Twitter(現X)が考える拡散の科学:SNS時代における情報の広がり方と戦略 - 勝手にマーケティング分析
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Twitter(現X)が考える拡散の科学:SNS時代における情報の広がり方と戦略

拡散の科学:SNS時代における情報の広がり方と戦略 応用を学ぶ
この記事は約11分で読めます。

はじめに

SNSが普及した現代において、「拡散」のメカニズムを理解することは、マーケティングや情報発信において極めて重要です。拡散が成功すれば、一個人の投稿が社会全体に影響を与える「世の中ごと」に変わる可能性があります。

本記事では、Twitter(現X)が公表している資料「拡散の科学」(168ページ)を要約し、なぜ人は情報をシェアし、どのように拡散が起こるのかをまとめました。さらに、マーケティング戦略や個人の情報発信に活かせる実践的な手法を紹介し、今日から行動を変えられるような具体的なステップを提供します。

資料の概要

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大本の資料では、SNS時代における情報の拡散メカニズムを解説し、拡散を促進する要因や心理的要素、効果的なマーケティング手法について168ページにわたって詳細に説明しています。特にTwitter(現X)におけるデータを基に、拡散の原理を科学的に分析し、企業や個人がどのように情報を広めるべきかの具体的な戦略を提示しています。

資料は誰でもダウンロードできますのでご確認ください。本記事では一部分をまとめたものになります。

世界初公開|「#拡散の科学」なぜ人はリツイートするのか?
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1. そもそも拡散とは?

1-1. 拡散の定義

拡散とは、特定の情報がSNS上でリツイート(RT)やシェアを通じて広がる現象を指します。拡散が起こることで、一つの投稿が短時間で多くの人々に届き、大きな影響力を持つことが可能になります。資料が公表された時の当時のTwitterでは毎日2億1000万人以上の生活者の話題となり、世の中ごとへ昇華していました。(現在の影響力は不明)

1-2. 拡散の基本要素

SNSにおける拡散のメカニズムは、以下の3つの基本要素によって構成されます。

要素説明
声の可視化フォロワーを起点に情報が可視化される
熱量伝播リツイート(リポスト)により、特定の感情(驚き・共感・共鳴など)を伴う情報が広がる
拡散の波及力1リツイートあたり約300インプレッションが生まれる

これらの要素を活用することで、情報の拡散力を高めることができます。また、拡散されやすい投稿の傾向を知ることで、意図的にリーチを最大化する方法を模索することも可能です。

なお、バスった投稿の中央値を見ると1,300リツイートされている投稿が多かったとのことです。(投稿主の方がバズったのでと返信した瞬間時点のリツイート数で集計)

この1,300リツイート=バズりであり=世の中ごとになることと言えますが、それになる確率は実に0.1%の事象だそうです。この0.1%の事象に再現性を持たせるための仕組みやコツをまとめたのが本資料の趣旨になります。


2. なぜ人は拡散するのか?

2-1. 拡散の心理的要因

SNS上で人々が情報を拡散する理由は、主に以下の心理的要因に基づいていると言われています。

心理的要因内容
自己表現自分の価値観や意見を表明する手段として拡散する
承認欲求他者からの「いいね」やフォロワーの増加を狙う
情報共有役立つ情報を広め、周囲に貢献する
エンタメ性面白い・驚くべき情報をシェアし、リアクションを楽しむ
連帯感他者とのつながりを強めるために拡散する
社会的責任感重要な情報を広めることで、社会に貢献したいと考える

さらに、この心理の大伴には、人間の生存と繁殖の成功確率を高めたいという本能があると言われています。こちらに関しては他の記事でもまとめていますのでご一読ください。

2-2. 6つの熱量伝播と16の熱量

本資料では、人々がSNS上で情報を拡散する際には、以下の「6つの熱量伝播と16の熱量」が大きな役割を果たしていると言っています。

熱量伝播内容
直感で拡がる驚きや笑い、感動による衝動的な拡散(例:「すごい!」「これはやばい!」)
知識で拡がる有益な情報を共有したいという欲求(例:「知っておくべき事実」)
主張で拡がる自分の意見を代弁する内容(例:「これこそ正義だ!」)
声援で拡がる誰かをサポートしたい気持ち(例:「応援しています!」)
欲求で拡がるお得情報や欲しい商品に関する情報(例:「これ欲しい!」)
納得で拡がる共感しやすい内容(例:「あるある!」)

これらの熱量伝播の種類を把握し、うまく活用することで、拡散の可能性を大幅に向上させることができますが、さらに、6つの熱量伝播ごとに関わる熱量が決まっていると言われています。

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拡散タイプ熱量(要素)説明
① 直感で拡がるWOW 😲驚きや衝撃を伴う情報(例:「えっ!?こんなことが?」)
FUN 😂ユーモアや面白さがある情報(例:「めっちゃ笑った!」)
尊い 🙏感動的で心が温まる情報(例:「尊すぎる…」)
癒し 🐱かわいい動物や心和む内容(例:「もふもふが最高!」)
感動 😭深い感動を与えるストーリー(例:「涙が止まらない…」)
ショック 😢驚きや悲しみを引き起こす情報(例:「これはショックすぎる…」)
② 知識で拡がる知っトク 🔍役立つ情報や豆知識(例:「知らなかった!」)
注意喚起 🚨危険や問題を警告する情報(例:「絶対に気をつけて!」)
③ 主張で拡がる同調 ✋共感を得る意見(例:「これ、本当にそう!」)
物申す 😡強い意見や批判を含む投稿(例:「これは許せない!」)
④ 納得で拡がるあるある 🤷‍♀️多くの人が共感できる内容(例:「わかる、これ私だけじゃない!」)
真理 💡普遍的な真実や教訓(例:「本当にその通り!」)
⑤ 声援で拡がる応援 🎉誰かを励ましたり、応援する内容(例:「頑張れ!」)
支援 💙社会貢献や助け合いを促す内容(例:「この活動を広めたい!」)
⑥ 欲求で拡がるWANT 🛍️欲しくなる商品や体験を共有(例:「これ欲しい!」)
インセンティブ 🎁プレゼントやお得情報(例:「シェアすると特典が!」)

熱量シェアと拡散の傾向

SNSでの拡散において、「どの熱量が多くシェアされるのか」という点を分析したデータによると、特に 「インセンティブ」「WOW」「FUN」 などが大きなシェアを占めていたそうです。

1. 熱量シェアの特徴

  • 「インセンティブ」(28%)が最も拡散されやすい
  • 「WOW」(23%)と「FUN」(23%)も多くのリツイートを獲得
  • 「応援」(14%)、「癒し」(13%)、「知っトク」(11%)も比較的拡散されやすい
16の熱量シェア (%)
インセンティブ28%
WOW23%
FUN23%
応援14%
癒し13%
知っトク11%
尊い11%
物申す11%
あるある8%
注意喚起7%
真理7%
感動6%
同調6%
支援4%
WANT2%
ショック3%

ポイント

  • 「インセンティブ」が最大のシェア を誇るため、キャンペーンなどの施策が拡散に効果的。
  • 「WOW」「FUN」 が同じ割合で拡散されることから、驚きや面白さ はバズに重要な要素。
  • 「応援」や「癒し」 も拡散されやすく、感情に訴えるコンテンツは有効。

熱量ごとのクリエイティブの特徴

拡散されやすい投稿の表現方法を分析すると、熱量ごとに最適なクリエイティブ形式が異なることが分かります。

表現方法の全体傾向

  • 画像付きが最も多い(42%)
  • 動画が33%、テキストのみが18%、GIFが7%
  • 熱量ごとに表現形式の傾向が異なる

熱量ごとのクリエイティブ比率

16の熱量画像 (%)動画 (%)テキストのみ (%)GIF (%)
WOW48%40%11%1%
FUN51%38%12%0%
尊い52%37%10%1%
癒し46%46%7%1%
感動59%22%19%0%
ショック48%11%41%0%
知っトク54%22%24%0%
注意喚起46%16%37%0%
同調43%14%43%0%
物申す41%15%43%0%
あるある46%32%22%1%
真理38%9%53%0%
応援55%15%30%0%
支援36%12%51%1%
WANT61%28%11%0%
インセンティブ41%34%18%7%

ポイント

  • 「癒し」は動画の割合が最も高い(46%) → 動画で伝えると効果的
  • 「真理」「物申す」「同調」などはテキストがメイン → 文字情報で拡散しやすい
  • 「WANT」は画像(61%)が多い → 商品の視覚的魅力が重要
  • 「インセンティブ」はGIFの割合も比較的高め(7%) → 目立つ動きのある表現が有効

活用のポイント

  1. ターゲットに合った熱量を選ぶ
    • 商品やサービスのPRでは「WANT」や「知っトク」
    • 炎上を避けつつ話題を作るなら「WOW」や「尊い」
    • 社会的な発信では「支援」や「物申す」
  2. 複数の熱量を組み合わせる
    • 「癒し × 感動」→ バズりやすい
    • 「注意喚起 × 物申す」→ 社会的関心を引きやすい
  3. 拡散しやすい投稿設計
    • 画像や動画を活用
    • シンプルで分かりやすい構成
    • 適切なハッシュタグやトレンドを活用

この 6の熱量伝播と16熱量をもとにどういう投稿がバズりやすいのかを理解し、活用することで、SNS上での影響力を高め、戦略的に情報を拡散することができます。これによりバズるという0.1%の割合に入れる確率が上がっていくのです。

3. 何が拡散を加速させるか?

拡散ドライバーの分析

本資料では、SNSにおいて 「リツイート(拡散)」 を促進する要因(拡散ドライバー)を複数仮定し、以下の要素をもとに分析を行なっています。

1. 拡散ドライバーの5要素

拡散の要因は、大きく以下の 5つのカテゴリ に分類されます。

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カテゴリ説明
Netsuryo(熱量)投稿内容の感情的な熱量(どの感情で拡散されるか)
Creative(クリエイティブ)投稿に使用されるメディアの種類
Format(フォーマット)投稿の文字数・ハッシュタグ・カテゴリなどの要素
Wave(波・拡散速度)投稿がどのように拡散されるか(スピード・時間帯)
Follower(フォロワー)拡散の基盤となるフォロワーの数

Netsuryo(熱量)

拡散の根本には、どの 熱量(感情) を伴って情報が広がるのかが影響します。

  • 直感で拡がる(驚き・感動)
  • 知識で拡がる(情報・注意喚起)
  • 主張で拡がる(意見・議論)
  • 納得で拡がる(共感・真理)
  • 声援で拡がる(応援・支援)
  • 欲求で拡がる(購買意欲・インセンティブ)

Creative(クリエイティブ)

どの メディアフォーマット を活用するかで拡散のされ方が異なります。拡散されるツイートは動画や静止画が利用されています。

  • image(画像)
  • video(動画)
  • GIF
  • text-only(テキストのみ)

Format(フォーマット)

投稿の形式に関する要素で、どのように情報を伝えるかが拡散に影響します。

  • 文字数(テキストだけなら120文字程度が良い)
  • ハッシュタグ数(インセンティブなしの場合はハッシュタグがほぼ付けられていない)
  • 投稿カテゴリ(クラフト、漫画、アニメ、ビューティー、ファッション、フードなどが拡散されやすい)

Wave(拡散波)

拡散のスピードや波を考慮し、投稿の最適なタイミングを見極めることが重要です。

  • 拡散スピード(インセンティブの有無で拡散するスピードの波形が少し異なる)
  • 時間帯(深夜1時-5時代がリツイートされやすい)

Follower(フォロワー数)

フォロワー数とリツイート数には相関はなく、フォロワー数に関係なく誰でもバズる投稿が可能だと言っていますが、1300リツイートを早く超えるにはフォロワーの数は重要な因子になっているとのことです。

この分析を基に、「拡散を生み出す投稿の設計」 を戦略的に行うことで、SNS上での影響力を高めることが可能になります。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

マーケターが今日からできること

SNSでの拡散を成功させるために、マーケターが今日からチャレンジできる戦略的かつ具体的な行動は下記のようなことではないでしょうか。

1. 熱量を意識した投稿を作る

  • 16の熱量のどれを狙うか決める(WOW・FUN・知っトクなど)
  • ターゲットが反応しやすい感情を考える
  • ストーリー性を持たせて感情を動かす

2. 最適なクリエイティブを活用する

  • 画像・動画・GIF・テキストのどれが最適かを考える
    • 例:「癒し」系なら動画、「真理」ならテキストのみ
  • 投稿のビジュアルを工夫し、目を引く要素を加える
  • フォーマット(文字数・ハッシュタグ)を調整する

3. 拡散を生むタイミングと波を活用する

  • 拡散しやすい時間帯に投稿する(朝・昼・夜のゴールデンタイム)
  • トレンドを活用し、波に乗る(話題になっているキーワードと関連付ける)
  • 拡散スピードを意識し、最初の30分〜1時間でのエンゲージメントを高める

4. フォロワーとの関係を強化し、拡散の土台を作る

  • インフルエンサーやエンゲージメントの高いフォロワーにリーチする
  • コミュニティを作り、エンゲージメントを増やす
  • 定期的に対話し、拡散されやすいアカウントを目指す

5. インセンティブやキャンペーンを活用する

  • 「拡散すると得をする」仕組みを作る
  • プレゼントキャンペーンや参加型施策を企画する
  • ユーザーが自主的にシェアしたくなる要素を加える

まとめ

拡散のメカニズムを理解し、適切な戦略を立てることで、SNS上での影響力を最大化できます。マーケティングにおいても、拡散の科学を活用し、ターゲットに最適な情報伝達を行うことが求められます。

今日からできるアクション:

  • 6の熱量伝播と16の熱量を意識して投稿を設計する
  • 最適なクリエイティブを活用する
  • 積極的にフォロワーとの対話を行い、エンゲージメントを高める

これらを実践することで、SNSでの影響力を高め、拡散を意図的に生み出すことが可能になります。ぜひ行動していきましょう!

出典:https://marketing.x.com/ja/insights/kakusan

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

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