はじめに
タピオカ、サウナ、キャンプ…。近年、日本では様々なブームが巻き起こりました。これらのブームは一時的に爆発的な人気を集めるものの、やがて熱が冷め、衰退していきます。
では、ブームはなぜ起こるのか?なぜ終わるのか?今回は、ブームのメカニズムを解き明かしていきます。
1. ブームはなぜ起こるのか?
ブームが生まれる背景には、心理的要因、社会的要因、メディアの影響が複雑に絡み合っています。
① 承認欲求・FOMO(Fear of Missing Out)
人は「流行に乗り遅れたくない」という心理を持っています。SNSや口コミで話題になると、「みんなやっているなら自分も試したい」と感じ、急激に人気が拡大します。特に、インフルエンサーや有名人が紹介すると、その影響力は絶大です。
② SNSとメディアの影響力
InstagramやTikTokでの発信がブームの起点になることが増えています。特に、「映える」コンテンツは視覚的に訴求力が強く、短期間で拡散されやすいです。
例えば、タピオカブームは「可愛い見た目」「カスタマイズできる楽しさ」がSNSとの相性が良かったため、一気に広まりました。
さらに、テレビや雑誌が特集を組むことで認知度が一気に上昇し、ブームの拡大を加速させます。
③ 非日常体験の提供
ブームになるものは、「新しさ」や「特別感」を持っていることが多いです。
- サウナブーム …「整う」という新しい感覚
- キャンプブーム …「非日常」×「アウトドア体験」
- タピオカブーム …「台湾スイーツ」×「カスタマイズの楽しさ」
④ 環境・時代背景の影響
特定のブームは、社会的な変化によって加速することもあります。
- キャンプブーム …「密を避けられるレジャー」として人気上昇
- サウナブーム …「健康志向の高まり」×「ストレス解消ニーズ」
- タピオカブーム …「アジア圏のスイーツブーム」
社会のトレンドやライフスタイルの変化がブームを後押しするケースは非常に多いです。PEST分析などで市場の傾向を掴むことが重要と言えるでしょう。
2. ブームが衰退する理由
一度は盛り上がったブームも、必ず終焉を迎えます。その理由を詳しく見ていきましょう。
① 供給過多と市場の飽和
ブームが起こると、多くの企業が参入し、市場が急速に拡大します。
しかし、競争が激化し、どこでも同じものが買えるようになると、希少性や特別感が失われます。
- タピオカドリンクは、一時期どこのカフェでも提供されるようになり、珍しさがなくなった。
- キャンプ場の増加により、混雑することで「ゆったりとしたアウトドア体験」が損なわれた。
② 新しいトレンドの登場
ブームの中心にいる層(特にZ世代)は、新しいものを求める傾向が強いです。
例えば、タピオカの後には「チーズティー」「マリトッツォ」など新しいスイーツが登場し、関心が移りました。
また、SNSでは次々と新しい話題が登場するため、消費者の関心が移りやすいという特徴もあります。
③ 価格や手間の問題
ブームのアイテムは、最初は「話題性」で売れますが、継続して購入されるためには、価格や利便性のハードルをクリアする必要があります。
- タピオカは一杯500円以上するため、日常的に飲むにはコストがかかる。
- キャンプは道具を揃える手間がかかるため、ライト層が離れていく。
- サウナは「整う」体験が定着したが、日常的に行うには時間とコストの問題がある。
④ 初期のコアファンが離れる
ブームの最初に飛びついた「流行好き」「トレンド感度の高い層」は、新しいトレンドを求めてすぐに離れてしまいます。
「人が増えすぎてつまらなくなった」と感じ、次の流行を探し始めるのです。
また、ブームの終盤になると、「今さら感」が生まれ、新規参入が減ることで衰退が加速します。
⑤ クオリティの低下・ブランドの疲弊
供給が増えると、品質がバラつき、ブランド価値が低下することもあります。
- タピオカ店の乱立 → 粗悪なタピオカが出回り、消費者の満足度低下
- サウナの急増 → 施設によってサービス品質に大きな差が出る
品質が低下すると、消費者は離れ、次のブームへと移行してしまいます。
3. マーケターはブームとどう向き合うべきか?
① 短期戦略:ブームの波に乗る
ブームが発生した際には、その流れに素早く対応し、短期間で利益を最大化することが重要です。
- 迅速な商品・サービス開発: トレンドを反映した商品をスピーディに市場投入する。
- SNSとインフルエンサー活用: 流行に敏感な消費者にリーチし、話題性を強化。
- 期間限定・コラボ施策: 限定感を演出し、希少性を持たせることで購入意欲を高める。
- 販売チャネルの拡充: 一時的な需要増に対応するため、オンライン・オフラインの流通を最適化。
② 長期戦略:ブーム後の持続性を確保
ブームが終息した後も、継続的なブランド価値を構築することが成功の鍵となります。
- リピーターの育成: 会員制やサブスクリプションモデルを活用し、継続的な消費を促進。
- ブランドポジショニングの再定義: 一過性の流行ではなく、長期的に愛される価値を見出す。
- 新たなターゲット層の開拓: 初期の流行層に依存せず、新規顧客を取り込むマーケティングを実施。
- 差別化戦略の強化: 競争激化後も選ばれるために、品質・利便性・ブランドストーリーを強化。
③ ブームを先読みするためのマーケティング戦略
トレンドを予測し、適切なタイミングで参入・撤退する戦略が求められます。
- データ分析の活用: SNSトレンド、検索データ、購買データをリアルタイムで分析し、ブームの兆しを捉える。
- 業界動向のモニタリング: 競合や海外市場の流行を観察し、早期対応を可能にする。
- 実証実験の実施: 小規模テストマーケティングを行い、ブームの波に乗る前に仮説検証を行う。
マーケターは、単なる「流行の後追い」ではなく、ブームを先導する立場となることで、持続的な成長戦略を構築することが求められます。
マーケターはブームを意図的に作れるのか?
マーケターはブームを完全にコントロールすることは難しいですが、特定の要因を活用することでブームを仕掛けることは可能だと言われています。
- 文化や時代背景を利用する: 例えば、健康志向の高まりを背景にプロテイン商品や低糖質食品のブームを仕掛ける。
- インフルエンサーやメディア戦略を駆使する: 影響力のある人物に商品を使ってもらい、SNSやメディアで話題を作る。
- 口コミを促進する: ユーザーが自然にシェアしたくなるコンテンツや仕組みを作る。
- 意図的な希少性や限定性を演出する: 限定販売やプレミアム感を作り出し、話題を加速させる。
マーケターは、単なる「流行の後追い」ではなく、ブームを先導する立場となることで、持続的な成長戦略を構築することが求められるでしょう。
まとめ
ブームは短期間で大きな売上を生む一方、すぐに衰退するリスクもあります。
マーケターとしては、ブームの波に乗りつつ、長期的にどう価値を残すかを考えることが重要です。
✅ 短期的には流行を活用し、スピード参入で利益を最大化。
✅ 長期的には、ブランド価値を確立し、ブーム後の戦略を見据える。
ブームをただの「一過性の流行」で終わらせず、持続的なビジネスへと昇華させることこそ、マーケターの腕の見せどころです!ぜひブームの市場にいる商品を扱っているマーケターは参考にしていただければと思います。