「Udemy」と「Schoo」のマーケティングを比較してみた。 - 勝手にマーケティング分析
企業を勝手に分析

「Udemy」と「Schoo」のマーケティングを比較してみた。

Udemy Schoo 企業を勝手に分析
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この記事では、オンライン学習プラットフォームであるUdemyとSchooのWho/What/Howを比較し、マーケターが学べる示唆をまとめています。両社のビジネスモデル、ターゲット顧客、提供価値、マーケティング戦略などを分析し、オンライン教育市場における成功要因と課題を明らかにします。また、各社の独自性や競争優位性を探り、今後のオンライン教育ビジネスの展望についても考察します。

はじめに:各商品の推定年商と販売数

Udemyの2022年の年間収益は6億2910万ドル(約940億円)でした[1]。一方、Schooの具体的な収益データは公開されていないため、正確な数字を提示することはできません。

Udemyの2022年の主要データ:

  • 総収益:6億2910万ドル
  • 消費者セグメント収益:3億1500万ドル
  • ビジネスセグメント収益:3億1400万ドル
  • 月間アクティブ購入者:130万人
  • 平均支出額:19.5ドル/月

出典:[1] https://investors.udemy.com/news-releases/news-release-details/udemy-reports-fourth-quarter-and-full-year-2023-results

カテゴリーのPLESTE分析

オンライン教育市場におけるPLESTE分析を行い、機会と脅威を以下の表にまとめました。

要因機会脅威
政治的(P)- 教育のデジタル化推進政策- データプライバシー規制の強化
法的(L)- オンライン資格認定の法的認知- 著作権法の厳格化
経済的(E)- リモートワークの増加によるスキルアップ需要- 経済不況による教育支出の削減
社会的(S)- 生涯学習の重要性の認識向上- 対面教育への回帰傾向
技術的(T)- AI・VR技術の教育への応用- サイバーセキュリティリスクの増大
環境的(E)- 環境配慮型の学習方法としての認知- デジタルデバイスの環境負荷

この分析から、オンライン教育市場は成長の機会が多い一方で、技術や規制の変化に対応する必要があることがわかります。

カテゴリーのPOD/POP/POF分析

オンライン教育プラットフォームにおけるPOD/POP/POF分析を以下にまとめます。

POD(差別化要素)POP(必要最低限の要素)POF(選ばれない要素)
- 独自のAI学習アシスタント- 幅広い講座ラインナップ- 低品質なコンテンツ
- 業界認定の資格取得支援- 使いやすいインターフェース- 高額な受講料
- リアルタイムの講師サポート- モバイル対応- 不十分なカスタマーサポート
- パーソナライズされた学習パス- 進捗管理機能- 古い、更新されていないコンテンツ
- 企業向けカスタマイズ研修- 受講証明書の発行- 限られた言語対応

この分析から、オンライン教育プラットフォームは基本的な機能を提供しつつ、独自の価値提案や品質管理が重要であることがわかります。

SWOT分析

Udemy

強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
- 20万以上の多様なコース- 品質の一貫性の欠如
- 70,000人以上の講師- ブランド認知度の地域差
- グローバルな展開(59%が北米外)- 高い講師依存度
- 企業向け(UB)の急成長- 継続的な純損失
- AIを活用した個別化学習- 競合との差別化の困難さ
- 柔軟な価格設定- 一部地域での規制リスク
- モバイルアプリの利便性- 高いマーケティングコスト
機会(Opportunities)脅威(Threats)
- 企業研修市場の拡大- 競合の増加(Coursera, edX等)
- 新興国での教育需要- 大学等の伝統的教育機関のオンライン化
- AIとVRの教育への応用- 経済不況による教育支出の削減
- 政府のデジタル教育推進- データプライバシー規制の強化
- リモートワーク増加によるスキルアップ需要- 技術の急速な変化に対する適応
- 生涯学習トレンドの拡大- 講師の流出リスク
- 新たな職業スキルの需要- 為替変動リスク

出典:[1][2][3][4]

Schoo

注:Schooに関する公開情報が限られているため、以下の分析は推測を含みます。

強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
- 日本市場に特化したコンテンツ- グローバル展開の限定性
- ビジネススキル中心の講座- コース数の相対的な少なさ
- 日本企業との連携- 資金力の制限
- ライブ配信の活用- ブランド認知度の低さ
- 日本語ネイティブ向けUI/UX- 講師陣の多様性の制限
機会(Opportunities)脅威(Threats)
- 日本企業のデジタル人材育成需要- グローバルプラットフォームの日本進出
- リカレント教育の政策的推進- 日本の人口減少による市場縮小
- 産学連携の拡大- 技術革新への対応コスト
- 地方創生関連の教育需要- 大手企業の自社プラットフォーム開発
- 副業・兼業の増加によるスキルアップ需要- 経済停滞による教育投資の減少

この分析から、UdemyとSchooはそれぞれ異なる強みと課題を持っていることがわかります。Udemyはグローバルな規模と多様性が強みである一方、品質管理が課題です。Schooは日本市場に特化した戦略が強みですが、規模の拡大が課題となっています。

戦略提案

Udemy

SO戦略WO戦略ST戦略WT戦略
- AIを活用した個別化学習の強化- 新興国向けローカライズ戦略- 企業向け高品質コンテンツの拡充- 品質管理システムの強化
- 企業研修市場でのシェア拡大- 大学との連携強化- データセキュリティ対策の強化- コスト効率の高いマーケティング手法の開発
- VR技術を用いた没入型学習体験の開発- 政府認定プログラムの開発- 講師育成・支援プログラムの拡充- 地域別の差別化戦略の策定

Schoo

SO戦略WO戦略ST戦略WT戦略
- 日本企業向けカスタマイズ研修の強化- 地方自治体との連携拡大- 日本独自の資格取得支援プログラムの開発- 海外プラットフォームとの提携
- ライブ配信を活用した双方向学習の拡充- 大学・専門学校との連携強化- AI活用による運営効率化- ニッチ市場への特化
- 副業・兼業支援コンテンツの開発- クラウドファンディングの活用- コミュニティ機能の強化- オフライン学習との連携

これらの戦略提案は、各社の強みを活かしつつ、弱みを補完し、機会を最大限に活用しながら脅威に対応することを目指しています。

オルタネイトモデルによる顧客購買行動分析

Udemy

要素内容
きっかけ- 転職や昇進のためのスキルアップ必要性の認識
- 新しい趣味や副業の開拓
- 企業からの研修指示
行動- Udemyでコースを検索し、購入・受講
欲求- キャリアアップや自己実現
- 効率的で柔軟な学習方法の獲得
抑圧- 時間や費用の制約
- 自己学習の継続性への不安
報酬- 新しいスキルの習得
- 資格取得や昇進の可能性
- 自己効力感の向上

Schoo

要素内容
きっかけ- 日本のビジネス環境に特化したスキル習得の必要性
- 企業からの日本語での研修要請
- キャリアチェンジの検討
行動- Schooの日本語コースを選択し受講
欲求- 日本のビジネス慣行に適応したスキルアップ
- 日本語でのビジネスコミュニケーション力向上
抑圧- 英語での学習への抵抗感
- 日本特有のビジネス文化への適応不安
報酬- 日本企業での活躍可能性の向上
- 日本のビジネス環境への適応力獲得

この分析から、UdemyとSchooの顧客は異なる動機と障壁を持っていることがわかります。Udemyはグローバルなスキル獲得を、Schooは日本特化型のスキル向上を求める顧客にそれぞれ訴求していると言えます。

Who/What/How分析

Udemy

Who(誰)Who(JOB)What(便益)What(独自性)How(プロダクト)How(コミュニケーション)How(場所)How(価格)
グローバルな若手プロフェッショナルキャリアアップのためのスキル獲得多様な分野の最新スキル習得20万以上の豊富なコース選択肢AIによる個別化学習システムSNSを活用したグローバルマーケティングオンラインプラットフォームコース別の柔軟な価格設定
企業の人事担当者従業員のスキル向上と人材育成効率的な社員教育システムカスタマイズ可能な企業向けプログラムUdemy Business専用プラットフォームB2Bセールスとカスタマーサクセスクラウドベースの学習管理システム従業員数に応じた契約プラン
趣味や副業を探す一般ユーザー新しい興味分野の探索と学習手軽に始められる多彩な講座実践的なプロジェクトベースの学習モバイルアプリでの学習機能コンテンツマーケティングとリターゲティング広告スマートフォンやタブレット低価格帯のコースや無料トライアル

Schoo

Who(誰)Who(JOB)What(便益)What(独自性)How(プロダクト)How(コミュニケーション)How(場所)How(価格)
日本のビジネスパーソンビジネススキルの向上日本語での実践的なスキル習得双方向ライブ授業でのインタラクティブな学習ライブ配信とオンデマンド動画SNSとメールでのフォローアップオンラインプラットフォーム定額制プラン
日本企業の人事担当者社員のスキルアップと研修企業向けにカスタマイズされた研修プログラム8500本以上の動画と学習分析機能企業向けSchoo for Business企業向けセミナーとウェビナークラウドベースの学習管理システム企業契約プラン
副業やキャリアチェンジを考える個人新しいスキルの習得とキャリアアップ実務直結の学びと自己啓発毎日更新される最新の授業モバイルアプリでの学習コンテンツマーケティングとリターゲティング広告スマートフォンやタブレット月額定額制

各商品の独自性やマーケティング戦略についての示唆

Udemy

独自性

  • 多様なコースラインナップ:20万以上のコースを提供しており、あらゆる分野の学習ニーズに対応。
  • グローバル展開:世界中の受講者と講師を擁し、多言語での学習が可能。
  • AIを活用した個別化学習:受講者の学習進捗やニーズに応じたパーソナライズド学習を提供。

マーケティング戦略

  • 広範なデジタルマーケティング:SNS、検索エンジン広告、コンテンツマーケティングを駆使して、グローバルな受講者を獲得。
  • 企業向けプランの強化:Udemy Businessを通じて企業研修市場に注力し、企業の人材育成ニーズに応える。
  • パートナーシップの拡大:大学や専門機関との連携を強化し、公式認定プログラムを提供。

Schoo

独自性

  • 日本市場特化:日本語での授業提供に特化し、日本のビジネス文化に適応したコンテンツを提供。
  • 双方向ライブ授業:リアルタイムでの双方向コミュニケーションを通じて、インタラクティブな学習体験を提供。
  • 企業向けカスタマイズ研修:企業のニーズに応じたカスタマイズ可能な研修プログラムを提供し、学習分析機能を搭載。

マーケティング戦略

  • 日本企業との連携:日本の大手企業と提携し、企業研修市場でのシェアを拡大。
  • コンテンツの多様化と更新:毎日新しい授業を提供し、最新のビジネストレンドや技術に対応。
  • 地方創生プロジェクト:地方自治体との協力を通じて、地域の人材育成や経済活性化を支援。

マーケターが学べる示唆

  1. 市場特化の重要性:Schooのように特定市場(日本市場)に特化することで、顧客ニーズに合わせたサービス提供が可能となり、競争優位性を確立できる。
  2. 多様なコンテンツ提供:Udemyのように多様なコースラインナップを持つことで、幅広い顧客層に対応でき、収益機会を拡大できる。
  3. 双方向コミュニケーションの価値:Schooの双方向ライブ授業は、受講者のエンゲージメントを高め、学習効果を向上させる。インタラクティブな要素を取り入れることは、オンライン教育の質を高める重要な要素である。
  4. 企業向けサービスの強化:両社ともに企業向けプランを強化しており、B2B市場での成長が期待される。企業のニーズに応じたカスタマイズ可能なサービスを提供することが重要である。
  5. 継続的なコンテンツ更新:Schooのように毎日新しい授業を提供することで、受講者の関心を維持し、リピーターを増やすことができる。コンテンツの鮮度を保つことが重要である。

これらの示唆を活かし、マーケターはオンライン教育市場での競争力を高めるための戦略を立案・実行することができます。

引用元

[1] https://schoo.jp
[2] https://schoo.jp/biz/
[3] https://schoo.jp/biz/column/521
[4] https://schoo.jp/class/8454
[5] https://corp.schoo.jp/business

[1] https://investors.udemy.com/news-releases/news-release-details/udemy-reports-fourth-quarter-and-full-year-2023-results
[2] https://investors.udemy.com/news-releases/news-release-details/udemy-reports-first-quarter-2024-results
[3] https://investors.udemy.com/news-releases/news-release-details/udemy-reports-third-quarter-2023-results-and-raises-full-year
[4] https://www.classcentral.com/report/udemy-economics/

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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