POPを無視したらこうなる!売れない商品の実例と対策 - 勝手にマーケティング分析
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POPを無視したらこうなる!売れない商品の実例と対策

POPを満たさない商品の実例と対策 基礎を学ぶ
この記事は約11分で読めます。

はじめに

世の中には「使えない」「期待外れ」と評価される商品が存在します。その多くは POP(Point of Parity:業界標準) を満たしていないことが原因です。
例えば、「電子レンジなのに温まらない」「高音質をうたうイヤホンなのにノイズだらけ」「防水スマホなのに水没で故障」など、消費者が求める 最低限の基準 をクリアしていない商品は、当然ながら市場で受け入れられません。

本記事では、POPを満たしていない商品の具体例とその影響、そして企業がどのように対策すべきかを詳しく解説していきます。

1. POPとは?

POP(Point of Parity)とは、消費者が「これは当たり前」と思う機能や品質の基準を指します。
業界ごとに異なりますが、一般的に以下のようなものがPOPとなります。

業界POP(最低限の基準)
電子レンジ食材を適切に温める
イヤホン音質がクリアである
防水スマホ一定の水圧で故障しない
飲料水清潔で安全に飲める
Wi-Fiルーター安定した接続を提供する

この基準を満たしていないと、消費者に「使えない」「粗悪品」と判断され、選ばれなくなります。

2. POPを満たしていない商品の具体例

① 温まらない電子レンジ

問題点

  • 一部の低価格帯電子レンジでは、温めムラが激しく、中心が冷たいまま になることがある。
  • 出力が弱すぎて、想定よりも時間がかかる
  • ターンテーブルがうまく回らず、加熱ムラが生じる

影響

  • 「温まらない電子レンジ」は本来の目的を果たしておらず、消費者の期待を大きく裏切る。
  • Amazonや楽天のレビューで低評価が相次ぎ、ブランドの信頼性が低下。
  • 価格が安くても、「安物買いの銭失い」となり、消費者が敬遠する。

対策

出力を最低600W以上にする。
加熱ムラをなくすため、ターンテーブルなしのフラット式にする。
赤外線センサーを搭載し、温め過ぎやムラを防ぐ機能を追加する。


② すぐに電池が切れるワイヤレスイヤホン

問題点

  • スペック上は「連続再生5時間」と記載されているが、実際には 2時間程度で電池切れ になる。
  • ノイズキャンセリング機能が弱く、騒音の多い環境では使い物にならない
  • Bluetooth接続が不安定で、頻繁に音が途切れる

影響

  • 「スペック詐欺」として炎上しやすく、SNSでネガティブな口コミが広がる。
  • 返品率が高くなり、コストが増大。
  • リピーターがつかず、ブランドの信用を損なう。

対策

バッテリー寿命を正確に表示し、過剰な広告を控える。
ノイズキャンセリング機能の強化やBluetoothの安定化を行う。
ファームウェアのアップデートを容易にし、接続性の改善を継続する。


③ すぐに剥がれる防水スマホ

問題点

  • 防水をうたっているのに、わずかな水濡れで動作不良を起こす
  • SIMスロットや充電ポートから水が侵入しやすい設計になっている。
  • 公式サイトの保証規約には「水没は保証対象外」と書かれており、実質的に「防水詐欺」。

影響

  • 消費者の「裏切られた感」が大きく、メーカーの信頼を大きく損なう。
  • クレームが増加し、カスタマーサポートの負担が増す。
  • 競合の「本物の防水スマホ」にユーザーが流れる。

対策

防水テストの厳格化(IP68などの国際基準を満たす)。
「防水」ではなく「耐水」と正しく表現し、誤解を避ける。
充電ポートやスロット部分をしっかりと密閉できる設計にする。


④ 画質が荒い「高画質」を謳うスマートテレビ

問題点

  • 「4K対応」と表示されているが、実際にはフルHDをアップスケールしており、本物の4K画質ではない
  • HDR機能を搭載しているが、輝度が低いため、本来のHDR効果が発揮されない
  • 視野角が狭く、斜めから見ると色が極端に変化する。

影響

  • 「期待していた映像美と違う」と不満を持つユーザーが増え、クチコミ評価が低下。
  • 競合の本物の4Kテレビと比較され、スペック詐欺と批判される。
  • 返品やクレームが相次ぎ、ブランドの信用を失う。

対策

真の4K解像度を搭載し、偽4K表示をやめる。
輝度とコントラストを向上させ、HDR機能を実際に活用できるようにする。
IPSパネルを採用し、視野角を広くすることで、どこから見ても画質が安定するようにする。


⑤ 充電が遅すぎる急速充電器

問題点

  • 「急速充電」と謳っているが、実際には最大5Wの低速充電で、充電に時間がかかる。
  • 充電中に本体が異常に熱くなり、発火の危険がある
  • 規格外の電圧が流れることがあり、一部のスマホでは充電できないトラブルが発生。

影響

  • 消費者の期待を大きく裏切り、「詐欺商品」として炎上。
  • 低品質な製品はリコールの対象になり、企業のブランド価値が低下。
  • 競合の正規品(AnkerやApple純正充電器など)に市場を奪われる。

対策

最低でも15W以上の急速充電をサポートする設計にする。
安全回路を強化し、発熱やショートのリスクを抑える。
USB-PDやQC規格を厳守し、互換性のある設計を行う。


⑥ 効果を実感できないダイエットサプリ

問題点

  • 「飲むだけで痩せる」と広告しているが、科学的根拠がなく、実際にはほぼ効果がない
  • 「脂肪燃焼成分配合」とされているが、配合量が極端に少なく、実質的な効果が出ない
  • 副作用(下痢・胃痛)が発生するが、商品説明には記載されていない。

影響

  • 「嘘の広告」として消費者庁や消費者団体から指摘され、販売停止に追い込まれる可能性がある。
  • SNSでの悪評が拡散し、ブランドイメージが大きく損なわれる。
  • 一部の消費者が健康被害を訴え、訴訟リスクが発生。

対策

科学的根拠のある成分を適切な量配合し、実際に効果が期待できる商品を開発する。
誇張した広告を控え、「サポート成分」として適切に説明する。
副作用や体質による影響を明記し、透明性を高める。


⑦ すぐに剥がれる耐久性ゼロの防水スプレー

問題点

  • 一度の雨で効果がなくなり、防水機能が長持ちしない。
  • 素材によっては使用できず、服や靴にシミができることがある。
  • スプレー後に独特の臭いが残り、不快感を与える。

影響

  • 「期待外れの商品」として、消費者からの信頼を失う。
  • クレームが増え、リピート購入が見込めない。
  • 競合(3Mやコロンブスなど)の高品質な製品にシェアを奪われる。

対策

長時間持続する撥水成分を配合し、耐久性を向上させる。
使用可能な素材を明記し、消費者が正しく使えるようにする。
無臭または低臭化を実現し、快適に使用できるように改良する。


⑧ まともに掃除できないロボット掃除機

問題点

  • 吸引力が極端に弱く、ホコリやゴミをしっかり吸い取れない
  • マッピング機能がなく、同じ場所をぐるぐる回るだけで、掃除が終わらない。
  • バッテリーが貧弱で、数十分で動かなくなる

影響

  • 「使えない」と判断され、返品が多発。
  • 高機能な競合(ルンバ、エコバックスなど)と比較され、価値が低いと判断される。
  • 悪評が広がり、ブランドイメージが悪化。

対策

最低でも2000Pa以上の吸引力を確保し、実用レベルの清掃性能を持たせる。
AIマッピング技術を搭載し、効率的な掃除ルートを学習させる。
バッテリー容量を増やし、少なくとも90分以上稼働できるようにする。


⑨ 睡眠時に充電が切れると音が鳴る睡眠イヤフォン

問題点

  • 就寝中に使用するためのイヤフォンなのに、充電が切れると突然警告音が鳴り、睡眠を妨害する
  • バッテリー残量が少なくなっても音量を調整できないため、深夜に予期せず大きな音が発生する。
  • フル充電しても一晩持たず、途中で電池切れによる中断が発生する

影響

  • 消費者の期待を完全に裏切り、「睡眠のためのイヤフォン」としての役割を果たさない。
  • 低評価レビューが続出し、口コミで悪評が広がる。
  • 返品率が高まり、ブランドの信頼性を損なう。

対策

スリープモードを実装し、バッテリーが切れる際は無音で自動オフする設計にする。
長時間使用を考慮し、バッテリーの持続時間を最低8時間以上にする。
低バッテリー警告をLED点灯やバイブレーションで通知する仕様に変更する。

3. なぜPOPを満たしていない商品が生まれるのか?

① コスト削減を最優先してしまう

企業は利益を確保するため、製造コストを削減しようとします。しかし、コスト削減のあまり、必要な機能や品質が削られてしまい、POPを満たさない商品が市場に出てしまうことがあります。

例:

  • 安価な電子レンジで加熱ムラが発生する。
  • 低コストのワイヤレスイヤホンが短時間でバッテリー切れを起こす。

② 競争の激化による品質の低下

特に低価格市場では、他社よりも安く売るためにスペックを落とすケースが多く見られます。その結果、消費者の基本的な期待値すら満たさない商品が増えます。

例:

  • 「4K対応」と謳いながら実際にはフルHD画質しか出せないスマートテレビ。
  • 「急速充電」を謳いながら5W程度の低速充電しかできない充電器。

③ 技術不足・設計ミス

企業が新しい製品を開発する際、技術力や開発経験が不足していると、本来のスペックを満たせない商品が生まれます。

例:

  • 低品質な防水スマホが実際には水濡れに耐えられない。
  • AI搭載を謳った掃除ロボットが適切にルートを学習できない。

④ 市場調査の不足

ターゲット市場のニーズを正しく理解できていないと、消費者が求める最低基準をクリアしない製品を販売してしまうことがあります。

例:

  • ユーザーの求める音質に達していない高級イヤホン。
  • 健康志向の消費者向けに開発されたが、成分が不十分なダイエットサプリ。

⑤ 誇大広告と誤解を招く表現

商品を売るために、実際の性能を超えた誇張表現をしてしまい、消費者が期待するPOPに達していないケースも多くあります。

例:

  • 「〇〇時間連続再生」と謳っているが、実際には半分しか持たないワイヤレスイヤホン。
  • 「水を弾く」と記載しているが、短時間しか効果が持続しない防水スプレー。

4. 企業が取るべき対策

① コスト削減と品質のバランスを取る

コスト削減を目指しつつ、最低限の品質は維持しなければなりません。そのためには、コストカットの影響を分析し、重要な要素を削らないようにすることが必要です。

適切な部品や素材を選択し、必要最低限の品質を確保する。
低価格商品でも、最低限の基準をクリアする仕様を定める。

② 競争戦略を見直す

単なる価格競争ではなく、品質や付加価値を前面に押し出したマーケティング戦略を立てることが重要です。

低価格帯の商品でも信頼性を確保する。
価格だけでなく、独自の強み(POD:Point of Difference)を打ち出す。

③ 開発・設計段階での品質管理を徹底する

POPを満たすためには、開発段階での品質チェックを徹底し、商品が期待通りの性能を発揮するか確認することが重要です。

厳格な品質テストを導入し、基準に満たない製品を市場に出さない。
技術力を向上させるために、研究開発に投資する。

④ 徹底した市場調査を行う

消費者の求める最低基準をしっかり把握し、それをクリアする商品設計を行う。

競合製品との比較を行い、最低限の性能を確認する。
ターゲット顧客のニーズを把握し、それに基づいた製品設計を行う。

⑤ 誇張広告を避け、透明性を高める

誇大広告は短期的には売上に繋がるかもしれませんが、長期的にはブランドの信頼性を損ないます。

事実に基づいた広告表現を徹底し、誤解を招く表現を避ける。
消費者に正確な情報を提供し、期待値とのギャップをなくす。


まとめ

POPを満たさない商品のリスク

POPを満たさない商品は、消費者からの信頼を失い、口コミやレビューでの評価が低くなります。その結果、売上の低迷やブランドイメージの悪化につながり、最終的には市場から淘汰される可能性が高まります。

企業に求められる姿勢

企業は単なるコスト削減や誇大広告に頼るのではなく、最低限の品質基準を維持しながら、独自性(POD:Point of Difference)を打ち出すことが重要 です。また、市場調査や消費者ニーズの把握を怠らず、透明性のある情報提供を行うことも求められます。

持続的な競争力のために

消費者の期待値を正しく理解し、品質基準をクリアする。
製品開発の段階で徹底したテストを行い、問題点を事前に解決する。
誇張表現を避け、誠実なマーケティングを行うことで長期的な信頼を築く。

企業がPOPを満たし、消費者の信頼を得ることで、持続的な競争力を確保し、市場での成功につなげることができるでしょう。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
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