のリスクは相互作用によって一段と大きな衝撃をもたらすことが予想されます。特にマーケターは、グローバル展開だけでなく国内市場ですら政治・経済の混迷に影響を受ける時代であることを自覚しておく必要があります。以下のポイントがカギとなるでしょう。

  1. シナリオプランニングの導入
    • すべてが不透明であるからこそ、複数のシナリオを描き、迅速に切り替えられるマーケティング施策を準備する。
    • 例えば、米中デカップリングが進んだ場合、ローカルチャネルを優先するプラン/それが回避された場合、グローバル施策を強化するプランなど複数用意。また、シナリオごとに必要なリソースを見積もり、コスト面や社内リソース確保の難しさもしっかり考慮しておくことが重要。
  2. ローカライズ戦略の強化
    • 世界各国それぞれの法令や文化的背景を踏まえ、広告・販促メッセージやクリエイティブをローカルごとに最適化する。
    • 規制が突然変更されても対応できるよう、グローバルとローカル両面での意思決定がスムーズに連動する組織構造を作る。
  3. 政治・地政学リスクマネジメント
    • 主要国の選挙結果や国際関係の変化をリアルタイムでモニタリングし、自社のマーケティングキャンペーンがどのように影響を受けるか評価する。
    • 重要取引先やサプライヤーが政治的に制裁対象となった場合のリスクヘッジ策(代替調達先確保など)を常に検討。
  4. サイバーセキュリティとAIリスクへの備え
    • フェイクニュースやディープフェイクが簡単に作られる時代において、企業発信の情報信頼度をどう担保するかがブランドの存亡を左右する。
    • AIを活用する際のバイアスや誤作動に備え、AI倫理ガイドラインを整備すると同時に、セキュリティ面の投資を惜しまない。
  5. サステナビリティと社会的責任の明確化
    • Gゼロ時代は国際協調が進まず地球規模課題も解決が遅れる。だからこそ、企業が主体的に社会課題へアクションを起こす意義が大きい。
    • ESG投資やSDGsへの取り組みを強化し、ステークホルダーからの信頼を得ることで、不透明な時代でも差別化を図る。

まとめ

ユーラシア・グループが掲げる「TOP RISKS 2025」は、世界が抱える地政学・政治・技術・経済上の課題が複雑に絡み合っている点に特徴があります。一つのリスクが顕在化すると、連鎖的に他のリスクを誘発する可能性が高く、企業のマーケティング活動や事業運営に多大な影響を及ぼします。

Key Takeaways

  • 10リスクを包括的に捉える:Gゼロ世界、トランプ再登板、米中デカップリング、AIの暴走、ロシア・イラン問題などが重層的に絡み、単独ではなく複合的に発生する。
  • マーケティング戦略への即応:シナリオプランニングやローカライズ、政治リスク管理などを駆使して、環境変化に迅速対応できる仕組みを整備。
  • リスクを“チャンス”に変える発想:混乱期だからこそ新しい市場や技術ニーズが生まれ、先手を打てば競合優位に立てる余地がある。

今後、世界の混迷が深まるにつれ、一企業の努力だけではカバーしきれないリスクも増えていくでしょう。それでも先を見据えた備えを怠らず、日々の政治・経済動向にアンテナを張り、複数のシナリオに柔軟に対応できるかが、2025年以降の勝敗を左右します。企業の競争力は「リスク許容力と対応力」によって大きく左右されると言えます。ぜひ今回の10大リスクを自社の戦略やマーケティング活動に反映させ、この複雑な時代を乗り越えていきましょう。

出典:https://www.eurasiagroup.net/services/japan

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

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