ターゲットが曖昧なままビジネスを進めている企業が多く存在する中で、どうしたらそこから一歩抜きん出ることができるのか。答えはターゲットの明確化にあります。なぜならターゲット(who)を明確にすることでその後のwhatとhowが明確になり、精度があがるためです。ではどうやってターゲットを明確化するのか、その方法論も含めてお伝えしていきます。
あなたの会社のプロダクトのターゲットは誰ですか?
この記事を読んでほしい人
- 初めててまず何をしたらいいかわからない新卒マーケター
- 異なる職種からマーケティング職に異動した人
- 自身の会社のビジネスのターゲットは誰?と質問すると明確に答えられない人 or 人によってバラバラな答えが返ってくる企業
読んだ結果得られること
- 自身の会社のターゲットの定め方がわかる
- 読んだ日に行動に移せるネクストアクション付き
ターゲットを定めていない企業はどうなっているか、その特徴
■ビジネス全体
- 新規マーケティング活動、新規セールス・接客活動、既存サポート活動、提供する商品・サービスのビジネス活動において、それぞれが別々に動いてしまっていて、全体として質の悪い顧客体験(CX)を提供してしまっている。
- かかっている人件費や仕販売促進費に対して得られる利益が少ない。(ROIが低い)
■新規マーケティング部門
- とりあえずリスティング広告やSEO、SNS広告などのデジタルマーケで露出をしているが、いまいち効果がよくないor改善できていない。
- ABMマーケを行なっているが効果がでない。
- 全く集客ができていない。
■新規セールス・接客部門
- 商談率、受注率が悪い。
■既存顧客対応部門
- 提供している商品やサービスでは満足度が低い。
- サポートの工数がかかる。
■プロダクト開発部門
- 作ったプロダクトや機能を利用してもらえない。
上記の通りターゲットが明確ではないことで起こる事象はビジネスにとって大きな弊害となります。
部門間、各部門で誰をターゲットとしているのかが不明確なままだと、かけた投資(工数、コスト)に対してのビジネスリターンが得られにくくなるのです。
上記に少しでも当てはまったらぜひ次を読み進めていただければと思います。
そもそもターゲットとはどういう意味か
まずは、そもそもターゲットとは何かを定義しておきます。ズバリ、提供している商品やサービスを買ってくれる顧客像です。そんなこと知っているよという人は多いと思うので、さらに詳しくいくと、その顧客像は、どんな属性、特徴、思考、課題を持っている人、企業か、まで深ぼる必要があります。
例えば、私が土日によく仕事をしに行くファミレス『ガスト』で、誰を考えてみました。
※時間帯によって来る層も変わるので今回は良く行く朝7時〜13時ほどの時間と限定
■ガストの顧客像(簡易ver)
・朝ご飯だけ食べにきた近所の高齢夫婦
・保険の営業で訪れた営業とその顧客
・就活のアドバイスをする中年ビジネスマンと学生
・中学生女子2人〜3人組
・大学受験の勉強をしにきた高三or浪人生
・私みたいにPCで仕事をしているビジネスパーソン
・近所の3人〜5人のファミリー
といった形で、私が滞在する時間帯だけ見ても様々な人が利用しています。年齢や職業、利用人数、離表目的など様々です。各ターゲットをさらに細かく妄想するとかなり違いが出てきます。
■ガストの顧客像(詳しいver)
・朝ご飯だけ食べにきた近所の高齢夫婦
身なりはかなり適当、毎朝のルーチン、散歩もセット、夫婦同士の会話はない、あまり周りを気にしない、店員を呼びつけて何か小言を言う、ドリンクバーエリアに行く頻度高い。年金でギリギリの生活のため裕福ではない、滞在時間は1時間。支払いは現金。
・保険の営業で訪れた営業とその顧客
近所に住み始めた、もしくは最近子供ができた夫婦の保険の相談を乗っている、基本営業パーソン側がファミレスの料金は払うが基本ドリンクバーのみ、滞在時間は1時間半、話しが終えたら夫婦は退店し、営業パーソンは内容をまとめて、食事をして退店。領収書は必須でもらう。
・就活のアドバイスをする中年ビジネスマンと学生
基本マウントとっている、学生は全く納得していない、ドリンクバーのみ奢っている、1日に何件も学生相談の予定を入れており、人が入れ替わっても都度ドリンクバー料金は払っていない、滞在時間は5時間ほど。
・中学生女子2人〜3人組
ランチ時間帯に複数人で訪れて基本恋バナやトレンド、インフルエンサーの話、滞在は2時間ほど、男女でくる場合もありだが、基本男女の間に壁がある、恥ずかしがっている。ランチは安めなものでライトな量のものを選択。支払いはバーコード決済を理容し割り勘するか、一人一人別会計。
・大学受験の勉強をしにきた高三or浪人生
参考書を広げて音楽を聴き、最低限のドリンクバーだけの料金で長時間滞在、途中で何人か合流したり、少なくなったりする。
・私みたいにPCで仕事をしているビジネスパーソン
基本7時〜8時に来店し朝飯とドリンクバーで基本過ごし、小腹空いたらポテトでも頼む、YoutubeでXJAPAN聴きながらPCで仕事をしており自分の世界に入っている、たまに飽きるとXJAPANのライブ映像を見る、コンセントがある席に座る、トイレ行くときに荷物が心配、昼過ぎに集中力が切れて退店、支払いはPAYPAYかクイックペイで素早く払う。
・近所の3人〜5人のファミリー
子供1人〜3人と夫婦で訪れる、子供が騒いでいても特に注意をしない、コップを倒して店員が片付けにくる。いつも頼む山盛りポテトとドリンクバーから始まり、ランチメニューからランチをオーダー。2時間ほど滞在し、退店。
といったように、ガストでもさまざまな人が訪れているが、必ずそれぞれに特徴があります。そして、このターゲットやその特徴を企業側が理解して、優先順位をつけ、それを元にサービス・商品自体の価値(what)を改善し続け、ターゲットに合わせて届け方(how)を変えていけているかどうかで集客数、満足度やリピート率、単価などが全く変わってきます。
では、どのようにターゲットを特定して優先度をつければいいのでしょうか。
ではどういう手順を踏んで定めればいいのか
現在顧客がいるのかどうかで多少ステップは変わってくるが、基本は下記ステップを踏むことをお勧めしています。
1: 誰のどういう不を解決したいのか明確に定義する
2: その不を自社サービス・商品でどうやって解決できるのか定義する
3: その不を持った人たちについて、6Rでチェックする
・Realistic scale(有効な規模)、Rank(優先順位)、Rate of growth(成長率)、Rival(競合)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)
4: 4Pを考えて実際に実行してみてPDCAを回す
もう既にプロダクトがあって、ターゲットを明確にしたい場合と、まだプロダクトがなくて、0からターゲットを決めていく場合で若干異なりますのでそこをお話ししていきます。
ターゲットの定め方(既存事業)
既存顧客の中でも理想的な顧客=ロイヤルカスタマー(満足度も高く、リピートしてくれ、お金を企業に落としてくれる人)の特徴を把握していきます。
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その人たちに提供できている独自の価値(代替手段や競合が提供できていない価値)は何かを把握します。
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6Rでそのグループの有効性をチェックし優先度をつけます。
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優先度が高いグループに当てはまる顧客をさらに増やすにはどうしたら良いかhowを具体的に考えていきます。
ターゲットの定め方(新規事業)
原体験がある、元々興味や強みを持っているから新規事業で解決したい分野を絞ります。
大抵、既存事業からの派生や、原体験からこの不を解決したいと思い新規事業を立ち上げる場合が多いかと思います。
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その分野で起こっている不やその不を持っている人の特徴について調べます。
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その人の不を解決するにはどういう独自の価値を提供するが必要か考えます。
ここで提案資料などを作ってその価値や、価値を生み出すプロダクトが本当に不を解決できるか該当の人に当ててチェックしていきます。
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ターゲットが複数いる場合、6Rでそのターゲットグループの有効性をチェックし優先度をつけます。
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優先度が高いグループに当てはまる顧客をさらに増やすにはどうしたら良いかhowを具体的に考えていきます。
まとめ
以上がターゲットが曖昧な企業がシンプルにやるべきことです。ビジネスは誰かの不を解消することと言われています。ビジネスは誰かの不平や不満、不便、不利、不都合、不幸、不安、不快などを特定して、競合や代替手段と比べて独自の価値を提供できるかで全てが決まってきます。つまりビジネスの大元はターゲットが誰かから始まります。そこが曖昧な企業はぜひ一度見直してみることをお勧めします。
ビジネスの基本はターゲットが誰か、その人の不は何かです!