I-ne株式会社の決算から学ぶ、売上成長9.9%を実現したマーケティング戦略の全貌 - 勝手にマーケティング分析
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I-ne株式会社の決算から学ぶ、売上成長9.9%を実現したマーケティング戦略の全貌

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この記事は約16分で読めます。

はじめに

「ECとリアル店舗、どちらに注力すべきか」「新カテゴリーへの参入は本当に成功するのか」――これらは、多くのマーケターが日々直面する課題です。

美容・ヘルスケア業界で急成長を続けるI-ne株式会社の2025年12月期第2四半期決算は、これらの問いに対する明確な答えを示しています。売上高223.2億円(前年同期比+9.9%)という成長を実現した同社は、単なる数字の伸長ではなく、戦略的なマーケティング施策によって市場での存在感を高めています。

本記事では、I-neの決算資料をもとに、マーケターが自社の施策に活かせる「戦略の裏側」を徹底解説します。なぜ売上が伸びたのか、どんな市場対応があったのか、その本質に迫ります。


I-neとは――「半歩先」を行く美容ブランドを次々と生み出す企業

本題に入る前に、I-ne株式会社がどのような企業なのかを簡単に整理しておきましょう。

企業概要

項目内容
会社名株式会社I-ne(アイエヌイー)
設立2007年3月
代表者代表取締役社長 大西洋平
従業員数452名(2025年6月末時点、臨時雇用者除く)
上場東京証券取引所プライム市場(証券コード:4933)
ミッション美しく革新的な方法で、「幸せの連鎖」があふれる社会の実現に挑戦し続ける

I-neは、ファブレス型(自社工場を持たず、製造を外部に委託するビジネスモデル)の美容・ヘルスケア企業です。2015年に発売したボタニカルシャンプー「BOTANIST」や夜間美容をコンセプトの「YOLU」の大ヒットなどで、急成長を遂げてきました。

主力ブランド・カテゴリー

I-neは3つのカテゴリーで事業を展開しています。

ヘアケア系カテゴリー

BOTANIST
YOLU
  • BOTANIST(ボタニスト):植物由来成分にこだわったボタニカルシャンプー
  • YOLU(ヨル):夜間美容に着目したナイトケアシャンプー
  • DROAS(ドロアス):サロン品質を自宅で体験できるヘアケア
  • Qurap(キュラップ)など

美容家電カテゴリー

  • SALONIA(サロニア):ストレートヘアアイロン、ドライヤーなど

スキンケア他カテゴリー

  • TOUT VERT(トゥヴェール):敏感肌向けスキンケア(2024年M&Aにより連結)
  • WrinkFade(リンクフェード):シワ改善医薬部外品
  • ReWEAR(リウェア):柔軟剤
  • SKN REMEDなど

I-neの最大の特徴:「ヒットを量産する仕組み」

多くの美容ブランドが一発屋で終わる中、I-neが次々とヒット商品を生み出せるのは、独自のブランドマネジメントシステム「IPTOS」を確立しているからです。

また、99人のインハウスデジタルマーケッター、87人のインハウスクリエイター(2025年6月時点)を抱え、マーケティングからデザインまでを内製化。これにより、市場の変化に素早く対応し、PDCAを高速で回すことができます。

さらに、全国約65,000店舗への配荷実績とEC販売を融合させたOMO(Online Merges with Offline)戦略で、幅広い顧客層にリーチしています。

このように、I-neは「商品開発力」「マーケティング力」「販売チャネル」の3つを高次元で統合した企業なのです。それでは、この企業が2025年上期にどのような成果を上げたのか、詳しく見ていきましょう。

I-ne 2025年12月期第2四半期決算のハイライト

2025年8月8日に発表されたI-neの第2四半期決算は、同社の戦略転換が確実に成果を上げていることを示す内容となりました。ここでは、マーケターとして注目すべきポイントを整理します。

全体業績サマリー

指標金額前年同期比計画比
売上高223.2億円+9.9%97%
EBITDA25.4億円+15.2%104%
営業利益16.8億円△17.0%110%
売上原価率42.2%△4.0pt-

一見すると営業利益が前年同期比でマイナスとなっていますが、これは昨年実施した大型M&A2件の償却費計上が主因です。むしろ注目すべきは、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が15.2%増と大幅に伸長している点。つまり、本業の収益力は着実に向上しているのです。

計画比で見ても、EBITDAは104%、営業利益は110%と想定を上回る着地となっており、同社の戦略が機能していることが明らかです。

カテゴリー別の動向

I-neは主に3つのカテゴリーで事業を展開しています。

カテゴリー売上高前年同期比オンライン売上高 前年同期比
ヘアケア系126.7億円△10.8%+16.7%
美容家電53.0億円+0.3%+7.2%
スキンケア他43.4億円+432.7%+520.6%

スキンケア他カテゴリーの驚異的な成長が目を引きます。これは、2024年10月に実施したトゥヴェール社のM&A効果と、自社オーガニックブランド(WrinkFade、ReWEARなど)の伸長によるものです。

また、全カテゴリーを通じてオンライン売上高が大幅に増加しており、同社が注力するOMO(Online Merges with Offline)戦略が奏功していることがわかります。


マーケティング観点での注目点① オンライン売上比率46%への飛躍とOMO戦略

なぜ売上が伸びたのか?

I-neの最大の勝因は、オンラインとオフラインを融合させたOMO戦略にあります。同社のオンライン売上高は前年同期比+58.8%と大幅に成長し、売上比率は約32%から46%へと向上しました。

従来の美容・化粧品業界では、「実店舗での購入が主流」というイメージが強かったかもしれません。しかしI-neは、デジタルマーケティングの力で顧客との接点を拡大し、ECチャネルを強化することで安定した販売基盤を構築しています。

どんな戦略変更や打ち手があったのか?

I-neのOMO戦略は、単にECサイトを作って終わりではありません。同社は以下のような多層的なアプローチを取っています。

デジタルマーケティングの内製化
I-neには99人のインハウスデジタルマーケッターが在籍しています(2025年6月時点)。外部に依存せず、自社で高速にPDCAを回せる体制を構築しているのです。これにより、顧客データの分析、広告運用の最適化、SNSでのブランディングまでを一気通貫で実施できます。

オフライン配荷力との組み合わせ
デジタルだけに偏らず、全国約65,000店舗への配荷実績を活かしているのもI-neの強みです。オンラインで認知を獲得し、オフラインで購入機会を提供する――この循環が顧客との接点を最大化しています。

カテゴリー別の戦略最適化
たとえば、ヘアケア系ブランド「YOLU」では詰替え品のオンライン売上が前年同期比+136.9%と急伸。美容家電「SALONIA」ではEC販売を強化し、オンライン売上が+7.2%増加しました。各ブランドの特性に応じて、最適なチャネルミックスを実現しているのです。

他社と比較してユニークな取り組みは?

多くの企業がECに力を入れる中、I-neがユニークなのは「美容開拓層→美容フォロワー層→美容マス層」という3層構造でターゲットを設定し、それぞれに最適なアプローチを展開している点です。

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美容に感度の高い「開拓層」にはデジタルで直接リーチし、そこから「フォロワー層」へと波及させ、最終的には「マス層」にまで届ける――この設計図が、I-neのマーケティング施策の根幹にあります。


マーケティング観点での注目点② M&Aによる事業ポートフォリオ変革とシナジー創出

カテゴリーごとの売上要因

I-neの決算で特筆すべきは、スキンケア他カテゴリーが前年同期比+432.7%という驚異的な成長を遂げた点です。この急成長の背景には、2024年10月に実施したトゥヴェール社のM&Aがあります。

一方で、ヘアケア系カテゴリーは前年同期比△10.8%と減収となりました。これは中国市場からの撤退や、「YOLU」リニューアルの市場認知形成が遅れた影響です。しかし、オンライン売上高は+16.7%と全主力ブランドで増収を記録しており、チャネルシフトが着実に進んでいることがわかります。

どんな戦略変更や打ち手があったのか?

I-neは、M&Aを単なる売上拡大の手段ではなく、新たな強みを獲得し事業領域を拡張する戦略的ツールとして位置づけています。

トゥヴェール社のM&A効果
化粧品の企画・販売を手がけるトゥヴェール社を連結したことで、I-neはスキンケア領域での存在感を一気に高めました。M&A前(2024年1~6月)の売上高20.7億円に対し、M&A後(2025年1~6月)は25.8億円へと成長。さらに、以下のPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)施策を実施しています。

PMI施策内容
オンライン販売強化デジタルマーケティングのノウハウを注入し、Amazon販路を拡大
オフライン販売展開LOFTへのテスト販売を開始し、新たな顧客接点を創出
サプライチェーン最適化I-neの調達力を活用してコスト削減
経営管理能力の向上データドリブンな意思決定体制を構築

Artemis社のM&A効果
美容家電の企画・生産管理を手がけるArtemis社(旧TTrading)を取得したことで、I-neは美容家電カテゴリーの粗利率を大幅に改善しました。M&A効果発生前(2025年1~2月)と比較して、効果発生後(3~6月)は粗利率が+6~11ptも向上しています。これは、中間マージンを削減し、商品仕様や取引先の最適化を進めた成果です。

他社と比較してユニークな取り組みは?

多くの企業がM&Aで苦戦する中、I-neが成功しているのは「財務規律を重視したM&A」と「PMIを見据えた人材確保」を徹底しているからです。

同社は以下の3つの財務規律を方針としています。

  1. 連結EPSの向上
  2. EBITDAマルチプル設定
  3. Net Debt EBITDA2倍以下

つまり、闇雲に企業を買収するのではなく、「本当に企業価値が上がるのか」「財務健全性を損なわないか」を厳しく見極めているのです。また、M&A専門組織を強化し、事業担当者が強くコミットする体制を構築することで、統合後のシナジーを最大化しています。


マーケティング観点での注目点③ 商品ポートフォリオの戦略的シフトと収益性改善

なぜ売上が伸びた/落ちたのか?

I-neの決算で見逃せないのが、売上原価率の大幅改善です。前年同期比で△4.0pt改善し、42.2%となりました。この改善は、単なるコストカットではなく、商品ポートフォリオの戦略的なシフトによるものです。

特に美容家電カテゴリーでは、中高価格帯商品(6,000円以上)が前年同期比+69.4%と大幅に伸長。中高価格帯と定番品の売上比率は、前年同期の約3:7から4:6へと推移しました。つまり、利益率の高い商品にシフトすることで、カテゴリー内の収益性が改善したのです。

どんな戦略変更や打ち手があったのか?

美容家電カテゴリーの価格帯戦略
I-neは、定番の低価格帯商品だけに頼るのではなく、付加価値の高い中高価格帯商品を積極的に投入しています。

  • スムースシャインヘアアイロン(約1万円台)が前四半期比+56.8%と好調
  • グロッシーケア ストレートヘアアイロン(約7,000円台)を新発売し、シリーズ第2弾として展開

これらの商品は、「ダメージを抑えたい」「仕上がりの質にこだわりたい」という顧客ニーズに応えるものです。単に安いだけではなく、「この価格を払う価値がある」と思わせる商品設計が、売上と利益率の向上を両立させています。

スキンケア他カテゴリーの自社ブランド育成
トゥヴェール社以外にも、I-neは自社オーガニックブランドを育成しています。

  • WrinkFade:前年同期比+38.9%の成長。定期販売の新規獲得が好調で、ECモールの売上も伸長。
  • SKN REMED:2024年2Q発売以来、前四半期比+17.7%と成長を継続。オフライン店舗への配荷も開始。
  • ReWEAR:EC先行発売後、2025年4月にオフライン進出。社内POS計画を上振れするなど、オンライン/オフライン共に好調。

これらのブランドは、I-neが得意とする「半歩先のコンセプトメイキング」によって生まれたものです。市場のトレンドを先取りしつつ、大衆にも受け入れられる絶妙なバランスが、ブランドの成功を支えています。

他社と比較してユニークな取り組みは?

I-neの強みは、「IPTOS」というブランドマネジメントシステムにあります。IPTOSとは、以下のプロセスを体系化したものです。

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各ゲートでKPI(重要業績評価指標)を設置し、成功・失敗の体験データを蓄積することで、ヒットの再現性を高めているのです。新商品を出す際も、いきなり大量生産するのではなく、小規模なテスト販売で需要を予測し、リスクを抑えながらスケールさせていきます。

このシステムがあるからこそ、I-neは新カテゴリーへの参入でも高い成功率を維持できているのです。


I-neの今後の方針:下期に向けた新商品展開と新領域への挑戦

I-neは上期に48商品(新商品及び企画品)をリリースしましたが、下期はさらに加速し、81商品のリリースを予定しています。新領域を含む全カテゴリーから、多数の新ブランド/新商品が登場する見込みです。

ヘアケア系カテゴリーの下期施策

ブランド主な施策
BOTANIST新ライン「BOTANIST SANTAL」をローンチ。一部周辺アイテムのリニューアル、各種企画品やコラボ商品を展開
YOLU主力カテゴリー新商品やスキンケア商品を展開。自社研究開発組織JBIST(日本美科学研究所)の知見を反映
他ブランド新ブランド「Collagem」をローンチ。「Qurap」より新バリアントを投入

美容家電カテゴリーの下期施策

  • SALONIA: 新型美容家電や複数の新商品を投入。中高価格帯製品の拡大に向けた施策を強化し、オフライン販売員の導入店舗を拡大。
  • 新ブランド: 2025年8月末に新ブランドをローンチ予定。第三者機関による「日本初」の認証を獲得した商品を販売。

スキンケア他カテゴリーの下期施策

  • TOUT VERT: 新商品の発売(予定)。デジタルマーケティングを強化し、トゥヴェール社とI-neのJBISTが連携。
  • 新カテゴリー: 健康食品やオーラルケアなど、様々なビューティーカテゴリーに参入。社長直下の新規事業開発室でスピード感ある商品開発を推進。

これらの施策から見えるのは、I-neが**「既存事業の収益最大化」と「新規事業の育成」を同時並行で進めている**ことです。既存主力事業で得た資本を新たな事業の原資とし、さらなる成長を目指すサイクルを回しているのです。


I-neの成長を支える3つの強み

ここまで見てきたI-neの成長戦略を支えているのが、同社が誇る「3つの強み」です。

① ブランド創出力:半歩先のコンセプトメイキング

I-neは、「ボタニカル」「夜間美容」といった市場の一歩先を行くコンセプトを打ち出すことで、ブランドを差別化してきました。これは、単なるアイデアの発想だけでなく、以下のプロセスを経て実現されています。

プロセス内容
アイデア10,000個のアイデアから厳選
サイエンス新規性とマス需要を調査し、データで裏付け
アートI-ne文化に基づく意思決定で、ブランドの世界観を構築
クリエイティブ87人のインハウスクリエイター(2025年6月時点)が商品デザインやビジュアルを制作
商品開発全国200社以上のOEMパートナーから最適な製造委託先を選定し、I-ne社内の専門家と開発

このプロセスにより、I-neは**「消費者がまだ気づいていないけれど、潜在的に求めている価値」**を形にすることができるのです。

② OMO:デジタルとオフラインの融合

前述の通り、I-neは99人のインハウスデジタルマーケッターと、約65,000店舗のオフライン配荷実績を武器に、顧客との接点を最大化しています。この両輪があるからこそ、美容開拓層から美容マス層まで、幅広い顧客にリーチできるのです。

③ IPTOS:ヒットを量産するブランドマネジメントシステム

IPTOSは、各ゲートでKPIを設置し、迅速なPDCAサイクルを運用する仕組みです。これにより、以下のメリットが生まれます。

  • リスクの抑制
  • ヒットの再現性向上
  • 需要予測精度の高度化

I-neが新カテゴリーに参入しても高い成功率を維持できるのは、このシステムがあるからです。


マーケターが学べるポイント

I-neの決算から、マーケターが自社の戦略に活かせるポイントをまとめます。

① オンラインとオフラインは対立ではなく融合させるもの

多くの企業が「ECに力を入れるべきか、実店舗を維持すべきか」という二択で悩みますが、I-neはその両方を活用し、顧客との接点を最大化しています。チャネルは競合ではなく、補完し合うものです。

オンラインで認知を獲得し、オフラインで購入機会を提供する。あるいは、オフラインで商品を知った顧客が、オンラインでリピート購入する。このサイクルを設計することが、安定した販売基盤の構築につながります。

② M&Aは売上拡大だけでなく、新たな強みを獲得する手段

I-neのM&A戦略は、単に売上を上乗せするだけではありません。トゥヴェール社のM&Aではスキンケア領域での専門性を、Artemis社のM&Aでは美容家電の製造ノウハウを獲得しました。

M&Aを検討する際は、「どんな強みを獲得できるか」「どんなシナジーを創出できるか」を明確にすることが重要です。また、PMI(統合後のプロセス)を見据えて、人材や体制を整えることも成功の鍵となります。

③ 商品ポートフォリオは戦略的にシフトさせる

I-neは、低価格帯の定番商品だけに依存せず、中高価格帯商品を積極的に投入することで、売上原価率を改善しました。顧客のニーズが多様化する中、「この価格を払う価値がある」と思わせる商品を開発することが、収益性向上の近道です。

また、新カテゴリーへの参入も、既存事業で得た資本を原資として計画的に進めることで、リスクを抑えながら成長機会を拡大できます。

④ ブランドマネジメントシステムを構築し、ヒットの再現性を高める

I-neのIPTOSのように、新商品開発のプロセスを体系化し、各ステージでKPIを設定することで、失敗のリスクを減らし、成功の確率を高められます。

いきなり大量生産するのではなく、小規模なテスト販売で需要を予測し、データをもとに意思決定する。この地道なプロセスが、長期的な成長を支えます。

⑤ 自社の強みを明確にし、それを最大限活かせる市場を選ぶ

I-neは、ヘアケアや美容家電で培った「ブランド創出力」「OMO」「IPTOS」という3つの強みを、スキンケアや新カテゴリーでも活かしています。自社の強みを最大限発揮できる市場や製品を厳選することで、成功確率が高まります

闇雲に新規事業に手を出すのではなく、「この市場なら自社の強みが活きるか」を見極める視点が重要です。


まとめ:I-ne決算から得られるKey Takeaways

I-ne株式会社の2025年12月期第2四半期決算は、マーケターにとって多くの学びを提供してくれます。最後に、本記事で解説したポイントを振り返ります。

Key Takeaway詳細
OMO戦略の徹底オンライン売上高+58.8%、売上比率46%を実現。デジタルとオフラインを融合させ、顧客との接点を最大化。
M&Aによる事業ポートフォリオ変革トゥヴェール社、Artemis社のM&Aで新たな強みを獲得。財務規律を守りながら、シナジーを最大化。
商品ポートフォリオの戦略的シフト中高価格帯商品の比率を3:7から4:6へ。売上原価率を△4.0pt改善し、収益性を向上。
ブランドマネジメントシステム「IPTOS」の活用アイデア→企画→検証→テスト販売→スケールのプロセスを体系化。ヒットの再現性を高め、リスクを抑制。
新カテゴリーへの計画的参入健康食品、オーラルケアなど、新たな市場に参入。既存事業の収益を原資とし、成長サイクルを回す。
自社の強みを活かせる市場選定ブランド創出力、OMO、IPTOSという3つの強みを最大限発揮できる市場を厳選。

I-neの成功は、単なる偶然ではありません。市場トレンドを見極め、顧客ニーズに応え、戦略的にリソースを配分した結果です。マーケターとして、この事例から学べることは多いはずです。

ぜひ、自社の施策に活かしてみてください。


参考情報

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この記事を書いた人
tomihey

本ブログの著者のtomiheyです。失敗から学び続けてきたマーケターです。
BtoB、BtoC問わず、デジタルマーケティング×ブランド戦略の領域で14年間約200ブランド(分析数のみなら500ブランド以上)のマーケティングに関わり、「なぜあの商品は売れて、この商品は売れないのか」の再現性を見抜くスキルが身につきました。
本ブログでは「理論は知ってるけど、実際どうやるの?」というマーケターの悩みを解決するノウハウや、実際のブランド分析事例を紹介しています。
現在はマーケティング戦略/戦術の支援も実施していますので、詳しくは下記リンクからご確認ください。一緒に「売れる理由」を解明していきましょう!

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