DAISOの3C分析とWho/What/Howの整理 - 勝手にマーケティング分析
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DAISOの3C分析とWho/What/Howの整理

DAISO 企業を勝手に分析
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DAISOは、日本を代表する100円ショップチェーンです。本記事では、DAISOの3C分析(顧客、競合、自社)を行い、その戦略的ポジショニングを詳細に探ります。さらに、DAISOのWho/What/How分析を通じて、その成功の秘訣を明らかにします。最後に、DAISOのマーケティング戦略から学べる重要な洞察を提供します。

DAISOの顧客分析:幅広い層に支持される100円ショップ

市場規模と成長性

日本の100円ショップ市場は2023年度に初めて1兆円を突破し、約1兆200億円(前年度比約5%増)の規模に達しました。過去10年間で約1.5倍に成長しており、今後も拡大が見込まれています。物価高による節約志向の高まりが、生活必需品や日用雑貨の売上増加につながっています。

出典:
https://www.ryutsuu.biz/strategy/q051718.html
https://www.nikkei.com/compass/industry_s/0593
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240518-OYT1T50104/

DAISOは100円ショップ市場でトップシェアを誇り、約62%の市場シェアを占めています。2023年度の売上高は約5,890億円に達し、前年度から約400億円増加しました。DAISOは国内外で積極的な店舗展開を続けており、2022年2月時点で全世界に6,338店舗(国内4,042店舗、海外2,296店舗)を展開しています。

出典:
https://daiso50th.com/data/
https://www.statista.com/statistics/1360252/daiso-sales-value/

プロダクトライフサイクル

100円ショップ市場は成熟期にありますが、DAISOは商品の多様化や海外展開により成長を維持しています。

顧客セグメント

  1. 価格重視の消費者:低価格で日用品を購入したい層
  2. 主婦層:家事や育児に役立つ商品を求める層
  3. 若年層(学生、新社会人):トレンド商品や文具を求める層
  4. DIY愛好家:手軽に創作活動を楽しみたい層

顧客のJOB(解決したい課題)

機能的課題情緒的課題社会的課題
低価格で日用品を入手したい買い物を楽しみたい賢い消費者でありたい
多様な商品を一箇所で購入したい新しい発見をしたいエコ意識を持ちたい
手軽にDIYを楽しみたいインテリアを手軽に変えたい節約しながら豊かな生活を送りたい
季節の装飾品を安く入手したいトレンドを取り入れたいコストパフォーマンスの良い選択をしたい

DAISO市場のPLESTE分析

要因機会脅威
政治的(Political)・消費税増税による低価格志向の強まり・最低賃金の上昇による人件費増加
法的(Legal)・リサイクル法対応による環境イメージ向上・製品安全基準の厳格化によるコスト増
経済的(Economic)・景気低迷による節約志向の高まり・円安による仕入れコスト上昇
社会的(Social)・単身世帯増加による小分け商品需要・少子高齢化による市場縮小
技術的(Technological)・EC展開によるオムニチャネル化・AIやIoTによる競合他社の効率化
環境的(Environmental)・エコ商品の開発・販売機会・プラスチック規制強化による対応コスト増

DAISOの競合分析:100円ショップ市場における差別化戦略

主要競合(日本国内)

  1. セリア
  2. キャンドゥ
  3. ワッツ

競合のWho/What/How分析

競合Who(誰)What(便益)How(戦略)
セリアデザイン重視の消費者おしゃれな商品ラインナップ高感度デザイン、SNS活用
キャンドゥ都市部の消費者利便性と品質駅ナカ出店、PB商品強化
ワッツ地方の消費者地域密着型サービス地方スーパーとの提携

DAISOの自社分析:圧倒的な品揃えと独自のビジネスモデル

DAISOのWho/What/How詳細分析

パターン1:価格重視の一般消費者向け

項目内容
Who(誰)20-60代の幅広い年齢層の価格重視消費者
Who(JOB)低価格で日用品を入手、多様な商品を一箇所で購入
What(便益)圧倒的な商品数と低価格
What(独自性)100円以外の価格帯も含む幅広い品揃え
How(プロダクト)日用品、文具、キッチン用品など多岐にわたる商品ライン
How(コミュニケーション)TVCMやチラシによる認知度向上
How(場所)郊外型大型店舗、ショッピングモール内出店
How(価格)基本100円、一部300円・500円商品も展開

一言で言うと:「日常のあらゆるニーズに応える100円ショップの代名詞」

パターン2:DIY・クラフト愛好家向け

項目内容
Who(誰)20-50代のDIY・クラフト愛好家
Who(JOB)手軽にDIYを楽しみたい、創作意欲を満たしたい
What(便益)豊富なDIY素材と道具の提供
What(独自性)専門店並みの品揃えと低価格の両立
How(プロダクト)DIY素材、工具、アクセサリーパーツなど
How(コミュニケーション)SNSでのDIYアイデア発信、ワークショップ開催
How(場所)大型店舗内のDIYコーナー、オンラインストア
How(価格)100円中心、一部高額商品も

一言で言うと:「手軽に始められるDIY・クラフトの入口」

パターン3:季節商品・イベント需要向け

項目内容
Who(誰)イベントや季節の装飾を楽しみたい全年齢層
Who(JOB)季節感を演出したい、イベントを盛り上げたい
What(便益)豊富な季節商品・イベントグッズ
What(独自性)早期の季節商品展開、独自デザインの商品
How(プロダクト)クリスマス、ハロウィン、バレンタインなどの季節商品
How(コミュニケーション)店頭ディスプレイの工夫、SNSでの季節感演出
How(場所)全店舗での大規模な季節商品展開
How(価格)100円中心、一部300円・500円の特別商品も

一言で言うと:「手軽に季節を楽しめる装飾の宝庫」

PLESTE分析における機会と脅威

要因機会脅威
政治的地方創生政策による出店支援海外での貿易摩擦
法的リサイクル推進による環境配慮型商品の需要増製品安全基準の厳格化
経済的新興国市場への展開原材料費・物流費の上昇
社会的シニア市場の拡大少子化による市場縮小
技術的AIを活用した需要予測・在庫管理ECプラットフォームの台頭
環境的サステナブル商品の開発プラスチック規制の強化

ここがすごいよDAISOのマーケティング

DAISOは、「100円ショップ」という概念を超えた独自のポジショニングを確立しています。競合や代替手段がある中で、DAISOが顧客から選ばれる理由は以下の通りです:

  1. 圧倒的な品揃え:約70,000アイテムという他の追随を許さない商品数を誇り、顧客の多様なニーズに応えています。
  2. 価格以上の価値提供:100円という価格設定でありながら、品質や機能性において顧客の期待を上回る商品を提供しています。
  3. 独自の商品開発力:自社企画商品が全体の7割以上を占め、DAISOでしか手に入らない商品の魅力を創出しています。
  4. 効率的なサプライチェーン:直接取引や大量発注により、低コストでの商品調達を実現しています。
  5. 柔軟な価格戦略:基本は100円ですが、300円、500円など、商品の価値に応じた価格設定を行っています。

マーケターがDAISOから学べる重要な洞察:

  1. 明確な価値提案:「100円」という明確な価格ポイントを軸に、顧客に分かりやすい価値を提供することの重要性。
  2. 継続的なイノベーション:既存の概念(100円ショップ)を超えて、常に新しい価値を創造し続ける姿勢。
  3. 規模の経済の活用:大量仕入れと効率的な物流システムにより、コスト競争力を維持する戦略。
  4. 顧客ニーズへの柔軟な対応:100円以外の価格帯導入など、市場の変化に応じて柔軟にビジネスモデルを進化させる姿勢。
  5. ブランドの一貫性:「ダイソーに行けば何でも見つかる」という顧客の期待に応え続けることで、強力なブランドロイヤルティを構築。

これらの戦略を自社のコンテキストに適用することで、価格競争に陥ることなく、独自の価値を提供し続けるビジネスモデルを構築することができるでしょう。DAISOの成功は、明確なコンセプトと顧客志向の商品開発、そして効率的なオペレーションの融合が鍵となっています。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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