セブンイレブンの3C分析とWho/What/Howの整理 - 勝手にマーケティング分析
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セブンイレブンの3C分析とWho/What/Howの整理

セブンイレブン 企業を勝手に分析
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セブンイレブンは、日本最大のコンビニエンスストアチェーンであり、24時間365日営業の利便性と多様な商品・サービスを提供しています。本記事では、セブンイレブンの3C分析(顧客、競合、自社)を行い、その戦略的ポジショニングを詳細に探ります。さらに、セブンイレブンのWho/What/How分析を通じて、その成功の秘訣を明らかにします。最後に、セブンイレブンのマーケティング戦略から学べる重要な洞察を提供します。

セブンイレブンの顧客分析:24時間社会を支える多様な消費者

市場規模と成長性

日本フランチャイズチェーン協会が発表した2022年の全国コンビニエンスストアの売上高(速報値)は、11兆1775億円でした。これは前年比3.7%増となり、コロナ禍前の2019年を上回る過去最高の数字となっています。

新型コロナウイルス対策の行動制限が全面的に緩和され、外出機会が増加したことが売上に貢献しました。コンビニ各社は人流回復に対応した商品開発や品揃えを行い、おにぎり、弁当、冷凍食品などの売れ行きが好調でした。

平均客単価は2.8%高い711.5円となり、8年連続で増加しています。これは原材料費や物流費の高騰を受けた商品の値上げや、コロナ禍で広がったまとめ買いの定着が要因とされています。

一方で、店舗数は減少傾向にあります。2022年12月末の店舗数は55,838店で、前年より112店少なくなっています。これは人口減少を背景に、コンビニの店舗が飽和状態にあることが指摘されているためです。

出典:
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230122-OYT1T50015/
https://gyokai-search.com/3-konbini.htm

セブンイレブンの市場シェア

セブンイレブンは日本のコンビニエンスストア市場において、最大のシェアを持つチェーンです。具体的な数字は以下の通りです:

  1. 2011年時点でのシェア:約35.7%
  2. 2016年時点でのシェア:約40%
  3. 2024年時点での推定シェア:40%以上

セブンイレブンは毎年約1,000店舗のペースで出店を続け、2018年には20,000店舗を超えました。この店舗数の多さが、商品の価格交渉力や効率的な配送システムの構築に有利に働いています。

また、セブンイレブンは新サービスの導入においても他社に先行することが多く、例えば洗濯サービスの取り扱いや淹れたてコーヒーの提供などを早期に開始しています。

近年では、単価の維持や上昇、新たな顧客獲得のため100円ショップのダイソー商品を導入したり、各店舗のニーズに合わせて商品構成やレイアウトを変更したりしています。さらに、最短30分で届けるデリバリーサービス「7NOW(ネットコンビニ)」の展開を加速させ、2024年度をめどに全店で展開する予定です。

出典:
https://piece-of-japan.com/investing/convenience-store/market-share.html
https://www.7andi.com/library/dbps_data/template/_res/en/ir/library/co/pdf/2011_04.pdf
https://gyokai-search.com/3-konbini.htm
https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-conveniencestore2024/

プロダクトライフサイクル

日本のコンビニエンスストア市場は成熟期にありますが、新サービスの導入や店舗の多機能化により成長を維持しています。

顧客セグメント

  1. 働く世代(20-50代):忙しい日常生活の中で時間を節約したい層
  2. 若年層(10-20代):トレンドに敏感で、新商品や限定商品を求める層
  3. シニア層(60代以上):近隣での日常的な買い物や生活サービスを求める層
  4. 訪日外国人:日本の便利なサービスを体験したい層

顧客のJOB(解決したい課題)

機能的課題情緒的課題社会的課題
24時間いつでも買い物したい新しい商品やサービスを楽しみたい地域コミュニティの一部になりたい
多様な商品・サービスを一箇所で済ませたいストレス解消や気分転換をしたい環境に配慮した消費をしたい
品質の高い商品を手軽に入手したい自分へのご褒美を見つけたい災害時の支援拠点として頼りたい
支払いや受け取りを便利に済ませたい日常生活に小さな喜びを感じたい高齢者や単身世帯の生活をサポートしてほしい

セブンイレブン市場のPLESTE分析

要因機会脅威
政治的(Political)・規制緩和による新サービス展開
・インバウンド政策による観光客増加
・労働法改正による人件費増加
・フランチャイズ規制の強化
法的(Legal)・キャッシュレス決済推進による利便性向上
・食品ロス削減法による社会貢献機会
・個人情報保護法の厳格化
・プラスチック規制の強化
経済的(Economic)・EC市場拡大による宅配需要増加
・シェアリングエコノミーとの連携
・景気後退による消費低迷
・原材料費の高騰
社会的(Social)・高齢化社会における生活支援ニーズ
・単身世帯増加による小容量商品需要
・人口減少による市場縮小
・健康志向の高まりによる既存商品の需要減少
技術的(Technological)・AI・IoT活用による業務効率化
・キャッシュレス・無人店舗の展開
・サイバーセキュリティリスクの増大
・テクノロジー投資の負担増
環境的(Environmental)・環境配慮型商品の開発・販売
・再生可能エネルギーの活用
・気候変動による供給chain disruption
・環境規制の強化によるコスト増

セブンイレブンの競合分析:日本市場における差別化戦略

主要競合(日本国内)

  1. ファミリーマート
  2. ローソン
  3. ミニストップ

競合のWho/What/How分析

競合Who(誰)What(便益)How(戦略)
ファミリーマート幅広い年齢層、特に若年層多様な商品ラインナップ、カウンターコーヒー中食強化、エンタメ連携
ローソン健康志向の消費者、女性健康的な商品、美容関連サービスヘルシー戦略、ポイント還元
ミニストップファミリー層、デザート愛好家イートインスペース、ソフトクリーム店内飲食強化、スイーツ特化

セブンイレブンの自社分析:日本市場における顧客体験の最適化

セブンイレブンのWho/What/How詳細分析

パターン1:働く世代向け

項目内容
Who(誰)20-50代の忙しい働く世代
Who(JOB)時間節約、高品質な食事の確保
What(便益)24時間営業、品質の高い中食
What(独自性)独自の商品開発力、鮮度管理システム
How(プロダクト)セブンプレミアム、おにぎり、弁当
How(コミュニケーション)テレビCM、店頭POP
How(場所)駅前、オフィス街
How(価格)中~高価格帯(品質重視)

一言で言うと:「忙しい日々に質の高い食と便利さを提供する都市生活者の味方」

パターン2:若年層向け

項目内容
Who(誰)10-20代のトレンド敏感な若者
Who(JOB)新商品体験、SNS映えする商品探し
What(便益)豊富な新商品、限定商品
What(独自性)コラボ商品、季節限定商品
How(プロダクト)スイーツ、飲料、コラボ商品
How(コミュニケーション)SNS広告、インフルエンサーマーケティング
How(場所)繁華街、学校周辺
How(価格)低~中価格帯(手頃な価格)

一言で言うと:「トレンドと新しい体験を提供する若者の発見の場」

パターン3:シニア層向け

項目内容
Who(誰)60代以上のシニア層
Who(JOB)日常的な買い物の利便性、生活サポート
What(便益)近隣での買い物、多様なサービス
What(独自性)見守りサービス、健康サポート
How(プロダクト)日用品、健康食品、介護用品
How(コミュニケーション)地域密着型広告、店頭での丁寧な説明
How(場所)住宅街、高齢者施設近く
How(価格)中価格帯(安定した品質)

一言で言うと:「地域に根ざした高齢者の生活を支える頼れる存在」

PLESTE分析における機会と脅威

要因機会脅威
政治的地域活性化政策との連携24時間営業規制の可能性
法的決済多様化による利便性向上フランチャイズ契約の厳格化
経済的電子マネー・QR決済の普及最低賃金の上昇
社会的高齢者向けサービスの拡大少子化による市場縮小
技術的AI活用による需要予測の精緻化ECの台頭による実店舗需要の減少
環境的環境配慮型包装の導入食品ロス対策コストの増加

ここがすごいよセブンイレブンのマーケティング

セブンイレブンは、日本の小売市場において「近くて便利」というコンセプトを超えた、独自のポジショニングを確立しています。競合や代替手段がある中で、セブンイレブンが顧客から選ばれる理由は以下の通りです:

  1. 徹底した品質管理と商品開発:「セブンプレミアム」に代表される高品質なプライベートブランド商品の開発と、厳格な鮮度管理システムにより、コンビニエンスストアの常識を覆す品質を提供しています。
  2. 先進的なテクノロジー活用:POSシステムを活用した需要予測や在庫管理、セブンペイなどのデジタル決済サービスの導入により、顧客の利便性を常に向上させています。
  3. 地域に根ざしたサービス展開:高齢者向け配食サービスや災害時の支援活動など、地域社会のニーズに応じたサービスを展開し、単なる小売店以上の存在価値を示しています。
  4. 継続的なイノベーション:新商品の開発や新サービスの導入を絶え間なく行い、顧客の期待を常に上回る体験を提供し続けています。

マーケターがセブンイレブンから学べる重要な洞察:

  1. 顧客ニーズの徹底的な理解と迅速な対応:POSデータ分析や顧客フィードバックを活用した迅速な商品開発サイクル。
  2. バリューチェーン全体の最適化:製造から販売までの一貫した品質管理と効率化。
  3. テクノロジーと人間のタッチポイントの融合:デジタル技術を活用しつつ、店舗スタッフによる人的サービスの質も高める。
  4. 社会的責任と事業戦略の統合:地域貢献や環境配慮を事業モデルに組み込み、社会的価値と経済的価値を同時に創出。
  5. 常に進化し続ける姿勢:市場環境や消費者ニーズの変化に柔軟に対応し、自社のビジネスモデルを継続的に更新する。

これらの戦略を自社のコンテキストに適用することで、急速に変化する小売市場において強力なブランドポジションと持続可能なビジネスモデルを構築することができるでしょう。セブンイレブンの成功は、顧客中心主義と革新的思考の融合が鍵となっています。

この記事を書いた人
tomihey

14年以上のマーケティング経験をもとにWho/What/Howの構築支援と啓蒙活動中です。詳しくは下記からWEBサイト、Xをご確認ください。

https://user-in.co.jp/
https://x.com/tomiheyhey

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