なぜ「歌うアイス屋」コールドストーンは日本から消えたのか?マーケター必読の撤退分析 - 勝手にマーケティング分析
商品を勝手に分析

なぜ「歌うアイス屋」コールドストーンは日本から消えたのか?マーケター必読の撤退分析

なぜ「歌うアイス屋」コールドストーンは日本から消えたのか?マーケター必読の撤退分析 商品を勝手に分析
この記事は約14分で読めます。

はじめに

「また新しいブームが生まれたと思ったら、気がついたら消えている...」

マーケターとして働いていると、こんな経験はありませんか?一時的な話題性は作れるものの、その後の持続的な成長につなげることの難しさを痛感する場面は多いはずです。

2005年に日本上陸し、「歌うアイス屋」として一大ブームを巻き起こしたコールド・ストーン・クリーマリー(以下、コールドストーン)は、まさにその典型例と言えるでしょう。六本木ヒルズに1号店をオープンした際は連日長蛇の列ができ、全国34店舗まで拡大しましたが、2025年春には実質的に日本市場から撤退(残り1店舗のみ)という結末を迎えました。

なぜ圧倒的な話題性を誇ったブランドが、わずか20年で市場から姿を消すことになったのか?

本記事では、コールドストーンの日本撤退事例を詳細に分析し、若手マーケターの皆さんが今後のキャリアで活かせる実践的な教訓を抽出していきます。ブームの創出から持続的成長、そして競争優位性の構築まで、現代マーケティングの重要なポイントを事例ベースで学んでいきましょう。

コールドストーン撤退の全体像:20年間の軌跡

Screenshot

華々しいスタートから急速な拡大期(2005-2012年)

コールドストーンの日本進出は、当初は順風満帆なスタートを切りました。2005年11月の六本木ヒルズ1号店オープンから、以下のような特徴で市場を席巻したのです。

期間主な出来事店舗数の推移
2005年11月六本木ヒルズ1号店オープン1店舗
2006-2008年「歌うアイス屋」として大ブーム急速拡大
2012年前後全国展開のピーク34店舗(16都道府県)

成功要因として挙げられるのは:

  • エンターテインメント性:マイナス9℃の石板上でアイスクリームにフルーツやナッツを混ぜながら歌うパフォーマンス
  • 体験価値の創出:単なる商品購入ではなく、「体験」を提供
  • 話題性:メディア露出により知名度急上昇

しかし、この華々しいスタート自体に、後の失敗の種が潜んでいたのです。

成長停滞と経営体制の変化(2012-2019年)

2012年をピークに、コールドストーンの成長は急速に鈍化します。この時期の変化を時系列で整理すると以下のようになります。

主な変化
2014年ホットランド(銀だこ運営会社)が数億円規模で買収
2015年ワゴン車や催事出店「コールドストーン アイスキャンディ」開始
2016年不採算店の閉店開始
2018年売上高約22億円に対し最終赤字約3,900万円を計上
2019年ホットランドが吸収合併を実施

注目すべきは、買収後の戦略転換です。ホットランドは銀だこの夏場の売上減少を補完する目的でコールドストーンを買収しましたが、これは「季節補完」という限定的な役割に位置づけられたことを意味します。

急速な縮小と実質的撤退(2020-2025年)

2020年以降、新型コロナウイルスの影響もあり、コールドストーンは急速な店舗閉鎖を余儀なくされました。

graph TD A[2020年2月 5店舗閉店] --> B[2021年9月末 計13店舗閉店] B --> C[2021年11月 全国3店舗のみ] C --> D[2022年 那須店閉店] D --> E[2023年6月 原宿店再出店] E --> F[2025年4月 原宿店閉店発表] F --> G[2025年春 実質撤退 長島1店舗のみ]

このような急速な撤退劇の背景には、どのような戦略的な問題があったのでしょうか?

撤退の根本原因:マーケティング戦略の視点から

戦略的ミス1:初期戦略の誤算と非現実的な成長目標

コールドストーンの最初の大きな誤算は、市場規模とポテンシャルの過大評価にありました。

具体的な問題点:

計画実績ギャップの要因
2009年までに150店舗体制ピーク時34店舗(約2割)・大型店舗を出せる立地の限界
・アイスクリーム専門店への需要の過大評価

澤田貴司氏(ファミリーマートやユニクロ経営に携わった投資ファンド代表)が主導したこの拡大戦略は、「コンセプトの独自性」に過度に依存していました。しかし、独自性だけでは持続的な成長は困難だったのです。

これは現代のマーケターにとって重要な教訓です。新しいコンセプトで市場参入する際は、以下の点を慎重に検討する必要があります:

  • 市場の天井を正確に把握する
  • 模倣可能性を考慮した差別化戦略を立てる
  • 初期の話題性と長期的な需要を区別して予測する

戦略的ミス2:ホットランド傘下での方向性の混乱

2014年のホットランド買収後、コールドストーンの戦略は大きく迷走しました。

戦略転換の内容と問題点:

従来戦略新戦略問題点
店舗での体験価値提供小売・外販事業への軸足移動ブランドアイデンティティの希薄化
「歌うアイス屋」「コールドストーン アイスキャンディ」消費者の認知との乖離
プレミアム体験手頃な価格帯での商品展開ブランドポジショニングの混乱

この戦略転換は一時的には成果を上げました。アイスキャンディ事業は全国約60箇所で展開され、1本300~500円程度の価格で若年層にもアピールしました。しかし、本来のブランドコンセプトとの整合性を欠いた展開となり、長期的なブランド価値の毀損につながったのです。

戦略的ミス3:収益構造の根本的な問題

コールドストーンのビジネスモデルには、構造的な収益性の課題がありました。

コスト構造の分析:

コスト項目内容問題点
人件費パフォーマンススタッフの配置・トレーニング一定以上のスタッフ配置が必須
店舗コスト平均35坪の大型店舗広い店舗面積に見合う集客が困難
運営費混雑時以外のパフォーマンス人員の遊休化非効率な人員配置

客単価は600~800円前後と高めでしたが、これらのコスト構造により、構造的に利益を出すのが困難な状態が続きました。2018年時点でも赤字が解消できなかったことからも、この問題の深刻さがうかがえます。

市場環境と競合分析:外部要因の影響

競合優位性の喪失:サーティワンとの比較

コールドストーンが苦戦する一方で、競合のサーティワンアイスクリーム(B-R31)は安定した成長を続けました。

競合比較分析:

比較項目コールドストーンサーティワン
上陸年2005年1974年
店舗数(ピーク時)34店舗約1,000店舗
ビジネスモデル直営中心の大型店舗フランチャイズ中心
ブランド戦略パフォーマンス特化幅広い年齢層への訴求
2024年業績実質撤退営業利益約23億6,300万円(前期比30%増)

サーティワンの成功要因は以下の通りです:

  • ネットワーク効果の活用:1,000店舗規模による認知度の維持
  • 継続的な商品開発:季節ごとの新フレーバー投入
  • 効果的なプロモーション:「31日割引」「お試しスプーン無料」などの施策
  • ターゲット層の拡大:子供から大人まで幅広い顧客層

デザートトレンドの多様化への対応遅れ

2000年代後半以降、日本のデザート市場では次々と新たなブームが生まれました。

デザートトレンドの変遷:

timeline title デザートブームの変遷 2005-2008 : コールドストーンブーム 2010-2012 : ドーナツブーム(クリスピー・クリーム) 2013-2015 : パンケーキブーム 2016-2018 : タピオカミルクティーブーム 2017-2019 : ロールアイスクリームブーム 2020-2022 : 夜パフェ・チーズティーブーム

特に2017年に創業した「ロールアイスクリームファクトリー」は、原宿で最大7時間待ちの行列を作るブームとなりました。冷えた鉄板上に液状アイスを薄く伸ばしてクルクルと巻き取るというライブ感は、コールドストーンと類似のポジションを狙ったものでした。

コールドストーンは、このようなトレンドの変化に対応する柔軟性を欠いていたのです。

消費者行動の変化:購買チャネルの多様化

市場環境の変化として見逃せないのが、消費者の購買チャネルの変化です。

購買チャネルの変化:

変化の内容影響
コンビニでのプレミアムアイス拡充「アイスはお店で食べるもの」から「買って家で食べるもの」へ
ハーゲンダッツや明治エッセルなどの高級市販アイス手軽で美味しい選択肢の増加
ECサイトでの冷凍食品購入の一般化専門店に足を運ぶ動機の減少

ホットランドも2016年時点で「コンビニ・スーパーなどで売る高級アイスの急増により既存店が苦戦した」と分析しており、この変化の影響を認めています。

消費者心理とブランド戦略の失敗

パフォーマンスへの賛否両論

コールドストーンの最大の特徴である「店員の歌うパフォーマンス」は、時間の経過とともに日本人消費者には合う人と合わない人が明確に分かれる要素となりました。

パフォーマンスに対する消費者反応:

ポジティブ反応ネガティブ反応
・エンターテインメント性を評価
・SNS映えする体験
・非日常感を楽しむ
・「日本人は恥ずかしがり屋だから居心地が悪い」
・「放っておいて静かに食べたい」
・一人客には気まずい

実際、原宿店では1人来店の客に対し「歌ってもよろしいですか?」とスタッフが断りを入れる配慮をしていましたが、歌自体を断るのも互いに気まずくなるという構造的な問題がありました。

ブームの短命化と飽きの問題

日本の若年層消費者は流行に敏感である反面、「一度体験したら満足して次へ移る」傾向も強いのが特徴です。

ブームサイクルの分析:

フェーズ期間消費者行動
導入期2005-2006年メディア話題化、行列形成
成長期2007-2008年全国展開、模倣体験
成熟期2009-2012年「派手なパフォーマンスにも飽きた」
衰退期2013年以降日常的なリピート利用に結び付かず

事実、原宿店閉店のニュースが報じられると久々に来店者が殺到したものの、平常時は閑散としていたことが指摘されていました。これは「閉店の報に接するまで思い出す機会がなかった」層が多かったことを示しており、日常的なリピート利用には結び付いていなかったのです。

嗜好の多様化と健康志向への対応不足

アイスクリーム自体の嗜好にも変化が生じました。

消費者嗜好の変化:

従来の嗜好変化後の嗜好
ボリューム感重視少量で色々な味を楽しみたい
濃厚なプレミアムアイス甘すぎるものは控えたい
大容量サイズ健康志向(低カロリー等)

サーティワンがレギュラーサイズより小さいキッズサイズの用意やファミリー層への対応、低カロリーフレーバーの投入など健康志向にも対応を見せているのに対し、コールドストーンは基本サイズがやや大きめで価格も高いため、「重たい」「高カロリー」という印象から頻繁な利用を避けられた可能性があります。

マーケターが学ぶべき5つの重要な教訓

教訓1:独自性だけでは持続的成長は困難

問題の本質: コールドストーンは「歌いながら混ぜる」という独自コンセプトに過度に依存し、環境変化への適応力を欠いていました。

現代マーケターへの示唆:

  • 独自性は入り口であり、ゴールではない
  • 独自性は顧客が求めることが必須
  • 模倣されることを前提とした多層的な差別化戦略が必要
  • コンセプトへの過度な依存は事業モデルの柔軟性を奪う

実践的な対策:

フェーズ対策内容
コンセプト設計時模倣困難性の高い要素(ネットワーク効果、データ蓄積等)を組み込む
成長期複数の差別化ポイントを段階的に構築
成熟期新たな価値創出のための事業モデル進化

教訓2:スケールメリットの軽視は致命的

問題の本質: 大型店舗を前提とした出店モデルは早々に限界を迎え、フランチャイズ展開による急拡大も実現しませんでした。

現代マーケターへの示唆:

  • 初期段階からスケーラビリティを考慮した事業設計が重要
  • 広告宣伝効果や物流効率といったスケールメリットの確保
  • 地域密着 vs 全国展開の戦略選択を明確にする

教訓3:収益構造の健全性確保

問題の本質: パフォーマンススタッフの配置、大型店舗の維持費用など、構造的に高コストなビジネスモデルでした。

実践的なチェックポイント:

graph TD A[ビジネスモデル設計] --> B{固定費の妥当性} B -->|高い| C[スケール前提の計画見直し] B -->|適正| D{変動費の効率性} D -->|非効率| E[オペレーション改善] D -->|効率的| F[競争優位性の構築]

教訓4:ブランド再構築の難しさ

問題の本質: 外販事業や新商品開発は本来の店内体験型ブランドと乖離し、一貫したブランドイメージの維持が困難でした。

現代マーケターへの示唆:

  • ブランド拡張は慎重に。コアアイデンティティとの整合性を最優先に
  • 短期的な売上拡大と長期的なブランド価値のバランス
  • 異なる事業領域への進出時は別ブランド化も検討

教訓5:環境変化への対応スピード

問題の本質: デザートトレンドの変化、消費者の購買チャネルの変化、健康志向の高まりなどに対する対応が後手に回りました。

実践的な対策フレームワーク:

監視領域チェック項目対応アクション
競合動向新規参入企業、模倣サービス差別化戦略の強化
消費者行動購買チャネル、嗜好変化顧客接点の多様化
社会トレンド健康志向、環境意識商品・サービスの進化
技術変化デジタル化、自動化オペレーション効率化

成功事例との比較:なぜサーティワンは生き残ったのか

サーティワンが長期的に成功し続けている要因を分析することで、コールドストーンとの違いをより明確に理解できます。

サーティワンの成功要因分析

1. ネットワーク効果の最大化

戦略要素サーティワンコールドストーン
店舗展開戦略フランチャイズ中心で1,000店舗直営中心で最大34店舗
認知度構築全国規模での継続的露出限定的な地域での話題性
スケールメリット広告費効率、仕入れコストの最適化スケールメリットを享受できず

2. 継続的なイノベーション

graph LR A[季節フレーバー] --> B[限定キャンペーン] B --> C[31日割引] C --> D[お試しスプーン] D --> E[ファミリー向けサイズ] E --> F[健康志向商品] F --> A

サーティワンは小さな改善と新機軸を継続的に投入することで、ブランドの新鮮さを保ち続けました。

3. ターゲット層の拡大戦略

ターゲット層アプローチ方法
子供・ファミリーキッズサイズ、キャラクターコラボ
若年層SNS映えする商品、限定フレーバー
大人プレミアムライン、季節感のある商品
健康志向層低カロリー商品、フルーツ系フレーバー

コールドストーンが学べた戦略

もしコールドストーンが以下の戦略を取っていたら、結果は変わっていたかもしれません:

仮想的な改善戦略:

改善領域具体的施策
事業モデルフランチャイズ化による急速な店舗拡大
商品戦略パフォーマンス以外の差別化要素の追加
ブランド戦略体験型から商品力重視への段階的移行
マーケティング継続的なコラボ企画、リピート促進施策
収益改善小型店舗フォーマットの開発

現代マーケターのための実践的フレームワーク

コールドストーンの事例から導き出された教訓を、実際のマーケティング業務で活用できるフレームワークとして整理します。

持続的成長のための戦略チェックリスト

Phase 1: コンセプト設計段階

チェック項目評価基準対策例
顧客ニーズコンセプトは顧客が求めるものかデプスインタビュー、アンケート
模倣困難性真似されにくい要素があるかネットワーク効果、データ蓄積、特許技術
スケーラビリティ拡大可能なモデルかフランチャイズ化、デジタル化
収益構造健全な利益率を確保できるか変動費比率の最適化

Phase 2: 成長段階

チェック項目評価基準対策例
競合対応差別化ポイントは複数あるか機能、感情、社会的価値の多層化
顧客基盤リピート率は健全かロイヤルティプログラム
ブランド認知継続的な認知維持ができているか定期的なPR、コラボ企画

Phase 3: 成熟・転換段階

チェック項目評価基準対策例
環境適応トレンド変化への対応は迅速か顧客行動モニタリング体制
事業進化新たな価値創出ができているか隣接市場への展開
ブランド一貫性拡張戦略は一貫しているかブランドガイドライン

リスク早期発見のためのKPI設計

ブランド健全性の監視指標:

KPI分類具体的指標警戒水準対応アクション
市場シェアカテゴリー内シェア前年同期比5%減競合分析、差別化強化
顧客行動リピート購入率30%未満顧客体験の見直し
ブランド認知純粋想起率前年比10%減PR戦略の見直し
収益性店舗別営業利益率業界平均未満オペレーション改善

環境変化対応のための情報収集システム

監視すべき情報源と頻度:

情報分類情報源監視頻度責任者
競合動向業界ニュース、展示会週次競合分析チーム
消費者行動SNS、レビューサイト日次カスタマーサクセス
社会トレンドトレンド調査、調査会社月次マーケティング企画
技術動向技術ニュース、特許情報月次事業開発チーム

まとめ

コールドストーンの日本撤退事例は、現代のマーケターにとって非常に重要な教訓を含んでいます。一時的な話題性やブームの創出は可能でも、持続的な成長を実現するためには、戦略的な思考と継続的な改善が不可欠です。

Key Takeaways:

  • 独自性は入り口であり、ゴールではない:模倣されることを前提とした多層的な差別化戦略が必要
  • スケールメリットの確保は生存の前提:初期段階からスケーラビリティを考慮した事業設計が重要
  • 収益構造の健全性は妥協できない:構造的な高コストは長期的に事業を圧迫する
  • ブランド一貫性の維持は拡張時の最重要課題:短期的売上と長期的ブランド価値のバランスが肝要
  • 環境変化への適応スピードが競争優位を決定する:継続的な市場監視と迅速な対応体制の構築が必須

マーケターとして、私たちは常に「なぜこのブランドは選ばれ続けているのか」「なぜこのブランドは選ばれなくなったのか」を深く分析し、自社の戦略に活かしていく必要があります。コールドストーンの事例は、その思考のプロセスを鍛える格好の材料と言えるでしょう。

現在進行形で変化し続ける市場環境において、持続的な成長を実現するブランドを築き上げるために、この分析から得られた教訓を日々の実践に活かしていきましょう。

この記事を書いた人
tomihey

本ブログの著者のtomiheyです。失敗から学び続けてきたマーケターです。
BtoB、BtoC問わず、デジタルマーケティング×ブランド戦略の領域で14年間約200ブランド(分析数のみなら500ブランド以上)のマーケティングに関わり、「なぜあの商品は売れて、この商品は売れないのか」の再現性を見抜くスキルが身につきました。
本ブログでは「理論は知ってるけど、実際どうやるの?」というマーケターの悩みを解決するノウハウや、実際のブランド分析事例を紹介しています。
現在はマーケティング戦略/戦術の支援も実施していますので、詳しくは下記リンクからご確認ください。一緒に「売れる理由」を解明していきましょう!

tomiheyをフォローする
シェアする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました