「売れた」だけで満足してない?マーケターが追うべき真のゴールとは - 勝手にマーケティング分析
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「売れた」だけで満足してない?マーケターが追うべき真のゴールとは

「売れた」だけで満足してない? マーケターが追うべき真のゴールとは 応用を学ぶ
この記事は約8分で読めます。

はじめに

マーケティングの仕事は「商品を売ること」だと考えられがちです。しかし、それだけでは不十分です。
本当に価値のあるマーケティングとは、「買われる」→「使われる」→「役立つ」 の流れを作ること。
この流れを作れなければ、売上が一時的に伸びても、ブランド価値は築けず、リピーターも生まれません。

では、マーケターの仕事はどこまでをカバーすべきなのか?
この記事では、「買われる→使われる→役立つ」の視点で、マーケターの本来の役割と価値を考えていきます。

「買われる」→「使われる」→「役立つ」を実現するための3つのポイント

① 買われる(選ばれる確率を高める)

「買われる」ことはマーケティングの第一段階です。しかし、ただの認知獲得や価格勝負ではなく、競合との差別化と顧客の購買意思決定を促す戦略が必要です。

1. 認知率を高める

  • ターゲットの明確化
    どの顧客層に届けるのかを明確にし、適切なチャネルで認知を広げる。
  • メディア戦略の最適化
    テレビCMやSNS、SEO、インフルエンサーマーケティングなど、ターゲットが接触するメディアを選定。

2. 選択肢として想起される(エボークトセットに入る)

  • 競争優位性を確保する(POD:Point of Difference)
    他社にはない独自の強みを明確にし、消費者が選ぶ理由を作る。
  • POP(Point of Parity)の確保
    業界の標準的な要件は満たしつつ、差別化ポイントを強調する。

3. 購買行動を促す

  • 購入までの導線を最適化
    • ECサイトならカートの離脱率を減らす施策。
    • 店頭なら目立つPOPや試飲・試用の実施。
  • 価格と価値のバランスを取る
    • 値引きではなく、付加価値を訴求(例:Amazon Primeの送料無料など)。
    • サブスクリプションモデルの導入など、買いやすい仕組みを作る。

② 使われる(商品が適切に活用される)

せっかく買ってもらっても、顧客が商品を使わなければ満足度は高まりません。「開封率」「初回利用率」「継続利用率」を向上させる施策が必要です。

1. 初回利用のハードルを下げる

  • シンプルな導入プロセスを設計する
    • ソフトウェアなら「チュートリアル」や「初回ログイン時のガイド」。
    • 家電なら「開封後すぐに使える設計」。
  • カスタマーサポートを充実させる
    • チャットボットやFAQを整備し、初期の疑問を即解決。

2. 使いたくなる動機を作る

  • 習慣化・リマインド施策の活用
    • サブスクサービスなら「おすすめコンテンツの通知」。
    • フィットネスアプリなら「今日の目標達成通知」。
  • 使用体験を高める
    • 直感的に使いやすいUI/UX設計。
    • ブランドの世界観を体験できる施策(Appleの製品パッケージデザインのこだわりなど)。

3. 顧客との接点を継続する

  • ユーザーコミュニティの形成
    • ユーザー同士の体験共有を促す(例:Nikeのランニングアプリ)。
  • 購入後のフォロー
    • メールでのアフターサポートやアップセル・クロスセルの提案。

③ 役立つ(顧客の課題を解決し、満足につながる)

「使われる」だけでは不十分で、最終的に顧客が「買ってよかった」「生活が良くなった」と感じることで、ブランド価値が生まれます。

1. 顧客の成功体験を作る

  • 商品が期待を超える価値を提供しているか?
    • 期待を超える体験を提供する(スターバックスのカスタマイズ可能な注文システムなど)。
  • 長期的な満足度を高める施策
    • 保証制度や、カスタマーサクセスの仕組み(例:SaaSのオンボーディングサポート)。

2. リピート購入・口コミにつなげる

  • 満足度を可視化し、他の顧客へ伝える
    • レビューやSNS投稿の促進(例:Amazonのレビュー機能)。
  • ロイヤルティプログラムを活用
    • 継続利用することで特典がある仕組み(例:楽天のポイントプログラム)。

3. ユーザーインサイトを商品改善に活かす

  • NPS(ネット・プロモーター・スコア)やCSAT(顧客満足度調査)を実施
    • ユーザーの満足度を数値化し、改善点を洗い出す。
  • 商品やサービスのアップデートに活かす
    • ソフトウェアなら「アップデート」、小売なら「PB商品の改良」など、ユーザーの声を反映する。

マーケターの仕事の価値を最大化するには?

マーケターの仕事の価値を最大化するには、「買われる」だけでなく、「使われる」「役立つ」までの流れをデザインし、LTV(顧客生涯価値)を最大化することが重要です。
そのために、以下の3つの視点を持つことが求められます。


① 「買われる」だけでなく、「使われる」「役立つ」まで設計する

多くのマーケターは、売上やCVR(コンバージョン率)といった短期的な指標に目を向けがちですが、本当に価値のあるマーケティングは 「買われた後の顧客体験」 までを考慮する必要があります。

1.「買われた後」をマーケティングKPIに組み込む

  • 「開封率」や「初回利用率」、「継続利用率」といった指標をマーケティング評価に加える。
  • LTV(顧客生涯価値)をKPIとして設定し、単発の購買ではなく 「リピート率」「紹介率」 を追う。

2. 買われた後の顧客体験を改善する施策

  • 顧客の「行動のハードル」を下げる
    • 商品の使い方をシンプルにし、導入しやすくする(例:Appleの直感的なUI)。
    • サブスクリプションサービスの初回無料期間やチュートリアル動画を用意。
  • 「リマインダー施策」で習慣化を促進
    • メールやプッシュ通知で利用を促す(例:Spotifyの「あなたへのおすすめプレイリスト」)。
    • 継続的な利用を促す仕組みを設計(例:Nikeのランニングアプリで週間目標を設定)。
  • 「ユーザーの成功」をサポートする
    • 「最初の成功体験」を早く得られるようにする(例:ダイエットアプリで最初の1週間で成果を出す仕組み)。
    • チュートリアルやカスタマーサポートを充実させ、利用のハードルを下げる。

② ユーザーの課題解決に徹底的に寄与する

マーケティングの最終的な目的は、「商品が顧客の課題を解決し、満足してもらうこと」です。
しかし、顧客の課題は 「明確なニーズ」 だけでなく 「潜在的な不満」 にも潜んでいます。

1. Who/What/Howを常にアップデートする

マーケティング戦略の根幹である 「Who(誰が)」「What(どんな便益を)」「How(どう届けるか)」 を定期的に見直し、顧客の変化に適応することが重要です。

  • Who(ターゲット顧客)
    • 顧客層の変化や新しいセグメントの出現を分析。
    • 例:Netflixが「家族向け」から「個人向け」へとパーソナライズを進化させた。
  • What(提供価値)
    • 消費者のインサイトを掘り下げ、潜在ニーズを発見。
    • 例:iPhoneがカメラ機能を進化させ、「写真を撮る楽しみ」自体を便益として提供。
  • How(提供方法)
    • どのチャネルで、どのタイミングで提供するのが最適かを検討。
    • 例:Amazonの「プライム会員」制度で、物流のストレスを解消。

2. 商品やサービスの「期待値ギャップ」をなくす

  • 「期待以上の価値を提供できているか?」をチェック
    • 購入前の広告や説明と、実際の使用感にギャップがあると不満が生まれる。
    • 例:Appleが「開封した瞬間からワクワクする」パッケージデザインにこだわる。
  • 「使ってみたら思ったより良かった!」と感じさせる
    • 口コミを促進するために、「ポジティブな驚き」要素を加える。
    • 例:スターバックスの「名前入りカップ」や、Airbnbの「ホストからの手書きメッセージ」。

③ カスタマーサクセスやプロダクト開発とも連携する

マーケティングの仕事を 「広告やプロモーションだけ」 に限定すると、顧客満足度を最大化することは難しい。
そのため、 「プロダクト開発」「カスタマーサポート」「営業」 など、他の部門と連携しながら 「顧客体験全体を設計する」 必要があります。

1. 顧客の声を商品やサービスの改善につなげる

  • NPS(ネット・プロモーター・スコア)やユーザーレビューの活用
    • 顧客満足度を数値化し、商品改善の指標とする。
    • 例:ユニクロが「ユーザーレビュー」をもとに商品改良を重ね、ヒートテックの完成度を高めた。
  • カスタマーサポートの問い合わせをマーケティングに活かす
    • 「なぜ返品されたのか?」を分析し、改善点を探る。
    • 例:SaaS企業が「解約理由」から、チュートリアルやFAQを充実させる。

2. 営業・CSと連携し、顧客との関係を強化する

  • 「購入後のフォロー」もマーケティングの一部と考える
    • 例:高額商品なら、購入後に「使い方セミナー」を開催。
    • 例:ソフトウェアなら、初回設定のサポートを提供。
  • 「カスタマーサクセス」の視点を持つ
    • 顧客が成功体験を得るまでをマーケティング活動に含める。
    • 例:Salesforceが「カスタマーサクセスマネージャー(CSM)」を配置し、顧客の成功を支援。

3. 「社内マーケティング」も重要

  • マーケティング部門が、他部署に「顧客インサイト」を共有
    • データ分析をプロダクト開発に活かす(例:Amazonが購買データから新商品を開発)。
    • 営業チームと連携し、ターゲット顧客に刺さるトークスクリプトを作成。

マーケティングの本当のゴールは、「売ること」ではなく、「顧客の成功を生むこと」。
あなたのマーケティングは、「買われる」だけで終わっていませんか?
「使われる」「役立つ」まで考えたとき、マーケターの仕事の価値は大きく変わります。

まとめ

マーケターの価値は、「買われる→使われる→役立つ」の流れを作ることにあります。
買われるだけでは不十分。使われて初めて意味がある。
使われるだけでも不十分。役立ち、満足されて初めて価値が生まれる。
LTVを最大化する視点を持つことで、マーケターの仕事の価値は飛躍的に高まる。

あなたのマーケティングは、「買われる」だけで終わっていませんか?
「使われる」「役立つ」まで考えたとき、マーケターの仕事の価値は大きく変わります。ぜひこの視点を持って日々のマーケティング業務に従事してみましょう。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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