経営者との接点がもてるプロモーション施策11選|BtoBマーケター向けガイド - 勝手にマーケティング分析
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経営者との接点がもてるプロモーション施策11選|BtoBマーケター向けガイド

経営者との接点がもてるプロモーション施策11選 BtoBマーケター向けガイド マーケの応用を学ぶ
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はじめに|「決裁者」に刺さるプロモーションがなぜ難しいのか?

経営者・役員・事業責任者などの「決裁者」をターゲットにしたプロモーションは、訴求の打ち出しやチャネル選定が非常に難しいのが現実です。なぜなら、

  • 彼らは「忙しい」ため、情報接触の時間が限られている
  • 「信頼性」「専門性」「効率性」が求められる
  • 検討フェーズに入った瞬間にスピード感が求められる

さらに、BtoB領域では「営業起点」から「マーケティング起点」への転換が進んでいる中で、いかに認知段階からリード獲得までを効率的に設計できるかが問われています。

この記事では、経営者を動かすために有効なオンライン/オフライン施策を体系的に解説し、業界や企業規模ごとに活用すべきチャネルの違い、プロモーション設計の最適解を紹介します。

経営者の心理・行動の特徴

経営者層をターゲットにしたプロモーションにおいては、まずは彼らの心理や意思決定の行動特性を理解することが極めて重要です。マーケティングで成果を出すためには、「何を」「どこで」「どのように」伝えるか以前に、「誰に対して、どういう心理や行動に対して、どう訴求するべきか」の設計が成否を分けます。

経営者の心理的傾向

特性説明マーケティング上のインサイト
時間コスト意識が高い毎日多忙。時間単価が高いため、無駄な情報は即スルー情報は端的に、結論から。要点整理が必須
不安と希望の間で揺れるリスクを避けつつ、成長も狙いたい実績・信頼性・ベネフィットの明示が効果的
自分で判断したい他人に流されたくないという意思決定の自負選択肢を与え、比較できる設計にする
「導入の決め手」を求める感情よりも合理性・根拠を重視するROI、導入後の変化、成功事例で後押し
信頼ネットワークを重視知人・仲間の声を信頼する傾向が強いレビュー、推薦、紹介施策が効果大

経営者の情報接触・行動の特徴

項目行動特性マーケティング戦略への示唆
情報収集の場検索(Google)、経済誌、紹介、セミナーSEOやホワイトペーパー、登壇施策が有効
判断タイミング意外と直感的に速く決断することも多い検討中の顕在層には即レス・即提示が必要
メール・SNSメールは一部開封。XやLinkedInは受動的に見る程度開封率の高い件名とLP設計、SNSはリーチより信頼醸成
対人コミュニケーション対話による温度感・共感を大事にする訪問、DM、懇談会など対面施策が有効

行動を促すポイント

  • 「その課題、自分にもある」と感じさせる切り口
  • 数字、権威(社名、実績、外部評価)を根拠に提示
  • 選択の余地を与えつつも、最適解を誘導する構成
  • 体験や成功ストーリーを通じてイメージさせる

特に中堅〜大企業の経営者は「自分にとってどんな価値があるか」「その判断が会社全体の未来にどう影響するか」を直感+理性で捉える傾向が強いため、ベネフィットと信頼性の両軸で攻めることが有効です。

オンライン施策|経営者が「自ら情報を取りに来る」接点づくり

経営層は「自分に必要な情報だけを選ぶ」というスタイルを好みます。つまり、プッシュ型よりもプル型のマーケティングが有効です。さらに、経営者は意思決定者であると同時に、「情報の信頼性」に非常に敏感な層でもあります。以下に示す施策は、認知から検討段階への自然な導線を設計するために有効です。

コンテンツマーケティング(オウンドメディア/ホワイトペーパー)

  • 目的:自社の専門性と信頼性を伝える
  • ポイント:経営者の課題(例:生産性向上、業績改善、人材戦略など)に即した記事/資料を用意し、役に立つと感じさせることで接点を創出する
  • 実践例:導入事例や数値データ入りのPDFレポート、経営コラム形式の記事配信
  • 補足:CTAは「課題解決のヒントをまとめた資料はこちら」など、行動喚起を明示する

SEO・SEM(検索連動型広告)

  • 目的:課題感が顕在化した経営者に見つけてもらう
  • ポイント:ニッチワード(例:「製造業 DX 成功事例」)や、経営者が検索しやすいフレーズ(例:「営業効率 改善方法」「離職率 減らすには」)で上位表示を狙う
  • 成功要因:広告とLPの一貫性+信頼性の高い資料設置(ダウンロード CTA)
  • 補足:広告費の最適化には、曜日別・時間帯別パフォーマンスの分析が重要

LinkedIn/Facebook広告

  • 目的:経営層のリーチおよびインサイト獲得
  • ポイント:LinkedInでは役職/業界/規模でピンポイント配信が可能。Facebookではカスタムオーディエンスを活用して類似層へ訴求。
  • 施策の工夫:「〇〇業界の経営者限定」「経営課題を抱える方向け」などターゲティング明示でクリック率向上
  • 補足:クリック後のLPは「他社事例」や「ROIが可視化された内容」が有効

メールマーケティング(業界メディア広告/自社DB活用)

  • 目的:定期的な接点創出と想起の強化
  • 配信方法:業界メディアが配信するメルマガへの広告出稿、または自社DBからセグメント配信
  • 成功要素:タイトルに「数値」「意思決定に役立つ」「無料レポート」などを含めることで開封率が向上
  • 補足:クリック後の遷移先が「記事形式」→「資料DL」→「相談フォーム」だとCVRが高い傾向

ウェビナー/オンラインセミナー

  • 目的:信頼性の可視化と疑似的な対面接点の獲得
  • ポイント:テーマ設定が命。「経営者向け×課題特化」(例:「製造業の人材課題を解決する3つの方法」)が有効。
  • フォロー:参加者への即時アンケート、資料配布、個別相談への誘導が商談化率を高める
  • 事例:ウェビナーで獲得した見込客から半年後に大型契約へ繋がるケースも

正直、アプローチの手段自体は他の役職の人と変わらないでしょう。経営者も能動的にデジタルを使い情報を集める時代になってきています。しかしオンライン施策では「誰が語るか」が重要です。外部の著名コンサルタントや権威性のあるパートナー企業との共同の取り組みによって信頼度を底上げできるでしょう。

オフライン施策|信頼・関係構築を前提とした「顔出し」戦略

経営層は、直接会った人間・対話したブランドに対して高い記憶定着と信頼感を持つ傾向があります。オフライン施策は"検討フェーズ"に大きく影響し、「信頼の証明」として機能します。

雑誌・新聞広告(信頼性の高い媒体選定)

  • 主な媒体:日経新聞、Forbes JAPAN、プレジデント、週刊東洋経済など
  • 効果:ブランドの認知獲得とともに「上場企業らしさ」や「本気度」が伝わる
  • 補足:広告単体ではなく、同紙面へのインタビュー記事連動での出稿がベスト
  • 備考:読み手が信頼するメディアで出すことがブランディングへの近道

パーソナルDM/訪問営業

  • 手法:経営者宛に名指しで送付されるDM(例:レポート同封、調査資料、手書き添え)
  • 訴求ポイント:「あなただけへの提案」であることを明確化。対話を生む構成に。
  • 成功事例:DM→オンライン予約フォーム→面談化という設計。営業の質で差が出る
  • 補足:DM内容は課題提示→示唆→提案の流れが鉄板

業界展示会・リアルセミナー

  • 会場例:製造業見本市、フランチャイズショー、建設テックEXPOなど
  • 活用方法:自社ブースだけでなく、業界団体と連携したセミナー登壇が「権威づけ」になる
  • 成功要素:出展前後のフォロー(資料送付/名刺獲得リスト活用/アフターフォローコール)
  • 備考:展示会は「名刺獲得数」よりも「質」で判断すべき

ラウンジ広告(空港・新幹線)

  • 効果:全国を飛び回る経営層への"静的空間での接点"
  • 訴求方法:ビジュアル+端的な課題訴求(例:「営業の成果、見えていますか?」)
  • 補足:ブランド名の露出よりも、「興味を持たせる言葉選び」がCTRに直結
  • 備考:想起性の高い場所での接触は「問い合わせ増」に直結するケースが多い

ゴルフ場・タクシー広告

  • 接点特性:比較的高所得層・決裁者が多い場/時間を有する空間
  • 成功要素:映像広告ならストーリー性(2〜3分)+課題提示+解決策提示が◎
  • 補足:タクシー広告では「音声×ビジュアル」がCTR・認知定着ともに効果的

経営者懇談会・ネットワーキング

  • タイプ:招待制のCEOカンファレンス、ラウンドテーブル、共催食事会、株主紹介、紹介サービスなど
  • 効果:"紹介→信頼→面談"への最短導線。
  • 成功事例:参加者の声をコンテンツ化(事後レポート、動画)し、再拡散へ活用
  • 補足:主催者ではなく「推薦された参加者」としての立ち位置が信頼を生むことも

ポイントは「手間を惜しまない施策設計」。対面型の接点は、心理的距離を一気に縮め、デジタル施策よりも深い関係構築が可能です。

企業規模別に見る効果的なチャネル選定

経営者ターゲットのプロモーションにおいては、「企業規模による判断軸の違い」を理解することが施策成功の鍵となります。企業のフェーズ(創業期/成長期/成熟期)や組織構造(フラット型/階層型)、購買意思決定プロセスの長さによって、刺さるチャネルや施策は大きく異なります。

スタートアップ(創業期〜シリーズA〜B程度)

特徴有効施策解説
情報感度が高く、意思決定が早いLinkedIn広告、X広告、ピッチイベント、オウンドメディア決裁者=経営者のため、スピード感と熱量を重視。失敗許容も高く、共感性あるトーンが響きやすい
営業リソースが少ないホワイトペーパー→ウェビナー→商談の自動化導線自動でリードを温める「インバウンド型」が特に効果を発揮
実績より“志”や“想い”が響くPR記事、メディア露出、note・Xでの発信経営者が自らストーリーテリングすることで共感・信頼を獲得

中小企業(社員数10〜200名規模)

特徴有効施策解説
経営者の意思決定だが、慎重経営者限定セミナー、パーソナルDM、地域名入りリスティング「地域密着」や「身近な事例」「価格メリット」が響く傾向
検討期間が短いが、信頼が前提導入事例・成功事例の見せ方が鍵類似規模・業界の成功事例で背中を押す構成に
商工会・異業種交流会の影響が強い商工会議所連携セミナー、紹介ネットワーク活用オフラインでの人脈・推薦の力が大きい

大企業(社員数500名〜・上場企業含む)

特徴有効施策解説
意思決定プロセスが多層的日経新聞・Forbesへの寄稿、ホワイトペーパー→役員/部長層経由での拡散経営者よりも事業責任者→部門長→推薦→稟議の順で進む傾向
情報の信頼性と根拠が最重要シンクタンク連携レポート、調査データ提供、社外登壇「データ/論理/社会性」で信頼を勝ち取る設計が必要
短期より長期視点・ROI重視導入効果試算・TCO比較・実績レポート金額の大きさゆえ、稟議通過には数値裏付けが不可欠

まとめ|Key Takeaways

  • 経営者に刺さる施策は「企業規模」と「購買意思決定プロセス」によって大きく異なる。
  • スタートアップにはスピードと共感性、中小企業には地域性と信頼性、大企業には論理性と社会性が必要。
  • 施策は単体ではなく、「Who(誰に)×How(どう接点を持つ)×What(何を提供する)」の3点セットで設計すべき。
  • 限られたリソースでは、「オンライン施策によるスケーラブル接点創出」→「オフラインでの信頼構築」の順で展開するのが最適。
  • 成果を出す企業は、「行動前の設計」「反応後の追跡」「改善によるループ化」ができている。

経営者ターゲットのプロモーション成功の鍵は、「チャネル選定」よりも「文脈理解」です。誰が、どんな時に、どんな悩みを抱えているのか?そこに寄り添う設計ができれば、チャネルは“手段”として自然に機能します。ぜひ試してみてください。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記リンクからWEBサイト、Xをご確認ください。

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