はじめに
最近、筆者は語学学習アプリのDuolingoで英語を学習することにハマっています。毎日お風呂に入った際に必ず学習するようにしており、完全に習慣化しています。ゲーム感覚で続けられ、続ければ続けるほどストリーク(今まで実施した実績)を途切れさせたくない気持ちがめちゃくちゃ強くなっています。そんなDuolingo、なぜこんなに人気なのか?どうやって持続的に成長しているのか?マーケティングの視点から詳しく分析していきます。
Duolingoとは?



Duolingoは、ゲーミフィケーションとAI技術を活用した、世界中で利用されている無料の語学学習プラットフォームです。ゲームのような楽しいインターフェースと、個々の学習者に最適化されたレッスンを提供することで、言語学習の継続率と効果を高めています。40以上の言語コースを提供し、初心者から上級者まで、幅広いレベルの学習者に対応しています。継続的な改善と革新的なマーケティング戦略によって、高い顧客エンゲージメントと収益性を実現している企業です。
公式サイト:https://www.duolingo.com/
アプリサイト:GooglePlay App Store
女優の杏さんも利用しているようなので、プロダクトのイメージを掴みたい方はこちらもぜひご覧ください。
Duolingoの業績から見る成長力
まずは業績を見ていきましょう。
売上・利益の推移
年度 | 売上高(百万ドル) | 営業利益(百万ドル) | MAU | 有料会員数(百万) |
---|---|---|---|---|
2021年 | 250.8 | -60.0 | 4,240万人 | 1.2 |
2022年 | 369.5 | -65.2 | 6,070万人 | 2.3 |
2023年 | 531.1 | -13.3 | 8,840万人 | 4.5 |
2024年(予測) | 750.0 | 45.0 | 1億1,300万人 | 7.0 |
✅ 2023年の売上は前年比43.7%増!
✅ 2024年第1四半期で初の黒字化達成!
✅ 有料会員は3年間で約6倍に増加!
無料で使えるアプリなのに、こんなに収益を伸ばせる理由を探っていきたいと思いますが、この語学学習業界は昔からある市場です。プレイヤーも多く、その中で選ばれなければなりません。まずは業界としての状況で、成長しているのか、追い風が吹いているのか、向かい風なのかを探っていきましょう。
出典:Duolingo決算情報
語学学習業界のPLESTE分析
Duolingoが事業展開する語学学習アプリ市場について、PESTEL分析を行います。
要因 | 機会 | 脅威 |
---|---|---|
政治的(Political) | - グローバル化に伴う言語教育の重要性増大 - 各国政府による語学教育支援策 | - 国際情勢の悪化による言語学習需要の変動 - データプライバシーに関する規制強化 |
経済的(Economic) | - 新興国市場における中間層の拡大 - グローバル人材需要の増加 | - 経済不況による教育支出の削減 - 為替変動によるコスト増加 |
社会的(Social) | - 多文化共生社会の進展 - 生涯学習ニーズの高まり | - 少子化による学習人口の減少 - SNSなど他の娯楽との競合 |
技術的(Technological) | - AI・機械学習技術の進化 - VR/AR技術の発展による没入型学習の可能性 | - 機械翻訳技術の向上による需要減少 - サイバーセキュリティリスクの増大 |
環境的(Environmental) | - リモートワーク増加による自己啓発時間の増加 - 環境配慮型サービスへの需要 | - デジタルデバイスの環境負荷 - データセンターのエネルギー消費問題 |
法的(Legal) | - オンライン教育の法的認知度向上 - 教育テクノロジーの規制緩和 | - 個人情報保護法の厳格化 - 教育コンテンツに関する著作権問題 |
この分析から、Duolingoを含む語学学習アプリ市場には以下のような機会と脅威があることがわかります:
市場の機会
- グローバル化と多文化共生社会の進展による語学学習需要の増加
- AI・機械学習技術の進化によるパーソナライズ学習の高度化
- リモートワークの普及による自己啓発時間の増加
- 新興国市場における中間層の拡大と教育需要の増加
市場の脅威
- データプライバシーに関する規制強化とセキュリティリスク
- 機械翻訳技術の向上による語学学習需要の潜在的減少
- 経済不況による教育支出の削減リスク
- 競合サービスや他の娯楽との競争激化
市場の成長性
語学学習アプリ市場は、グローバル化の進展や技術革新により今後も成長が見込まれます。市場調査会社のBusiness Research Insightsによると、グローバルな言語学習プラットフォーム市場は2030年までに年平均成長率(CAGR)17.3%で成長し、1837億米ドルに達すると予測されています。
この成長を後押しする要因として、以下が挙げられます:
- デジタル学習の普及:スマートフォンの普及とインターネットアクセスの向上により、オンライン学習プラットフォームの利用が増加しています。
- グローバルビジネスの拡大:国際的なビジネス機会の増加に伴い、複数言語を話せる人材への需要が高まっています。
- 生涯学習のトレンド:継続的なスキル向上の重要性が認識され、語学学習への投資が増加しています。
- 新興国市場の成長:アジアやラテンアメリカなどの新興国で、英語をはじめとする外国語学習への需要が拡大しています。
よって、語学学習アプリ市場は基本的に成長市場と言えます。しかし、市場の拡大に伴い新たな競合の参入も予想されるため、継続的なイノベーションと顧客満足度の向上が重要となるでしょう。
語学学習サービスのPOP/POD/POF分析
続いて、Duolingoが戦う語学学習アプリ市場におけるPOP(Points of Parity)、POD(Points of Difference)、POF(Points of Failure)を分析します。これを見ることでこの市場で戦うために必要な要素が整理できます。
POP(Points of Parity)
POPは業界標準や顧客の最低期待を満たす要素です。
- 多言語対応
- 主要な言語(英語、スペイン語、フランス語など)のコースを提供
- ユーザーの母国語に合わせたインターフェース
- 基本的な学習機能
- 単語学習
- 文法練習
- リスニング練習
- スピーキング練習
- 進捗管理
- レベル制度
- 学習統計の表示
- モバイルアプリとウェブ版の提供
- iOS/Androidアプリ
- ブラウザでのアクセス
- 無料版と有料版の提供
- 基本機能は無料で利用可能
- プレミアム機能を有料で提供
POD(Points of Difference)
PODは競合と差別化できる独自の強みです。
- ゲーミフィケーション
- 「ストリーク」システム(連続学習日数の記録)
- XP(経験値)の獲得
- リーグ制度による競争要素
- AIを活用したパーソナライズ学習
- ユーザーの弱点を分析し、適切な問題を提供
- 学習ペースに合わせたコンテンツ提供
- キャラクターデザインとストーリー性
- 「Duo」(フクロウのマスコット)を中心としたキャラクター設定
- 学習を通じたストーリー展開
- 社会貢献モデル
- 無料版の提供による言語学習の民主化
- 翻訳プロジェクトへの貢献
- データ駆動型の製品開発
- A/Bテストの徹底実施
- ユーザーデータの分析に基づく機能改善
POF(Points of Failure)
POFは顧客満足を損なう可能性のある弱点です。
- 高度な言語スキルの習得限界
- 初級〜中級レベルに特化しており、上級者向けコンテンツが不足
- 文化的コンテキストの欠如
- 言語の背景にある文化的要素の学習が不十分
- リアルな会話練習の不足
- ネイティブスピーカーとの実践的な会話機会が限られている
- 学習の継続性
- ゲーミフィケーション要素が強すぎることによる本質的な学習意欲の低下
- プライバシーとデータセキュリティ
- 大量のユーザーデータ収集に伴うプライバシー懸念
この分析から、Duolingoは強力なゲーミフィケーション要素とAIを活用したパーソナライズ学習を中心に差別化を図っていることがわかります。一方で、より高度な言語スキルの習得や実践的な会話練習の提供が今後の課題となっています。
また、語学学習サービス・アプリのプレイヤーは増え続けていますが、同じ目的の手段として英会話教室、TOEIC、TOFULなどの英語学習教材、オンライン英会話なども競合と言える市場でしょう。その中で語学学習サービス・アプリが選ばれるのはなぜでしょうか。
語学学習サービスというカテゴリーが選ばれる主な理由
以下のような特徴を持つ人々のニーズに合致しているからと考えられます。
時間的制約のある学習者
- 忙しい社会人や学生
- 隙間時間を活用したい人
- 通勤・通学時間を有効活用したい人
これらの人々は、時と場所を選ばず学習できるアプリの柔軟性に魅力を感じます。英会話教室やTOEIC対策講座などと比べ、自分のペースで学習を進められる点が大きな利点となっています。
コスト意識の高い学習者
- 学習コストを抑えたい人
- 初期投資を最小限に抑えたい人
- 継続的な学習費用を気にする人
語学学習アプリは、多くの場合無料版や低価格の月額プランを提供しており、英会話教室やオンライン英会話と比べて経済的です。
自己学習型の学習者
- 自分のペースで学びたい人
- 他人と比較されることを好まない人
- 自己管理能力の高い人
アプリを使った学習は、他者との直接的な比較や競争を避けつつ、自分の進捗を管理できる点が魅力です。
テクノロジー親和性の高い学習者
- スマートフォンやタブレットを日常的に使用する人
- 新しい学習方法に興味がある人
- ゲーミフィケーションを好む人
AIやゲーミフィケーションを活用した語学学習アプリは、従来の学習方法よりも楽しく効果的に感じられる傾向があります。
初学者や再学習者
- 語学学習を始めたばかりの人
- 過去の学習を思い出したい人
- 基礎から学び直したい人
多くの語学学習アプリは、初心者向けのコンテンツが充実しており、気軽に始められる点が魅力です。
多言語学習に興味がある人
- 複数の言語を学びたい人
- 珍しい言語にチャレンジしたい人
語学学習アプリは多くの場合、複数の言語コースを提供しており、英語以外の言語も学べる点が選ばれる理由となっています。
これらの特徴を持つ人々にとって、語学学習アプリは他の学習方法と比較して、アクセスのしやすさ、コストパフォーマンス、柔軟性において優位性があり、そのためこのカテゴリーが選ばれる傾向にあります。
では、その中でなぜDuolingoが選ばれるのでしょうか。次はSWOT分析をもとに探っていきます。
DuolingoのSWOT分析
強み (Strengths)
- 強力なゲーミフィケーション要素
- AIを活用したパーソナライズ学習
- 無料版の提供による大規模ユーザーベース
- データ駆動型の製品開発
- 多言語対応(40以上の言語コース)
- ブランド認知度とユーザーロイヤリティ
- 効果的なモバイルアプリケーション



弱み (Weaknesses)
- 上級者向けコンテンツの不足
- 実践的な会話練習の限界
- 文化的コンテキストの欠如
- 収益モデルの依存度(広告収入と有料サブスクリプション)
- オフライン学習機能の制限
機会 (Opportunities)
- グローバル化による語学学習需要の増加
- AI・機械学習技術の進化
- リモートワーク普及による自己啓発時間の増加
- 新興国市場の成長
- 生涯学習トレンドの拡大
- VR/AR技術の発展による没入型学習の可能性
脅威 (Threats)
- 競合他社の台頭(Babbel、Rosetta Stoneなど)
- 機械翻訳技術の向上による語学学習需要の潜在的減少
- データプライバシーに関する規制強化
- 経済不況による教育支出の削減リスク
- 言語学習アプリの市場飽和
取るべき戦略
- 上級者向けコンテンツの強化(SO戦略)
- AIを活用した高度な文法・語彙学習モジュールの開発
- ネイティブスピーカーとのマッチングシステムの導入
- VR/AR技術の統合(SO戦略)
- 没入型言語環境を提供する「Duolingo VR」の開発
- 現実世界の物体を認識し、リアルタイムで語学学習に活用するAR機能の実装
- B2B市場の開拓(WO戦略)
- 企業向け語学研修プログラムの開発
- 教育機関との提携強化と学校向けプラットフォームの提供
- 文化学習コンテンツの拡充(WT戦略)
- 言語ごとの文化・歴史モジュールの追加
- ユーザー生成コンテンツを活用した「文化交流フォーラム」の設置
- オフライン学習機能の強化(WT戦略)
- ダウンロード可能なレッスンパックの提供
- オフライン時の進捗同期システムの改善
- 収益モデルの多様化(ST戦略)
- プレミアムコンテンツの拡充(業界別専門用語コースなど)
- パートナー企業とのコラボレーション商品の開発(Duolingo公認教材など)
- データセキュリティとプライバシー保護の強化(ST戦略)
- ユーザーデータの匿名化と暗号化技術の導入
- プライバシーポリシーの透明性向上と定期的な監査実施
- 新興市場向けローカライゼーション戦略(SO戦略)
- 地域特有の言語ペア(例:ヒンディー語-英語)の強化
- 現地の教育システムと連携したカリキュラム開発
これらの戦略を実行することで、Duolingoは強みを活かし、弱みを克服しつつ、市場機会を捉え、脅威に対応することができると考えられます。特に、AI技術の活用とVR/AR技術の統合、B2B市場の開拓に注力することで、競合他社との差別化を図り、持続的な成長を実現することが期待できます。
Duolingoを利用するユーザーの合理性を考察
次に、オルタネイト分析を使ってユーザーの合理を考察していきましょう。筆者の頭の中では7パターンほど考えられます。
パターン1:語学学習初心者の日常学習
- 行動:毎日10分間Duolingoで外国語を学習する
- きっかけ:海外旅行の計画や仕事での必要性
- 欲求:効率的に新しい言語を習得したい
- 抑圧:時間不足、継続する意志力の欠如
- 報酬:ストリーク(連続学習日数)の維持、レベルアップ
パターン2:中級者のスキルアップ
- 行動:週末にDuolingoの有料コースで集中学習
- きっかけ:資格試験の準備や昇進のチャンス
- 欲求:特定の言語でのコミュニケーション能力向上
- 抑圧:高額な学習コスト、モチベーション維持の難しさ
- 報酬:リーグでの上位ランク獲得、実際の会話力向上
パターン3:子供の語学教育サポート
- 行動:親子でDuolingoを使って外国語を学ぶ
- きっかけ:子供の将来のためのスキル習得
- 欲求:楽しみながら効果的に言語を学ばせたい
- 抑圧:子供の集中力の持続、適切な難易度の設定
- 報酬:家族での共通の趣味、子供の学習意欲向上
パターン4:旅行前の短期集中学習者
- 行動:旅行前にDuolingoで必要なフレーズや単語を学習する
- きっかけ:海外旅行の予定、旅行先でのコミュニケーションへの不安
- 欲求:旅行先で基本的な会話ができるようになりたい
- 抑圧:旅行準備の忙しさ、学習時間の確保
- 報酬:旅行先でのスムーズなコミュニケーション、現地の人々との交流
パターン5:言語学習趣味者
- 行動:毎日Duolingoで新しい言語を少しずつ学習する
- きっかけ:言語学習への興味、新しい文化への好奇心
- 欲求:様々な言語に触れたい、知的好奇心を満たしたい
- 抑圧:学習のモチベーション維持、他の趣味との両立
- 報酬:新しい言語の知識、多文化理解の深化
パターン6:退職後の脳トレ学習者
- 行動:毎日Duolingoで外国語を学習する
- きっかけ:退職後の時間、認知症予防への意識
- 欲求:脳の活性化、新しい知識の習得
- 抑圧:学習の難易度、記憶力の低下
- 報酬:脳の活性化、認知機能の維持
パターン7:海外在住者の言語維持
- 行動:定期的にDuolingoで母国語を学習する
- きっかけ:母国語のスキル維持への意識、子供への言語教育
- 欲求:母国語の能力維持、子供への言語継承
- 抑圧:学習時間の確保、子供の興味を引くこと
- 報酬:母国語の能力維持、子供とのコミュニケーション
これらのパターンからもわかるように、Duolingoは様々な動機やニーズを持つユーザーに利用されているからこそユーザーを順調に増やしていると言えるでしょう。語学力向上、自己成長、異文化理解をしたいと思うユーザーにとって、既存の学習方法では学習時間の確保が難しい、学習コストが高い、モチベーション維持の困難さという抑圧がある中でその欲求を叶えているのがDuolingoです。ユーザーの「学びたいけれど続かない」という課題をゲーミフィケーションやストリーク機能を活用して解決していると言えるでしょう。これにより、継続的な学習を促し、報酬感を得やすい設計が成功しているでしょう。
Duolingoが選ばれる理由(Who/What/How分析)
Who/What/How分析
パターン | 一言で言うと | Who(誰、JOB) | What(便益、独自性、RTB) | How(プロダクト、コミュニケーション、価格) |
---|---|---|---|---|
1 | 日常学習 | 20-30代の社会人、学生。 JOB: 隙間時間を有効活用して効率的に外国語を学習したい | 便益:短時間で手軽に語学学習ができる。 独自性:AIによるパーソナライズ学習とゲーム感覚のインターフェース。 RTB:科学的な学習メソッドと豊富な実績 | プロダクト:AIチューター、1レッスン10分程度の短時間設計、ストリークやリーグなどのゲーミフィケーション要素。 コミュニケーション:プッシュ通知、SNSでの情報発信、ユーザーコミュニティ。 価格:基本無料、有料サブスクリプション |
2 | スキルアップ | 20-40代のビジネスパーソン。 JOB: キャリアアップや資格取得に必要な語学力を向上させたい | 便益:実践的な語学スキルが身につく。 独自性:ビジネスシーンを想定した実践的な会話練習。 RTB:資格試験対策コンテンツ、AIによる発音チェック | プロダクト:有料コースでの集中学習、ビジネスシーンを想定した実践的な会話練習、資格試験対策コンテンツ。 コミュニケーション:企業研修プログラム、キャリアアップ事例の紹介。 価格:有料サブスクリプション |
3 | 親子学習 | 30-40代の親。 JOB: 子供に楽しみながら効果的に語学を学ばせたい、親子で一緒に学習したい | 便益:親子で楽しく学べる、子供の学習意欲を高められる。 独自性:キャラクターを活用した親しみやすいインターフェース。 RTB:子供向けコンテンツの充実、教育機関との提携 | プロダクト:キャラクターを活用した親しみやすいインターフェース、家族向け割引プラン、子供の学習進捗を把握できる機能、多言語に対応した絵本や歌などのコンテンツ。 コミュニケーション:SNSでの情報発信、教育イベントへの参加。 価格:家族向け割引プラン |
4 | 旅行準備 | 20-50代の旅行者。 JOB: 旅行先で最低限の会話ができるようになりたい、旅行をより楽しみたい | 便益:旅行先でのコミュニケーションがスムーズになる。 独自性:旅行でよく使うフレーズや単語に特化。 RTB:オフライン環境でも利用可能 | プロダクト:旅行でよく使うフレーズや単語に特化したコース、オフライン環境でも利用可能なコンテンツ、音声認識機能による発音練習。 コミュニケーション:旅行関連メディアとの連携、旅行博への出展。 価格:無料、有料コンテンツ |
5 | 趣味学習 | 40-60代。 JOB: 新しい言語を学びたい、様々な文化に触れたい、知的好奇心を満たしたい | 便益:新しい言語や文化に触れることができる。 独自性:豊富な言語コース。 RTB:学習仲間と交流できるコミュニティ機能 | プロダクト:豊富な言語コース、歴史や文化に関する情報、学習仲間と交流できるコミュニティ機能。 コミュニケーション:SNSでの情報発信、学習イベントの開催。 価格:無料、有料サブスクリプション |
6 | 脳トレ学習 | 60代以上のシニア層。 JOB: 退職後の時間を有効活用したい、認知症予防のために脳を活性化したい | 便益:認知機能の維持や向上、脳の活性化。 独自性:シニア層向けのわかりやすいインターフェース。 RTB:脳トレ要素を取り入れた学習ゲーム | プロダクト:シニア層向けのわかりやすいインターフェース、大きな文字表示、シンプルな操作性、脳トレ要素を取り入れた学習ゲーム。 コミュニケーション:健康関連イベントへの参加、シニア向けメディアとの連携。 価格:無料、有料サブスクリプション |
7 | 言語維持 | 海外在住の日本人。 JOB: 母語である日本語のスキルを維持したい、子供に日本語を教えたい | 便益:母語能力の維持、子供への日本語教育。 独自性:日本語学習に特化したコース。 RTB:日本の文化やニュースに関するコンテンツ | プロダクト:日本語学習に特化したコース、日本の文化やニュースに関するコンテンツ、子供向けの教材。 コミュニケーション:海外在住者向けイベントへの参加、日本語教育関連団体との連携。 価格:無料、有料サブスクリプション |
📌 ユーザーが抱える共通の課題
- 時間がない → 1回5分で完結するレッスンだからスキマ時間で学習できる
- 学習の継続が難しい → ストリークやレベルアップなどのゲーム要素で習慣化、「やらされる学習」ではなく「楽しいからやる」学習へ
- お金をかけたくない → 基本無料で利用可能
楽しく継続できる、無料で学習できる、スキマ時間で利用可能だからスキルアップ、維持、認知機能の向上、自己肯定感の向上につながるという便益が最大化されていると言えるでしょう。
結論:Duolingoはなぜ選ばれるのか
Duolingoは、以下に示す要素が組み合わさることで、幅広い顧客層に選ばれています。各要素は、顧客のニーズに応え、リピート購入(継続利用)を促進するよう設計されています。
- アクセシビリティ:
- 無料で利用開始できる
- スマートフォンアプリで手軽に学習できる
- ゲーミフィケーション:
- ストリーク(連続学習日数)やリーグなどのゲーム要素で学習を継続できる
- 学習が楽しくなるような工夫がされている
- パーソナライゼーション:
- AIを活用して個別に最適化された学習体験を提供
- 誤答パターンを分析し、最適な問題を出題
- 難易度を動的に調整
- 多言語対応:
- 40種類以上の豊富な言語コースを提供
- 様々な言語に興味があるユーザーに対応
- 科学的アプローチ:
- データに基づいた効果的な学習方法を採用
- 学習効果を実証するための研究を実施
- 継続的な改善:
- A/Bテストを頻繁に実施し、UI/UXを最適化
- ユーザーのフィードバックを反映
これらの要素が組み合わさることで、ユーザーの学習モチベーションを高め、継続的な利用を促進しています。特に、以下のポイントが重要です。
- 手軽さ: いつでもどこでも学習できる
- 楽しさ: ゲーム感覚で学習できる
- パーソナライズ: 自分に合った学習ができる
- 効果: 学習効果が期待できる
これらの要素が組み合わさることで、Duolingoは多くのユーザーに選ばれ、継続的な成長を遂げていると考えられます。
まとめ
最後に、本記事で解説したことをまとめていきます。
- ユーザーセグメントを明確に定義し、各セグメントのニーズに合わせた学習体験を提供する
- ゲーミフィケーションを活用し、ユーザーの継続的なエンゲージメントを促進する
- AIとデータ分析を活用して、パーソナライズされたサービスを提供する
- 無料版と有料版の適切なバランスを取り、フリーミアムモデルを効果的に運用する
- ソーシャル機能を活用し、ユーザー間のコミュニティ形成と競争意識を醸成する
- 科学的なアプローチと継続的な改善を通じて、製品の効果を実証し信頼性を高める
- モバイルファーストの設計で、ユーザーの日常生活に溶け込むサービスを提供する
これらの戦略は自社ビジネスにとって非常に参考になります。プロダクトやサービスの独自性は既存カテゴリーの課題や抑圧を解決する要素であるということが我々マーケターにとって非常に重要なポイントです。この思考を自社のビジネスに適用することで、顧客に選ばれる理由を明確にし、持続的な成長を実現することができるでしょう。