はじめに
Google Analytics 4(GA4)では、トラフィックを分析する際に「デフォルトチャネルグループ」が活用されます。これは、異なる流入元をカテゴリ別に整理し、トラフィックの傾向を把握しやすくする仕組みです。
本記事では、GA4のデフォルトチャネルグループの概要、構成要素、活用方法を詳しく解説します。
GA4のデフォルトチャネルグループとは?
GA4におけるデフォルトチャネルグループの種類と詳細
GA4のデフォルトチャネルグループは、ユーザーの流入元を整理し、分析しやすくするために設定されています。各チャネルは異なる参照元・メディア条件によって分類され、自動的に振り分けられます。
GA4のデフォルトチャネルグループ一覧と詳細
チャネル名 | 説明 |
---|---|
アフィリエイト(Affiliates) | アフィリエイトサイトのリンクからの流入。例: ASP経由のリンク、ブログのアフィリエイト広告など。 |
オーディオ(Audio) | ポッドキャストや音声広告プラットフォーム経由の流入。例: SpotifyやApple Podcasts内の広告。 |
クロスネットワーク(Cross-network) | GoogleのP-MAXキャンペーンやデマンドジェネレーションなど、複数の広告ネットワーク経由の流入。 |
ノーリファラー(No-referrer) | 直接URL入力やブックマーク、保存済みリンク経由の流入。 |
ディスプレイ(Display) | Google ディスプレイネットワーク(GDN)やその他のバナー広告経由の流入。 |
メール(Email) | メールマーケティングのリンク経由の流入。例: メルマガやニュースレター。 |
モバイルのプッシュ通知(Mobile push notifications) | モバイルアプリのプッシュ通知経由の流入。 |
オーガニック検索(Organic Search) | GoogleやBingなどの検索エンジンのオーガニック検索結果経由の流入。 |
オーガニック ショッピング(Organic Shopping) | AmazonやeBayなどのショッピングサイト内の広告以外のリンクからの流入。 |
オーガニック ソーシャル(Organic Social) | Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSの広告以外のリンクからの流入。 |
オーガニック動画(Organic Video) | YouTube、TikTok、Vimeoなどの動画プラットフォームの広告以外のリンクからの流入。 |
その他(有料)(Other Paid) | 「検索」「ソーシャル」「ショッピング」「動画」以外の広告からの流入。 |
有料検索(Paid Search) | Google、Bing、Baiduなどの検索エンジンの有料広告経由の流入。 |
有料ショッピング(Paid Shopping) | AmazonやeBayなどのショッピングサイト内の有料広告からの流入。 |
有料ソーシャル(Paid Social) | FacebookやTwitterなどのソーシャルサイト内の有料広告経由の流入。 |
有料動画(Paid Video) | TikTok、Vimeo、YouTubeなどの動画サイト内の有料広告からの流入。 |
参照(Referral) | 他のウェブサイトやアプリ(ブログ、ニュースサイトなど)経由の広告以外のリンクからの流入。 |
SMS | テキストメッセージ(ショートメッセージ)経由の流入。 |
GA4におけるデフォルトチャネルの分類ルール
GA4のデフォルトチャネルグループは、参照元(source)やメディア(medium)の値に基づいて分類されます。主な分類ルールは以下の通りです。
- 検索エンジン(Google、Bing、Yahooなど)経由の「organic」トラフィック → オーガニック検索
- ソーシャルメディアの「organic」トラフィック → オーガニックソーシャル
- YouTubeやTikTokの「organic」トラフィック → オーガニック動画
- Google広告(検索広告)経由のトラフィック → 有料検索
- Googleディスプレイネットワーク経由の広告トラフィック → ディスプレイ
- メールのUTMパラメータが「email」に設定されたトラフィック → メール
- 他のサイトのリンク経由(広告以外) → 参照
- P-MAX、デマンドジェネレーション経由のGoogle広告 → クロスネットワーク
- プッシュ通知(Firebaseなど)経由の流入 → モバイルのプッシュ通知
まずは上記のような分類があることを理解しましょう。
GA4のデフォルトチャネルグループの自動判定の仕組み
GA4のデフォルトチャネルグループは以下のような仕組みで自動判定されます:
- パラメータの評価: GA4はURLに付加されたソース(source)、メディウム(medium)、キャンペーン(campaign)パラメータを評価します。
- 例)
https://example.com/?utm_source=facebook&utm_medium=paid&utm_campaign=spring_sale
- 例)
- ルールベースの判定: Googleが事前に定義した800以上の一般的なソースとそれぞれのソースカテゴリに基づいて判定されます。
- 自動分類: 例えば、Googleの検索結果から広告をクリックせずに訪問した場合は「Organic Search(自然検索)」に自動的に分類されます。
GA4のデフォルトチャネルグループでは、一部のトラフィックはUTMパラメータの設定が必要ですが、他のトラフィックは自動的に分類されます。それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
UTMパラメータが不要で自動分類されるもの
以下のトラフィックソースは、UTMパラメータを設定しなくても自動的に正しいチャネルグループに分類されます:
- 自然検索(Organic Search):検索エンジンからの非広告リンク経由のアクセスは、UTMパラメータがなくても自動的に「Organic Search」に分類されます。
- 直接アクセス(Direct):URLの直接入力やブックマークからのアクセスは、自動的に「Direct」に分類されます。
- 参照元サイト(Referral):他のウェブサイトからのリンク経由のアクセスは、自動的に「Referral」に分類されます。
- Google広告:Google広告アカウントとGA4アカウントをリンクし、Google広告で自動タグ設定をオンにしている場合は、UTMパラメータを付与せずとも自動的にGA4上でGoogle広告からの流入として計測されます。(リンクしていない場合はパラメーター設定が必要です。)
UTMパラメータの設定が必要なもの
以下のトラフィックソースは、UTMパラメータを設定しないと正しく分類されません:
- WEB広告:meta広告、X広告などのWEB広告はUTMパラメーターの設定が必須です。ないと「Direct」に分類されてしまいます。
- メールマガジン(Email):メール内のリンクからの流入は、UTMパラメータがないと「Direct」として計測されてしまいます。正しく「Email」チャネルに分類するには、
utm_medium=email
を設定する必要があります。 - SNS投稿のリンク(Organic Social):SNSからの自然流入を正確に計測するには、
utm_medium=social
などのパラメータ設定が必要です。 - オフライン広告のQRコード:QRコードからの流入も、UTMパラメータがないと「Direct」として計測されます。
- PDF資料内のリンク:資料内のリンクからの流入も、UTMパラメータを設定しないと「Direct」として計測されます。
- アフィリエイト(Affiliate):アフィリエイト広告からの流入を正しく「Affiliate」チャネルに分類するには、
utm_medium=affiliate
を設定する必要があります。 - SMS:SMSからの流入を正しく分類するには、UTMパラメータの設定が必要です。
UTMパラメータ設定時の注意点
- 必須パラメータ:UTMパラメータを設定する場合、
utm_source
(参照元)、utm_medium
(メディア)、utm_campaign
(キャンペーン)の3つは必須です。これらのパラメータが1つでも欠けると、パラメータが無効になり、正しく計測できません。 - 大文字小文字の区別:UTMパラメータの値は大文字と小文字を区別します。例えば、リスティング広告の場合は小文字の「cpc」を設定する必要があります。大文字の「CPC」はデフォルトチャネルでは「(other)」となり、「有料検索(Paid Search)」には振り分けられません。
- デフォルトチャネルのルール:GA4のデフォルトチャネルグループは特定のルールに基づいて分類されます。例えば、「Paid Search」に分類するためには、
utm_medium
が「cp」を含むか、「ppc」、「paid」で始まるものである必要があります。 - 統一化の重要性:パラメータを発行する際は、ルールを統一化することが重要です。統一化されていないと、把握したかったはずの情報がGA4で正しく計測できなくなります。
GA4のデフォルトチャネルグループでは、一部のトラフィックソース(メールマガジン、SNS投稿、オフライン広告のQRコード、PDF資料内のリンク、アフィリエイトなど)はUTMパラメータの設定が必要ですが、他のトラフィックソース(自然検索、直接アクセス、参照元サイト、Google広告など)は自動的に正しいチャネルグループに分類されます。
正確なトラフィック分析を行うためには、上記のようにUTMパラメータを適切に設定し、GA4のデフォルトチャネルグループのルールを理解することが重要です。
なお、UTMパラメーターはこちらから作成できますのでご確認ください。
GA4のデフォルトチャネルグループの具体的活用方法
デフォルトチャネルグループを活用すると、マーケティング施策の効果測定が容易になります。
具体的な活用ポイントを見ていきましょう。
① トラフィックの流入傾向を把握
- 各チャネルごとのユーザー数、セッション数、コンバージョン率を確認することで、最も効果的な流入元を特定できます。
- 例えば、Organic Searchのトラフィックが増加していれば、SEO対策の効果が出ていると判断できます。
② 広告施策の成果分析
- Paid Search、Paid Social、Display、Paid Videoなどの広告チャネルの成果を個別に分析可能。
- Google Ads、Facebook Ads、YouTube Adsなど各広告媒体のROI(投資対効果)を他のチャネルと比較しながら横断的に確認し、予算配分の最適化ができます。
③ エンゲージメント率などのアクティブな行動を分析
- 各チャネルの滞在時間、エンゲージメント率、キーイベント数、キーイベント率を比較することで、流入元ごとのユーザー行動を分析。
- 例えば、EmailやPush Notificationsの流入がコンバージョン率が高いなら、リテンション施策を強化すべきと判断できます。
④ 流入チャネルごとのコンバージョン分析
- Eコマースサイトなら「どのチャネルが最も売上を生んでいるか」
- B2Bなら「どの流入元からの問い合わせが多いか」
これらのデータを基にマーケティング戦略を最適化できます。
GA4で独自のチャネルグループを作成する方法
GA4では、デフォルトチャネルグループは編集できませんが、必要に応じてカスタムチャネルグループを作成することができます。ビジネスモデルに応じたカスタマイズを行うことで、より正確なトラフィック分析が可能です。
カスタマイズ手順

- GA4の管理画面へログイン
- 「管理」→「データ設定」→「チャネルグループ」を選択
- 「カスタムチャネルグループを作成」をクリック
- 必要なチャネルを追加・変更し、保存
カスタマイズの具体例
- B2B企業向け
- 「LinkedIn」や「Sales Navigator」からの流入を「B2B Social」に分類
- Eコマース向け
- 「LINE」や「Rakuten」からの流入を「Eコマースチャネル」に分類
- SaaSビジネス向け
- 「ウェビナー参加者の流入」を「Webinar Leads」として分類
この設定は上級者向けです。通常はデフォルトチャネルグループで事足りるでしょう。
デフォルトチャネルグループを活用するためのベストプラクティス
GA4のデフォルトチャネルグループを最大限活用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
① UTMパラメータの適切な設定
- URLに「utm_source」「utm_medium」「utm_campaign」などのパラメータを正しく設定することが重要
- 例:
https://example.com/?utm_source=facebook&utm_medium=paid&utm_campaign=spring_sale
- これにより、デフォルトチャネルグループのPaid Socialのチャネルに分類される
② Google AdsやFacebook Adsとの連携
- GA4と広告プラットフォームを連携することで、広告経由のトラフィックを正確に自動分類
- 連携することで、コンバージョンの詳細データを取得可能
③ セグメントを活用した分析
- 「Organic Searchのユーザー vs Paid Searchのユーザー」
- 「新規訪問 vs リピーター」 これらのセグメントを設定し、流入チャネルごとの違いを明確にする
④ データスタジオ(Looker Studio)での可視化
- Looker Studioと連携し、デフォルトチャネルグループごとのデータをダッシュボード化
- KPI(主要指標)を定期的にモニタリングし、マーケティング施策を最適化
まとめ
GA4のデフォルトチャネルグループを理解し、適切に活用することで、マーケティング施策の効果をより正確に測定できます。
✅ ポイントのまとめ
- デフォルトチャネルグループはGA4が流入元を自動分類する仕組み
- 流入傾向の把握、広告分析、コンバージョン分析に活用
- カスタマイズすることで、ビジネスモデルに最適な分析が可能
- UTMパラメータを適切に設定し、GA4の正確な計測を実施
GA4のデータを活用し、効果的なマーケティング戦略を構築していきましょう!これらの設定にお困りの方がいましたらお気軽にご相談くださいませ。